渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2020年 6月12日(金)~16日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

イラスト

6月12日(金)

18:00~19:10

新真打・二つ目顔見世公演DAY1「第一部」

柳亭市若 春風亭朝枝 
柳家勧之助

20:00~22:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY1「第二部」

柳家小はだ 立川かしめ 
三遊亭遊七 瀧川鯉八
 三遊亭志う歌

6月13日(土)

14:00~16:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY2「第一部」

三遊亭小とり 三遊亭ぐんま 
柳亭市次郎 古今亭文菊 
三遊亭歌扇

17:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY2「第二部」

春風亭一花 林家きく麿 
柳亭小痴楽 三遊亭楽大

20:00~21:00

おしゃべり緑太の会

柳家緑太

6月14日(日)

14:00~16:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY3「第一部」

三遊亭好二郎  神田桜子** 
橘家文太 立川吉笑  
林家正蔵

17:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY3「第二部」

田辺いちか** 春風亭昇々 
隅田川馬石 春風亭一左

6月15日(月)

18:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY4「第一部」

三遊亭鳳笑 橘家文蔵

20:00~22:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY4「第二部」

台所おさん 玉川太福* 
三遊亭丈助 昔昔亭A太郎

6月16日(火)

18:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY5「第一部」

三遊亭好志朗 林家彦三
 三遊亭花金

20:00~22:00

「しゃべっちゃいなよ」

三遊亭粋歌 笑福亭羽光 
柳家花いち 立川笑二 
瀧川鯉八
林家彦いち(トークのみ)

6月13日(土)17:00~19:00 春風亭一花 林家きく麿 柳亭小痴楽 三遊亭楽大

新真打・二つ目顔見世公演DAY2「第二部」

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プレビュー

 人気者が集まるこの公演、トリは渋谷らくご初登場でトリをとられる新真打 楽大師匠! 調理学校卒というのもうなづける料理上手、食いしん坊とのんべえと料理上手は落語も楽しいと思ってます。
 自分の言葉で喋りお客さんを沸かせる演者たち。決してルーティンでしゃべっているわけではないライブ感を、画面の向こうの皆様にも味わっていただきたいです。一花さん、きく麿師匠、小痴楽さんと、破壊力抜群のメンバーです。
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▽春風亭一花 しゅんぷうてい いちはな
26歳で入門、芸歴7年目、2018年3月に二つ目昇進。ステイホーム期間、オムライスをつくるも卵をのせることに失敗をしてしまい、いまオムライス作りに励んでいる、ふわふわ卵を目指している。

▽林家きく麿 はやしや きくまろ
24歳で入門、芸歴24年目。2010年9月真打ち昇進。観光地などにおいてある顔ハメ看板には、必ず顔を入れる。ステイホーム期間中は、新しいスタイルの落語を配信した。積極的に料理をする、新生姜の甘酢漬けをつくって、焼酎を飲む。

▽柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
16歳で入門、芸歴15年目、2009年11月二つ目昇進。2019年9月に真打昇進。「自粛」という熟語がとっさに出ず「謹慎」と言ってしまう。ゆっくりするときは長風呂をする、長風呂のお供には凍らせたあんずボー。

▽三遊亭楽大 さんゆうてい らくだい
祝!真打昇進、2007年26歳で六代目三遊亭円楽師匠に入門、2020年4月真打昇進。このステイホーム期間中は、オリジナルの合わせ調味料を使って鳥もも肉の生姜焼きをつくった。スマホについている歩数計を見てみると、4月22日の歩数は6歩。

レビュー

文:高祐(こう・たすく) Twitter:@TskKoh(梅雨時の体調管理は難しいと感じた6月上旬を乗り越えた。)

春風亭一花(しゅんぷうてい いちはな)-雛鍔
林家きく麿(はやしや きくまろ)-おもち
柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく)-磯の鮑
三遊亭楽大(さんゆうてい らくだい)-粗忽の釘

春風亭一花さん

  • 春風亭一花さん

新婚生活が11月から始まり、旦那さんたる金原亭馬久さんと一緒に荒波を乗り越えて行こう、と思っていた矢先、これほどの谷が来るとは思わなかった、とおっしゃっていた一花さん。この自粛期間中には、映画が趣味の旦那さんとともにゴッドファーザー1〜3を見きったというが、その影響で、もし馬久兄さんが自分をいじめたら、ドンたる自分の師匠一朝師匠は、きっと兄さんをボコボコにしてくれるに違いない、と考えたらしい。そんな「一族」の話から、とある3人家族が出てくる「雛鍔」の噺に入った。
まくらから本編に入るときの、一花さんの声色の変化が好ましい。まくらのほのぼのした声も素敵だが、古典落語に入ると、声の高さが少し下がり、ぐっと渋さと切れが増す。それが江戸の空気を運んでくるようで、噺の世界が広がる。
後説でサンキュータツオさんが言っていたが、難しい噺なのだろう。最後には植木屋さん、おかみさん、その夫婦の息子の金坊に、お店の旦那が加わり、皆が同じ長屋にいるので、それぞれを演じ分けなければいけない。冒頭でも植木屋さんがおかみさんに、出入りしているお屋敷での出来事を語る場面があり、そこでは若様やおつきの者たちの動きを語り、(息子と違う)若様の純朴さを見せてやらなければいけない。なかなか手強い噺なのだが、場面場面の情景が、聴く者にするりと入ってきて無理がなかった。どうせなら金坊、最後までお銭の価値がわからないふりをしようよ、と思いつつ、ふりをしきれないところに金坊の純朴さが見えた、可愛い噺だった。

林家きく麿師匠

  • 林家きく麿師匠

きく麿師匠ほどでも、忘れるということがあるのだな、と思って安心した。久しぶりの寄席で、まくらの話し方を忘れたとのこと。とっさに出た師匠たちの物真似が結構受けたという。その物真似の一部を見せてくれたのだが、師匠たちの顔や仕草を知らなくても、十分おかしさが伝わってくる。そして老人ホームの話から本編の「おもち」へ。
幸運なことにこの本編「おもち」を聞くのは2回目。「ごろうさん、大変だったらしいですな」。画面の向こうからこの台詞が聞こえた時に、「来た!」と叫んでしまった。老人ホームで、入居者の一人「ごろうさん」が喉にもちを詰まらせた事件から、お年寄りたちがもちの食べ方や、好きなもちの話をしたり、元の話に戻ったり、話が行きつ戻りつしていく噺だ。先ほどの師匠方の顔芸もそうだが、表情の捉え方とその表現がすごい。虚仮にするような誇張でもなく、お年寄りってそういう表情ってするよね、という表現なのだ。そしてお年寄りたちの会話から、人間関係もうっすらと見えてくる。話題を広げようとしていると、ちょっと強い言い方(否定)をする人が出てきて、喧嘩にならないように、話を変える、結果として話が戻ってきてしまう。最後にはごろうさんも登場して、「もちの話はもうええんじゃ」といってもどこまで行ってももちの話になる。このねちっこいもちの噺は、ふと老人ホームの話や、もちの話など日頃の生活の中で、ことあるごとに思い出されてクセになるのだ。

柳亭小痴楽師匠

  • 柳亭小痴楽師匠

「誰かがいるから噺ができる」と、6月上旬は浅草演芸ホールで久しぶりに高座に上がれて楽しかったという小痴楽師匠。自粛期間中は1日10時間にお風呂につかるなど楽しく過ごしたというが、高座に上がった日々は後輩を連れて飲み歩いたという。飲み方も落語に出てくるように先輩にたかりながら飲むという、自粛警察などどこ吹く風の若い江戸っ子を地で行く小痴楽師匠からは、やはり江戸っ子の噺が聴くのが楽しい。 今回は、吉原にいったことのない与太郎が、町内の若い者にそそのかされて吉原の遊び方指南を受けた挙句、全くその通りに吉原に遊びにいってみよう、という「磯の鮑」の噺。与太郎は基本的に道化キャラだから、聞いたことを全て、言ってはならないことまで含めてしゃべってしまうところがおかしい。吉原の遊び方指南をしてくれた「師匠」が話した想定問答を、道案内をするはずの牛太郎相手に話した挙句、お店のおばさんを「遣り手ババア」と呼んでしまう。出てきた花魁との掛け合いもおかしい。「師匠」から花魁とはタバコをとったりやったりするものだと聞かされたので、タバコを出してこない花魁に対して手真似でタバコの真似事をしてみせる。それを真似てみせる花魁も可愛い。そうそう小痴楽師匠は女性たちの演技も秀逸で、年増女も若い女も色気があって可愛らしい。江戸っ子らしい早口で、弥太郎のアホさ満点の直球さと、花魁の可愛らしさを描いていく、小痴楽師匠の魅力が全開の一席だった。

三遊亭楽大師匠

  • 三遊亭楽大師匠

4月1日に真打に昇進したという楽大師匠。真打お披露目の途中で寄席が休演になってしまったという一番つらい役回りの真打だ。落語家になる前は調理師をしていたというのが納得の、安心感を与える体格をされていて、この自粛期間は料理にはまっていたとのこと。そのせいで中性脂肪の値が上がってしまったとのことでしたが、これから高座が増えることで値が落ち着いていくことを願っています。 粗忽者が出てくる小咄の後に始まったのが「粗忽の釘」。調理師をしていたという背景を知ったせいだろうか、手の仕草が細やかで楽しい。風呂敷を四方にきっちり広げる仕草、タバコに火をつけた後に火鉢を閉じる仕草、ものを差す指先、それぞれの指の先から物が見えるようだった。江戸時代の事物に馴染みがある訳ではない現代の観客に、あぁそんなふうにものを使っていたんだなぁ、と感じさせてくれる。一方で粗忽者の大工が引越しと言われて箪笥など諸々の家財を持ち上げる場面で顔を真っ赤にして持ち上げようとしている、そういう不器用さもきっちり見せてくれる。大きな体だからこそ、丁寧な繊細な動きは映えるし、大きな動作にはどれだけ力がかかかっているんだ!という迫力が感じられる。高座の上では線の細い師匠の方が得なのかと思っていたけれど、全くそんなことはない、ということを改めて感じた一席だった。

写真:渋谷らくごスタッフ
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6月12日(金)

18:00~19:10

新真打・二つ目顔見世公演DAY1「第一部」

柳亭市若 春風亭朝枝 
柳家勧之助

20:00~22:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY1「第二部」

柳家小はだ 立川かしめ 
三遊亭遊七 瀧川鯉八
 三遊亭志う歌

6月13日(土)

14:00~16:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY2「第一部」

三遊亭小とり 三遊亭ぐんま 
柳亭市次郎 古今亭文菊 
三遊亭歌扇

17:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY2「第二部」

春風亭一花 林家きく麿 
柳亭小痴楽 三遊亭楽大

20:00~21:00

おしゃべり緑太の会

柳家緑太

6月14日(日)

14:00~16:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY3「第一部」

三遊亭好二郎  神田桜子** 
橘家文太 立川吉笑  
林家正蔵

17:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY3「第二部」

田辺いちか** 春風亭昇々 
隅田川馬石 春風亭一左

6月15日(月)

18:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY4「第一部」

三遊亭鳳笑 橘家文蔵

20:00~22:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY4「第二部」

台所おさん 玉川太福* 
三遊亭丈助 昔昔亭A太郎

6月16日(火)

18:00~19:00

新真打・二つ目顔見世公演DAY5「第一部」

三遊亭好志朗 林家彦三
 三遊亭花金

20:00~22:00

「しゃべっちゃいなよ」

三遊亭粋歌 笑福亭羽光 
柳家花いち 立川笑二 
瀧川鯉八
林家彦いち(トークのみ)