渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2023年 3月10日(金)~14日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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3月10日(金)20:00~22:00 三遊亭兼太郎 三遊亭白鳥 ナオユキ 立川吉笑(三題噺)

「吉笑三題噺五日間2023」DAY1 初日、白鳥、来襲

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プレビュー

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 開演前に募集した三つのお題をもとに、即興で噺をこしらえる「三題噺」。現在の「渋谷らくご大賞」2年連続受賞者の立川吉笑さんが挑む五日間、本日はその1日目です。
 まったく先の見えないこの試みをドキドキしながらリアルタイムで観覧いただきたい!
 DAY1は、吉笑さんが三題噺に挑むうえでの「師匠」と言ってはばからない生けるレジェンド、三遊亭白鳥師匠が登場!
 歴史的な邂逅となります。90分後、三つの材料で仕上げてくる料理はどんな味になっているのか、乞うご期待! 

▽三遊亭兼太郎 さんゆうてい けんたろう 圓楽一門会
23歳で入門、芸歴10年目、2017年二つ目昇進。ツイッターでは、人のツイートにいいね!つけがち。知らない街でも街中の定食屋さんに挑戦する。おいしいご飯を食べてテンションが上がった時に、「最高」か「優勝」という言葉が思い浮かぶ。

▽三遊亭白鳥 さんゆうてい はくちょう 落語協会
24歳で入門、芸歴36年目、2001年9月真打昇進。落語を創作するときは、まず骨格をつくって、それから山手通りをとにかく歩き続けて練り上げていく。1つの創作落語をつくるのに10万歩以上歩く。考えすぎた時はプールに行く。先日「親しらず」を抜いた。

▽ナオユキ なおゆき
1985年より活動開始。ツイッターにて、歩いた時間を報告している。だいたい毎日1時間歩いている。3時間歩くと疲れてしまう。岡本太郎の名言や水木しげるの名言やスナフキンの名言にグッとくる。

▽立川吉笑 たてかわ きっしょう 落語立川流
26歳で入門、現在芸歴13年目、2012年4月二つ目昇進。「渋谷らくご大賞2021」&「創作大賞 2021」初のW受賞者。「2022年NHK新人落語大賞」受賞。いま「かっこいい真打」になりたいと思っている。思考の跡をnoteで公開している。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。映画、海外ドラマ、落語、読書が大好き!映画などの感想レビューもツイートしてます。)

三遊亭兼太郎-五目講釈
三遊亭白鳥-座席なき戦い
ナオユキ-漫談
立川吉笑-一(千人前)

今月は、待ってました!の吉笑さん三題噺チャレンジです。昨年は安定の終盤Day4を拝見し、その完成度の高さに驚きました。が、本日はレジェンド・白鳥師匠も見守る中、ドキドキのDay1です。名作誕生の瞬間に立ち会えるでしょうか⁉︎他、お久しぶりの兼太郎さん、そして初めましてのナオユキ先生も楽しみです!

三遊亭兼太郎さん「五目講釈」

最近、学校寄席や宴会など、お仕事が増えてきて喜ばしいとのこと。コロナ禍でいつもお家にいた時は、大変辛かったそう。
というわけで、いつも家にいる人といえば、お暇な若旦那。道楽が過ぎたあげく勘当された、居候の若旦那が登場します。
   「どこかで働きなさい」と居候先の親方に窘められると、若旦那は講釈師になると言い出し、滅茶苦茶な講釈を披露することに!若旦那の天然キャラが可笑しくて、ちょっとイラッと来るノーテンキぶりながら、憎めない感じが良く出ていました。兼太郎さんの講釈も調子良く、とてもお上手。本物の講釈師みたい!
相変わらず、明るく軽く聴きやすいのが、兼太郎さんの魅力ですね。

三遊亭白鳥師匠「座席なき戦い」

チャイコフスキーの「白鳥の湖」(←出囃子)に乗って登場した生けるレジェンド・白鳥師匠。おお、既にオーラが!
事前に、三題噺についてもっと知りたくて師匠のDVDを拝見しましたが、歩きながら創作する姿は哲学者のようでした(実際アリストテレスは散歩しながら考えたそう)。ライブで拝見するのは今回が初めて!
今日のお噺は、正に過去の三題噺から生まれた名作を披露。お題は、山手線、マグロ、5番アイアン、だったそう。
山手線内で好き放題するオバサン達に悩まされるサラリーマン。オバサン達は、なぜかアメ横で買ったマグロの頭と5番アイアンを持って電車に乗って来ます。仁義なき席取りバトルにクスッとしてしまいますが、これがエスカレートして遂には笑えない事態に!驚きの展開が待っていて、もう大爆笑。
このお噺は、弁財亭和泉師匠など他の方によっても演じられています。後々も再演される名作が三題噺から生まれることもある、というのは感動的ですよね。

ナオユキ先生「漫談」

漫談といえば陽気でおちゃらけた感じかと思いきや、なんとクール!フッとハスキーボイスで繰り出されるトークは、まるでブルースのよう。
繰り返されるテーマの間に、ボソッとツッコミ。酒場や酔っ払いが登場して、物悲しさ漂う中での笑いは渋くて、かなり好きなスタイル!WBC開催中のせいか、野球のネタも沢山盛り込まれていました。
一番好きだったのは、「酔った女がボヤいていたー、酔った女がボヤいていた。“なーんでウチの周りアホな男しかおらんの?なんで賢い男はウチに寄って来ないの?”。。賢いからや〜!」
こういうネタはどう考えつくのでしょう?やはり日頃の人間観察でしょうか。。落語以外の演芸も、もっと聴いてみたいと思いました。

立川吉笑さん「ー(千人前)」

開幕前の白鳥師匠による抽選で、お題は「桜前線」、「パフパフ」、「駅伝」に決定!これから90分間にどんなお噺が出来るのでしょうか⁉︎「がんばれー!」と応援する一方、吉笑さんの苦しむ姿も見たいような、天使と悪夢が入り混じった気持ちで、ワクワク。
というわけで、出来上がったお噺の舞台は、大塚の人気おにぎり屋さん。店長は、元暴走族レディースの総長です。駅前再開発のため立ち退きを迫られ、役人に嫌がらせをされる毎日。そんな時、スペシャルお弁当メニュー桜御膳の千人前(桜前線?)のオーダーが!これは多分嫌がらせ、でもどうにか切り抜けなければ!
小池百合子さんも副総長として登場の、奇想天外な展開が凄く面白かったです。
途中「パフパフ」が抜けてしまっていることに気付いて慌てる場面もありましたが、全体的には「ストーリーがちゃんと出来ていて立派!」と白鳥師匠に褒められました。Day1は良い滑り出しでしたね!後4日間、がんばってー。

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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