渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2022年 10月14日(金)~19日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

イラスト

10月18日(火)17:30~18:30 春風亭百栄 立川談吉

「創作らくご」百栄談吉中毒

ツイート

今月の見どころを表示

プレビュー

本公演はオンライン配信視聴を行います。オンライン配信チケット ご購入はこちらから

劇場での観覧は当日券を窓口でお求めください。(前売券の販売は現在行っておりません。)

 偶数月の火曜日は創作の日。日本中に創作らくごを手掛ける落語家は数あれど、この人にしか創れない、そしてこの人が語るのが一番面白い、という奇跡のような落語家さんはこの二人かもしれません。
 中毒者を多数生んでいる唯一無二のおふたりの創作らくごを、ぜひお楽しみください。配信でも楽しめる夕方公演です。

▽春風亭百栄 しゅんぷうてい ももえ 落語協会
年を取らない妖精のような存在。さくらももこ先生とおなじ静岡県清水市(現・静岡市)出身、2008年9月真打昇進。
落語協会の野球チームでは、名ピッチャー。アメリカで寿司職人のバイトをしていた。日常生活の様子はわからないが、猫好き。

▽立川談吉 たてかわ だんきち 落語立川流
26歳で入門、芸歴14年目、2011年6月二つ目昇進。iPhoneの待受が「いくら」。ラーメンが大好きで、冒険するよりは行きつけのお店に行くタイプ。雨の日サンダルを履いてコンビニに行ったところ転んでしまい、左足の親指を骨折してしまった。人生初の骨折。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き!)

春風亭百栄(しゅんぷうてい ももえ)-浮世根問(改)・桑名船(改)
立川談吉(たてかわ だんきち)-竹とんぼ

今月、とうとう全国旅行支援が始まりましたね!日常を離れ、気分転換できる旅行は大好きです。
が、どこも大人気で予約が困難。私もトライしましたが、行ってみたい旅行先はどこも売り切れでした(泣)。
しかーし!今日は落語で想像の旅に行ってきます。落語の妖精・百栄師匠&2019年渋谷らくご創作大賞受賞者の談吉さん、「中毒者を多数生んでいる唯一無二のお二人」が素敵なトリップに誘って下さること間違いなし!です。

春風亭百栄師匠「浮世根問(改)」「桑名船(改)」

  • 春風亭百栄師匠

今日の「創作落語」の会に、まさかの古典!しかも、二本立て!
百栄師匠の意外性には驚きです。
「浮世根問」は、ご隠居さんと八っつぁんの何気ない世間話で構成されています。話の所々で失礼な事を言ってしまう八っつぁん。それに時々キレるご隠居さん。
優しい表情でフワフワとしたやり取りが続くと思ったら、いきなり「なんじゃおまえー!」と鬼の形相になる百川師匠。顔の表情の激変が、まるでCGを見ているようでした。
と、二本目のまくらでは出身地・静岡の思い出話。静岡おでんが大好きだそう。子供の頃は、魚屋さんが雑魚を叩いてはんぺんを作るのを見たことがあるとか。
というわけで、お噺は「桑名船」。鮫の生贄になる男が、最期に語る講釈が必死すぎ。忠臣蔵かと思ったら平家物語となり、ついにはバットマンやスーパーマンも飛び出すハチャメチャぶり。結末は「鮫講釈」と同じですが、百栄師匠のハジけた演技が見ものでした。
子供の頃から沢山お魚を食べていたという百栄師匠。若さの秘訣はここにあり?!

立川談吉さん「竹とんぼ」

  • 立川談吉さん

最近、足の指を骨折したという談吉さん。痛そう!
そろそろーっと、ゆーっくり高座に上がる様子は、昭和の名人のよう。ちょっと心配ですが、正座は平気だそうです。さすが噺家さん。
まくらでは、その骨折の顛末を語る談吉さん(滑りやすいコンビニの床には要注意!)。それにしても、災いをもネタにしてしまうなんて転んでもタダでは起きない、さすが噺家さん!
痛ーい経験を語った後の今日のお噺は、可愛らしいファンタジー。傷ついて飛べなくなったペガサスを、竹とんぼ名人のお爺さんが空に飛ばしてあげます。ディズニー映画みたい!
談吉さんといえば、創作落語大賞受賞作品の「生モノ干物」のような奇妙な世界観が楽しいのですが、こういう可愛らしいお噺も良いですねー。
早く良くなって、素敵なお噺をどんどん創ってくださいね!お大事に。。

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
写真の無断転載・無断利用を禁じます。