渋谷らくごプレビュー&レビュー
2021年 10月8日(金)~13日(水)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
迷ったらまずこの公演、というのが「渋谷らくご特選会」。
今回は、真打昇進の迫る春風亭昇也さんをトリにすえて挑む挑戦回。しかも小せん師匠、玉川太福さん、文菊師匠と、確実に満足していただける流れから二つ目の挑戦を見届けていただきます。
聴く人を疲れさせずに楽しませる、お喋りしているけれど肩に力が入っていない、そんな人の芸を「軽い芸」といいます。軽妙ってことですね。昇也さんはまさに「軽さ」では随一ですが、軽い芸の人が誤解されがちなのがトリを取れる芸ではない思われてしまうところ。また、どの噺も印象がおなじだとか思われることも多いです。けれど、そんなことはありません。
うまさを気取られないほどの軽妙な芸質が、トリでも十分満足させられるということを、昇也さんは今日きっと証明してくれるはずです。乞うご期待!
▽柳家小せん やなぎや こせん 落語協会
22歳で入門、芸歴24年目、2010年9月真打ち昇進。橘家文蔵師匠と入船亭扇辰師匠と音楽ユニット「三K辰文舎」としても活動中。YouTubeでは曲の弾き語りを公開している、先日米津玄師の「死神」を弾き語りしてみた。
▽玉川太福 たまがわ だいふく 日本浪曲協会/落語芸術協会
1979年8月2日、2007年3月入門。サウナが大好きで、オフピークを狙いサウナに通い続ける。日本中に行きたいサウナがある。アイスクリームの食べ方を工夫する傾向がある。最近は、アイスバーの「チョコバッキー」をホットチョコレートに浸して食べる。
▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく 落語協会
23歳で入門、芸歴19年目、2012年9月真打昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近ダイエットに挑戦中。大学では漕艇部に所属、熱中していたが、オリンピックでボートは見ない。
▽春風亭昇也 しゅんぷうてい しょうや 落語芸術協会
千葉県野田市出身。2013年1月二つ目昇進。御朱印を集めている。ジャパネットたかたの「夏のエアコン祭り」の全国CMに、国分太一さんと一緒に登場している。写真を撮られるとき両手でピースしがち。
レビュー
柳家小せん(やなぎや こせん)-道灌
玉川太福(たまがわ だいふく)/玉川鈴(たまがわ りん)-石松代参
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)-粗忽長屋
春風亭昇也(しゅんぷうてい しょうや)-大工調べ
緊急事態宣言明け!久しぶりの会場での観覧です。
やっぱり生の落語は良いなー。涙が出そう。。
柳家小せん師匠「道灌」
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柳家小せん師匠
お噺も、書や骨董品集めが好きな優雅なご隠居さんが登場。遊びに来た八五郎さんに、お茶を飲みながらコレクションの説明をしています。その中に、娘がお盆に花を載せて貴公子に差し出している場面を描いた絵が。。この絵が意味する物語は、一体何でしょう?
村雨の中に佇む狩装束の道灌公、山吹の花を差し出す少女。ロマンチックな美しい画を想像してしまいます。
が、後半は「青菜」のように優雅な人の真似をして、失敗してしまう笑い話に早変わり!
ご隠居さんの優雅さと八五郎のトボケた雰囲気を演じ分ける小せん師匠の表情に最後まで釘付けでした!
玉川太福さん「石松代参」
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玉川太福さん
というわけで、今日は旅のお噺。
森の石松は、次郎長親分の代理で金毘羅さん参拝に出かけます。清水から四国なんて、当時は海外の様な大旅行だったでしょう。沢山の地名や人の名前が、ラップの様にリズミカルに語られるのが玉川流。耳に心地良くて、ずっと聴いていられそう。
途中、船の乗客が渡世人の噂をしているのを聞いて、自分の評判が気になってしまう石松。ついに身を乗り出して、噂話に加わってしまうのが滑稽です。今で言うエゴサーチのような物でしょうか?
昔も今も、人間は変わらないですね。
古今亭文菊師匠「粗忽長屋」
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古今亭文菊師匠
前の太福さんを受けて「浪曲は良いですネ、格好良い」と、浪曲と落語の違いを解説。浪曲は任侠物など英雄の武勇伝などが多く、落語は庶民のしくじりを笑うお噺が多い、とのこと。
というわけで、今日は粗忽者=そそっかしい人が登場。
ある日、八っあんが浅草の観音様を通りかかると、行き倒れに黒山の人だかり。顔を見るとその行き倒れは、なんと長屋の友達・熊さん!確認のために長屋まで熊さん本人を呼びに帰り(?)、熊さんも八っあんに呼ばれて自分の死骸を確認しに行く(??)という、なんともシュールなドタバタ噺。爆笑ものです!
文菊師匠の様な優雅な演者さんは、廓噺や人情噺がお似合い?と思いがち。ところが、文菊師匠によるこの様なドタバタコメディは意外と面白かったのです!え?文菊師匠がこんなおバカな表情するの!?と逆に感動的。。これがギャップ萌え、というのでしょうか?
春風亭昇也さん「大工調べ」
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春風亭昇也さん
シャキッというか、シャキシャキ?
プレビューによると軽妙な芸風が特徴的な方だとか。そんな昇也さんにピッタリな「大工調べ」!リズム感抜群に捲し立てる長ーい啖呵が聴きどころです。
家賃滞納のカタに道具箱を押収されてしまい、仕事が出来ない大工の与太郎さん。見かねた棟梁が大家さんに交渉に行きますが上手く行かず、とうとう大炎上。人情ナシで正論を振りかざす大家さんに逆ギレし、クライマックスで激しい啖呵を浴びせます!
お馴染みの顛末をとってもコミカルにテンポ良く聴かせる昇也さんはさすが!ずっと心を鷲掴み、ワクワクして思わず見入ってしまいました。