渋谷らくごプレビュー&レビュー
2022年 10月14日(金)~19日(水)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
本公演はオンライン配信視聴を行います。オンライン配信チケット ご購入はこちらから
劇場での観覧は当日券を窓口でお求めください。(前売券の販売は現在行っておりません。)
三遊亭青森 さんゆうてい あおもり
柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
快楽亭ブラック かいらくてい ぶらっく 「小判一両」
聴きごたえのある噺をじっくり聴く。そうした体験を久しくしていないのではないでしょうか。
本公演は、歌舞伎作者としても有名だった宇野信夫による創作人情噺「小判一両」を、芸歴50年を超える大ベテラン・快楽亭ブラック師匠が口演するまたとない機会です。昭和の名人 三遊亭圓生師匠の口演が有名な噺ですが、お噺を知らない人でも、ぜひ聴きにきてください。
前半は、すっかり渋谷らくごのトリックスターとして定着している若手の青森さん、そして人気真打 パーマの若旦那 柳亭小痴楽師匠です。会場をひとつにしてくれるはず。最後はブラック師匠の口演に聴き入っていただきます。
▽三遊亭青森 さんゆうてい あおもり 落語協会
23歳で入門、現在入門8年目、2019年2月二つ目昇進。Youtubeやtwitch.tvでゲーム配信をしている。最近はtwitchでゲームではなく「三題噺」の練習を配信している。ゲームは「ガンダムエボリューション」や「ファイナルファンタジー6」をプレーしている。
▽柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく 落語芸術協会
16歳で入門、芸歴17年目、2009年11月二つ目昇進。2019年9月に真打昇進。本が好き、本のお供には煙草「HOPE」。私服は白いTシャツを選びがち。いま一番出演したテレビ番組は「人志松本のすべらない話」。公演後の仲間内での打ち上げも大好き。
▽快楽亭ブラック かいらくてい ぶらっく フリー
16歳で立川談志に入門、芸歴52年目。90年、国立演芸場花形演芸会金賞、2000年、「快楽亭ブラック毒演会」が文化庁の芸術祭賞優秀賞を受賞する。2005年、落語立川流を自主退会。歌舞伎から日本映画まで深い知識がある。
レビュー
三遊亭青森-宿屋の富
柳亭小痴楽-置泥
快楽亭ブラック-小判一両
三遊亭青森さん
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三遊亭青森さん
なんでこのまくらだったのかはすぐに理解できた、富くじが主題の本編「宿屋の富」だったのた。主人公の旅人、大金持ちのふりをしていたら、なけなしの一文を宿屋の主人にほだされて、富くじにつぎ込んでしまう。青森さんが演じるこの旅人がかなり淡々としている。くじに対する執着が弱い、くじの番号を読み上げる童の声に大勢が一喜一憂していた湯島天神に、人がすっかりいなくなった頃に到着する。この筋書きは同じでも、当たらねんだよ、という冷め具合が青森さんの場合、とても冷めている。そして当たった時も、興奮しているのだが喜び爆発!というのではなくて、嘘だろ?!まずい!宿屋の旦那に当たったら半分くれてやるって言ってしまったぜ、仕方がないが帰ろう、と言って震えながら帰っていく。嬉しい興奮が感じられない。これほどマイナス方向の興奮は見たことがなく、これはこれであり得そうで面白かった。
実際に当たったらこうなるのかもしれない。。感じてみるために当たってみたい!
柳亭小痴楽師匠
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柳亭小痴楽師匠
頭が回らないと言いつつ、お口はきっちり回っており、ご自身の子供の保育園の運動会に行って帰された、という話にも笑った。やじりすぎて3回目の注意で●●くん(←多分実名)のお父さん帰ってくださーい、と言われたとのこと。小痴楽師匠が帰されている場面に出会してみたい。そしてその司会者もなかなかの遣り手だ。
この日の本編は「置泥」、泥棒が入った家で逆に持ち金やタバコを巻き上げられる噺だ。江戸っ子を地でいく小痴楽師匠には、勢いは良いがそそっかしい泥棒の側の面白さを期待してしまう。しかし最近は江戸っ子の噺でもそっち側ではない方、今回で言えば泥棒に入られた方、腹の座っている男の側も魅力的だった。泥棒から巻き上げたタバコを3回は吸っている、そのタバコの美味しそうなことと言ったら。ユーロシアターの背景も暗く(余計にそう見えた)、タバコの火が赤く見えるようだった。
しかし、師匠!オチで噛むなら、寝坊しないできっちり起きて来てください!(笑)
快楽亭ブラック師匠
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快楽亭ブラック師匠
冒頭は、師匠が好きとおっしゃる舞台のことで、京都の松竹座と南座でお芝居を見てきたというエピソード。南座で師匠は藤山寛美の33回忌記念興行をご覧になったとのこと。「藤山直美のお父様、藤山直美をご存知ない人は置いていきます」と言われて辛うじて笑えたくらいだが、それから一種の上方演芸史を滔々と述べられるのが格好良い。300万円のご祝儀と1人10万円のお車代5人分とは恐れ入るが、その浮世離れした話と、師匠の流暢な語り口で、一種の講談を聞いているようだった。
そして本編「小判一両」。入れ替わったかのように、空気がぐっと引き締まる。オンライン視聴でその緊張感を感じたのは初めてだった。
妻と子に先立たれ、博打で身を持ち崩し、父親に死の床で改心を求められて以来、形見の一両小判を持ってざるを売って歩く、ざる屋の安七、彼が浪人者の息子が起こしたいざこざを救い、形見の一両をその子供にくれてやる、それを恥じた親の浪人者が自殺する、という影のある物語ではある。だが、登場人物の誰もが芯を持っていて(意地悪な凧屋の親父すら)、「誰もが自負を持って生きている」という言葉がすっと心に入ってきた。誰しも自負を無くしては生きていけない、現代では誰も大きな声では言わないけれど、今も全くもって同じだと思う。ちょっといい、どころではなくてめちゃくちゃいい話を、直球で白ブラック師匠から聞かせていただきました。ありがとうございました。
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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