渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2022年 11月11日(金)~16日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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11月12日(土)14:00~16:00 三遊亭兼太郎 隅田川馬石 立川談吉 林家正蔵

「渋谷らくご」林家正蔵師匠、登場! 渋谷らくご特選会

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プレビュー

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 落語家の名前も読めないし、どの公演にいったらわからない、という方にオススメなのが「渋谷らくご特選会」!
 今月はみなさんご存じ林家正蔵師匠が登場してくださいます。人の温かみをじんわりと感じられる正蔵師匠の落語をお楽しみに。
 渋谷らくごの心臓 達人馬石師匠が二番手で登場。二つ目では、聞きやすさ抜群、上手さを悟らせない上手さをもつ兼太郎さんと、そろそろ真打の声もかかろうかという談吉さんが登場。聞く人の耳をひたすら心地よく、それでいてふとした瞬間に飛んでもない角度から飛び出す笑わせどころなど、大注目です。
 絶対後悔させない番組です。

▽三遊亭兼太郎 さんゆうてい けんたろう 圓楽一門会
23歳で入門、芸歴7年目、2017年二つ目昇進。ツイッターでは、人のツイートにいいね!つけがち。知らない街でも街中の定食屋さんに挑戦する。先月は10年ぶりの再会が多かった。「光陰矢のごとし」や「芸術の秋」など格言的なことをツイートする。

▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき 落語協会
24歳で入門、芸歴29年目、2007年3月真打昇進。フルマラソンのベストタイムは、4時間を切るほどの速さ。読売新聞オンラインでも元気なジョギング姿を披露するなどスポーツに関する連載をもつ。自転車移動を好む。落語を終えるとすぐに帰る。

▽立川談吉 たてかわ だんきち 落語立川流
26歳で入門、芸歴14年目、2011年6月二つ目昇進。iPhoneの待受が「いくら」。ラーメンが大好きで、冒険するよりは行きつけのお店に行くタイプ。下北沢の駅前は、利用者に比べてトイレの数が少ないということに気づいた。

▽林家正蔵 はやしや しょうぞう 落語協会
15歳で入門、芸歴45年目、1987年真打昇進、2014年落語協会副会長に就任。中学生の頃に聴いたマイルス・デイヴィスがきっかけでジャズが好き。「今日も四時から飲み」という番組の冠番組に出演して、夕方からお酒を嗜んでいる。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き!)

三遊亭兼太郎-三方一両損
隅田川馬石-大山詣り
立川談吉-当たりの桃太郎・シロサイ
林家正蔵-鹿政談

全国旅行支援を利用して草津温泉に行って参りました!
源頼朝も訪れたという由緒ある温泉地。最近ではNetflixアニメ「テルマエロマエ・ノヴァエ」で再ブレイク、是非一度行ってみたかったのです。
お湯がわんわんと湧き出す湯畑に圧倒されました。インバウンドも復活中、外国人観光客も大勢いて賑やか。「湯もみショー」で有名な熱乃湯では、落語会も開催されていましたよ!浴衣で落語なんて素敵ですよね。
気分転換になり、新しい経験もできる旅行は本当に楽しいです。
というわけで、今日は落語で想像の旅に出ましょうー。
愛嬌たっぷり兼太郎さん、聴き手をぐいっと惹き込む馬石師匠、独特の世界観が楽しい談吉さん、そして、温かい演技で聴かせる正蔵師匠。
古典の江戸時代から創作のファンタジー世界へと、どこにでも飛んで行けそうです。

三遊亭兼太郎さん「三方一両損」

8周年の渋谷らくご(おめでとうございます!)と共に成長して来たという、噺家生活9年目の兼太郎さん。今日は江戸っ子のお噺。「江戸っ子は宵越しの金を持たない」を貫く強情者が登場します。
拾った財布を持ち主に届けてあげたのに、落とした物は受け取れないと逆ギレする持ち主。受け取る/受け取らない、謝る/謝らないで大喧嘩となり、とうとう裁判沙汰に!素直になれない江戸っ子って大変ですね。。
さて、皆を唸らせる大岡越前の判決とはいかに!
明るく軽く聴きやすい兼太郎さんに、威勢のいい江戸っ子キャラがピッタリ。テンポ良く繰り出される台詞と共に、くるくる変わる表情を見るだけで楽しくなってしまいました!

隅田川馬石師匠「大山詣り」

フルマラソンを完走しちゃう馬石師匠。凄い体力!限界に挑戦した後の清々しさがたまらないそうです。清々しいといえば山のレジャーですね。というわけで、今日は江戸時代の登山旅行に因んたお噺です。
長屋連中で大山詣りに行くことに、でもトラブルメーカーの熊さんは悩みの種。参加の条件として「ケンカしたら罰金&丸坊主にする」というペナルティを課します。案の定、帰路で酔っ払って暴れてしまった熊さんは、約束通り丸坊主にされてしまいます!自慢の髷を切られて逆ギレした熊さんの復讐とは?
長屋連中やおかみさん達など沢山のキャラが出て来ますが、見事に演じ分ける馬石師匠。無言で表情だけの演技も可笑しくて大好きです。寝てる間に丸坊主にされた熊さんの朝気付いた時の驚愕の顔、そして復讐を遂げた時のイタズラっぽい満足した表情は最高でした!
ミシュラン・グリーンガイドジャポンで星を獲得している丹沢大山国定公園(大山は★、大山阿夫利神社からの眺望は★★だそうです)。江戸時代から大人気の旅行先だった様ですね。今なら紅葉が美しい時期。是非行ってみたい!

立川談吉さん「当たりの桃太郎/シロサイ」

入門前、寄席に通いつめていたという談吉さん。その頃の憧れのトリが正蔵師匠。その師匠と今日はご一緒できるのが信じられないという談吉さん、楽しそう。上手く古典をやるぞ!と朝から張り切って来たのに、飛び出したお噺は、まさかの新作。しかも二本立て!
一本目は、昔話・桃太郎のシュール版。桃から生まれて6秒で死んでしまう桃太郎。死んでしまう桃は「ハズレ」、桃太郎が生き延びるのは「当たり」。当たりが出るまで、何度も川で桃を拾うお爺さん&お婆さん。二人は桃太郎を育てることができるでしょうか?
二本目も、お爺さん&お婆さんが登場。庭に可愛い小鳥が集まるよう巣箱を置く二人。しかし、やって来たのは小鳥ではなく大型獣のシロサイ(?!)。さて、突然出現した庭のサイはどうなったでしょう?
ナニコレー!?何という世界観。。
お爺さんの台詞「私は何をしているんだろうねぇ〜」に対する、「お爺さん、考えたら負けですよ〜」というお婆さんの答えに全てがあるような気がします。。何も考えずに、感じることが大切!
「何年も経って正蔵師匠の前でこれがやりたかった!」という謎の欲望と強メンタル。本当にユニークな談吉さん。また他のお噺も聴きたい!中毒になりそうです。

林家正蔵師匠「鹿政談」

最近ガラケーからスマホに変えたという正蔵師匠。さっそく検索したのは「東京みやげベスト3」。東京バナナ、バウムクーヘンや木久蔵ラーメンなど、江戸の香りがしないものばかりで激怒したとか。というわけで、全国の名物の話になり、奈良の鹿が登場します。
昔、奈良では鹿を傷つけると厳罰に処せられたとか。正直者の豆腐屋さんは野良犬と間違えて、アクシデントで鹿を傷つけてしまいます。お奉行様は正直者を気の毒に思い、情けをかけて厳罰から救おうとしますが、お豆腐屋さんは嘘がつけず。。さて、このお裁きの結末は?
ちょっと泣ける人情噺でした。正蔵師匠の優しい表情が身に染みます。特に、正直故に不利な証言を続ける被告人を、お奉行様が心配そうにチラっと見る眼差しが慈悲深く、緊張したお白洲に一筋の暖かい空気が流れる場面が見えるようでした。

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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