渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2022年 2月11日(金)~16日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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2月12日(土)14:00~16:00 三遊亭好二郎 橘家圓太郎 玉川太福* 古今亭文菊

「渋谷らくご」 聴きごたえたっぷり!爆笑演芸会

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プレビュー

 登場するだけで雰囲気を一変させる力をもつ演者たちが集う本公演、トリは妖気と色気を併せ持つ奇跡の若手真打、文菊師匠です。
 圓楽一門会からは軽さのなかに深みを感じさせる落語の好二郎さん。そのあとに圓太郎師匠を見て、この不安な世の中で堂々と自信を持って語ってくれる落語にただただ安心して笑ってほしいです。浪曲 玉川太福さんは、古典に創作、そして半古典といってもいい「寅さん」シリーズの浪曲化など、浪曲の可能性を拡げているパイオニア。文菊師匠までの流れも楽しんでいただきたい番組です。

▽三遊亭好二郎 さんゆうてい こうじろう 圓楽一門会
2016年25歳で三遊亭兼好師匠に入門、2020年2月二つ目昇進。マスクは黒色やグレーを選びがち。竹下製菓のブラックモンブランというアイスがソウルフード。家のテレビは壁掛け風のテレビ台を使用している。

▽橘家圓太郎 たちばなや えんたろう 落語協会
19歳で入門、芸歴41年目、1997年3月真打昇進。怒りん坊なキャラクターで、オヤジの小言マシーンぶりは渋谷らくごでも爆笑を生んでいる。将来PTAの会長になるのではないかと危惧している。普段は優しく、裏表のない気持ち良い人なのです。ラガーマン。

▽玉川太福 たまがわ だいふく 日本浪曲協会/落語芸術協会
1979年8月2日、2007年3月入門。サウナが大好きで、オフピークを狙いサウナに通い続ける。日本中に行きたいサウナがある。地方公演に行ったとき2時間あればさくっとサウナに入る。上京してから、7回引越しをしている。先日新しい宣材写真を撮った。

▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく 落語協会
23歳で入門、芸歴20年目、2012年9月真打昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近ダイエットに挑戦中。大学では漕艇部に所属、熱中していたが、オリンピックでボートは見ない。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き!)

三遊亭好二郎(さんゆうてい こうじろう)-二階ぞめき
橘家圓太郎(たちばなや えんたろう)-百川
玉川太福(たまがわ だいふく)/玉川鈴(たまがわ りん)-浪曲偉人伝
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)-転宅

北京オリンピック、始まりましたね!若い選手も、経験豊富な選手も、皆大活躍です。人間の可能性とパワーは凄いな!
今日の渋谷らくごも、バラエティ豊かでパワフル!
軽く聴きやすい好二郎さん、安心のベテラン・圓太郎師匠に、古典も創作もサイコーに面白い浪曲師の太福さん。そして、トリは妖しい魅力満載の文菊師匠!とっても楽しみです。
さて、どんなお噺は飛び出すでしょうか?

三遊亭好二郎さん「二階ぞめき」

  • 三遊亭好二郎さん

今日は、お世話になった先輩方が一緒にご出演で嬉しいそう。
特に太福さんには、盗難にあった時や九州のご実家が被災した時、お見舞い金を頂いたりしてお世話になったそう。頼れる先輩の太福さん、そして良い芸人になって恩返ししたいという好二郎さん、おふたりとも立派です!
成功したら虎ノ門(虎ノ門ヒルズの居住棟でしょうか?)に住みたいという好二郎さんの、今日のお噺は妄想がテーマ。
吉原大好きな若旦那。女好きというよりも「吉原という街」が好きで、もう止まらない。そこで番頭さんは、空いている二階に吉原を再現することに。若旦那は、その吉原のセットで妄想を炸裂させて一人楽しむのですが。。
一人何役もこなして自分の世界で遊ぶオモシロ若旦那を、くるくる変わる表情で軽快に演じる二郎さん。登場人物が多くて忙しいー!特に、一人喧嘩のパントマイムは圧巻でした。何という想像力、というか妄想力?この若旦那を現代によんでVRを見せてあげたい!

橘家圓太郎師匠「百川」

  • 橘家圓太郎師匠

元気な小言マシーン、圓太郎師匠。でも最近はちょっと弱気だそうです。花粉症とコロナ感染の症状が似ていて、ドキドキ心配な毎日。そして、落語関連のイベントも次々と中止で寂しいー。。春も近いし、お祭りが恋しいですよね。
さて、ここでお祭り繋がりで、祭具「四神剣」の説明が。そしてお噺は「百川」に突入。田舎から出て来た奉公人・百兵衛さんが巻き起こす騒動は、ホントにあったお話だそうですよ。
テレビもネットもない昔、方言は外国語のようだったのでしょう。誤解が誤解を呼び、勘違いコントみたいな顛末は爆笑モノです。実話だなんてビックリー。素朴な田舎者を演じる圓太郎師匠が、オモシロ可愛いくてとってもチャーミングでした!

玉川太福さん「浪曲偉人伝」

  • 玉川太福さん・玉川鈴さん

先程の好二郎さんのまくらを受けて、「自分も前座の頃は大変だった」としみじみ。というわけで、今日は太福さんの修業時代の思い出を、ふしに乗せておとどけ。その名も「浪曲偉人伝」!漫画・寄席芸人伝も真っ青です。様々な個性的レジェンドが登場します。
当時若い男性の弟子入りは少なく、太福さんは最年少。
90〜100歳の現役師匠方もいらして、お手伝いに大忙しだったそうです。そして、クライマックスは「入れ歯」事件!90代の師匠に起きた衝撃の事件には、とにかく笑ったー!
知られざる浪曲師の世界の、とっても貴重なお話。かつては芸能人の長者番付に浪曲師が連なる時代もあったとか。お噺に登場する師匠方をCDなどで聴いてみたくなりました。どの世界でも、レジェンドの物語は面白いですねー。

古今亭文菊師匠「転宅」

  • 古今亭文菊師匠

圓太郎師匠に、いつも褒められるという文菊師匠。チャームポイントは、気持ち悪いところ、ヒューマニズムがないところ、だそうです。それって褒め言葉?
今日のお噺は、強盗を色仕掛けで言いくるめてしまう腹黒美女が活躍する「転宅」。文菊師匠が演じる女性が大好きなので、やった〜!と嬉しくなってしまいました。好きなお噺が飛び出した時、又、この師匠ならこんなお噺だったらならイイナ、と思っているのが叶った時の高揚感や喜びも落語ならではでしょう!
さて、転宅に登場するお妾さんは、家に入ってきた強盗を誘惑して夫婦になる約束までしてしまいます。何という魔性の女!騙される男の純情さは信じがたいのですが、お金も奪われた上に笑い者にされるなんてちょっと可哀想。頭の良い腹黒美女は最強ですね。文菊師匠の妖しくズル~い演技は、感動モノでした!