渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2023年 11月10日(金)~15日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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11月11日(土)17:00~19:00 三遊亭兼太郎 三遊亭遊雀 笑福亭福笑 三遊亭青森

「渋谷らくご」青森 meets 福笑!

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今月の見どころを表示

プレビュー

先月の渋谷らくごでは「青森祭」と銘打って、5日連続で青森さんにトリの出番をお願いしました。下北半島の怪物は無事に覚醒したのか、ここからが本当の見ものです。青森さんを追い込むために、今月は上方から爆笑王・福笑師匠がやって来ます! さらに前半には、兼太郎さんに遊雀師匠と、油断も隙も無い番組です。青森祭は終わらない、ぜひ祭に参加しに来てください。

▽三遊亭兼太郎 さんゆうてい けんたろう 圓楽一門会
23歳で入門、芸歴10年目、2017年二つ目昇進。ツイッターでは、人のツイートにいいね!つけがち。知らない街でも街中の定食屋さんに挑戦する。格闘技ファン。先日、所ジョージさんの名言に感銘をうけた。

▽三遊亭遊雀 さんゆうてい ゆうじゃく 落語芸術協会
23歳で入門、芸歴35年目、2001年9月真打昇進。酒豪。飛行機と鉄道が大好き。お肌の保湿を第一に考えキュレルを使用する。乗り物が大好きで、バスにも積極的に乗る。飲みすぎた翌日は声がガラガラになる。先日、明治座の海苔弁に感銘を受ける。

▽笑福亭福笑 しょうふくてい ふくしょう 上方落語協会
19歳で6代目笑福亭松鶴師匠に入門、芸歴55年目。高校を中退し、落語家になることを決意して入門する。東京の鈴本演芸場を訪れた際、円丈師匠の高座を目撃し、創作らくごの道も歩むことを決意した。コンビニでサンドウィッチを買うときは、ハムサンドを選ぶことが多い。

▽三遊亭青森 さんゆうてい あおもり 落語協会
23歳で入門、現在入門10年目、2019年2月二つ目昇進。「2022年渋谷らくご優秀賞 たのしみな二つ目賞」受賞。ストリートファイターをプレイするためのコントローラーには、落語の名人の写真を貼り付けている。先日ちいかわのグッズ企画展「ちいかわらんど」に一人で行った。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@sowaka2020 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。映画、海外ドラマ、落語、読書が大好き!映画などの感想レビューもツイートしてます)

三遊亭兼太郎-真田小僧(上)
三遊亭遊雀-真田小僧(下)
笑福亭福笑-葬儀屋さん
三遊亭青森-猫定

九周年、おめでとうございます!今日は、上方から福笑師匠が参戦。福と笑という字がダブルで入ったおめでたいお名前に、すでに良い予感が!
迎え討つのは、さらっと聴きやすく面白い兼太郎さん、子供から親分さんまで全ての演技が最高に素敵な遊雀師匠。トリは、先月5日間連続公演を成功させ、すっかり「渋らくのスター」となった青森さん。
楽しみすぎる!

三遊亭兼太郎さん「真田小僧(上)」

渋谷の人混みが苦手、という兼太郎さん。特にハロウィンは大嫌い。でも、「トリック・オア・トリート!」と楽しんでいる子供のハロウィンは好きだそうです。学校寄席で子供達を楽しませるのも好き。ちなみに優秀校の方が落語に対する反応が良いそうです。勉強が出来る生徒達は想像力も豊か、ということでしょうか?
というわけで、今日は子供が出てくるお噺「真田小僧」。登場する金坊はとんでもない悪ガキで、親からお小遣いをせしめようと必死です。あの手この手で父親を言いくるめる金坊を演じる時の、兼太郎さんのくるくると変わる表情がキラキラして、ワル可愛いかったー!
子供の演技が上手な演者さんは大好きです。

三遊亭遊雀師匠「真田小僧(下)」

「この噺の続き、聴きたいか?」とニヤッと笑う遊雀師匠。真田小僧に続きがある!だから、(下)なのですね。初めて聴きました。
さて、金坊はもらったお小遣いで講釈を聴きに行きました。聴いたお話は「真田三代記」。家に帰って父親に「真田幸村の六文銭軍旗って、どんな旗」?と可愛いらしく聞きます。さて、この悪ガキ、次に何をしでかすのでしょう?父親が財布から六文を取り出すと、金坊の目がキラリと光ります!
だから、「真田」小僧なのですね。寄席で語られるのは、長いお噺のほんの一部、ということが他にもよくあるようです。
兼太郎さんのハジけるようにヤンチャな金坊に対して、遊雀師匠のはズルそ〜な上目遣いで悪賢い感じが滲み出るよう。同じキャラを違う演者さんが連続で演じるのを観れるなんて、貴重な経験でした。

笑福亭福笑師匠「葬儀屋さん」

イタズラっ子の様な表情がチャーミングな福笑師匠。国際情勢から阪神タイガースの優勝についてまで、なめらかな大阪弁で次々と語って(けなして?)いきます。ちょっと毒舌!
ここまでのまくらで、もうお腹が痛くなるほど笑ったのに、本編は創作落語「葬儀屋さん」。亡くなった父親のために集まった三兄弟は、相続やお金のことで喧嘩ばかり。見かねた葬儀屋さんは「いい加減にしなはれ!」と葬儀の段取りを進めようとしますが。。
さすが上方落語、漫才の様な要素もあり大笑いしました。冷静な葬儀屋さんと兄弟のアホぶり、菩提寺(ぼだいじ)を「ポタージュ?」と聞き間違えるなど、時々会話に挟まれるボケが最高でした。
東京ではあまり機会がありませんが、上方落語の師匠方の高座をもっと聴いてみたいです!

三遊亭青森さん「猫定」

調子良さそうな青森さん。今日も金髪とオデコがツヤツヤしていました。
高座に上がるやいなや、なぜか「猫はいいね〜」を連発。
今日のお噺にも猫が出てきますが、可愛い猫ではなく、まさかの怪談!最近、11月なのに25度以上と暑かったからでしょうか?
回向院は両国に実在するお寺で、動物供養を行なっているのも事実。そこにある「猫塚」に埋葬された黒猫のクマは、主人の復讐を遂げた忠猫。正に猫の恩返し、ならぬ猫の仇討ちです。
以前、青森さんの迫力ある「もう半分」を聴いて、青森さんと怪談は合ってるかも!と思いました。今日も、上目遣いで「ぎゃー!」と叫ぶ恐怖場面も、お腹から絞り出す様な凄みのある声も良かったです。
なんか、たっぷり水分を含んだ怖さ、というか、独特。。
色々なお噺を独特のスタイルでこなす青森さん、次のチャレンジが楽しみです!

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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