渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2023年 5月12日(金)~16日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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5月16日(火)18:00~19:00 立川笑二 玉川太福

「ふたりらくご 月刊太福マガジン」5月号 ★配信

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プレビュー

 今年から復活の「月刊 太福マガジン」の5月号、浪曲師 玉川太福先生の高座で大満足間違いなしの公演です!ここ一ヶ月の身辺雑記を浪曲化。この芸能の万能性を体感してください。 初心者もぜひぜひ足を運んでくださいね! 先月から今月にかけては「笑点」にて玉川祐子師匠との共演でも話題になった太福先生。二人目のお弟子さんも順調に育っているようです。
 お相手は二つ目の立川笑二さん。不気味な世界を語るのも、滑稽な世界を語るのも得意。どこか愛らしく意地も悪い、独特の魅力のある落語家さんです。絶対オススメ!

▽立川笑二 たてかわ しょうじ 落語立川流
20歳で入門、芸歴12年目、2014年6月に二つ目昇進。2019年と2020年の「渋谷らくご大賞 おもしろい二つ目賞」受賞。沖縄県出身。お酒を飲まないで寝る日に、大学入試の国語の問題を解くことがある。携帯電話の連絡先の件数が増えるとテンションが下がる。

▽玉川太福 たまがわ だいふく 日本浪曲協会/落語芸術協会
1979年8月2日、2007年3月入門。サウナが大好きで、日本中に行きたいサウナがある、旅先に行った時寄れるサウナがあれば必ず寄る。銭湯に行ってストレスを発散する。オーストラリアと南アフリカの植物をプレゼントされたが、品種を失念してしまった。

レビュー

文:高祐(こう・たすく) Twitter:@TskKoh

立川笑二-猫忠
玉川太福/玉川鈴-卯月あれこれ〜廓・披露目・手習〜

週末の予定をやりくりしても会場に行けない月が続く。今月も残念ながらオンライン視聴。平日に、視聴しながら帰る、仕事帰りの電車が楽しくなるのがせめてもの救い。。

立川笑二さん 「猫忠」

コロナ禍に凄みがかった精悍な顔になっていた笑二さん、最近はまた福々とした顔になっていらっしゃっる。
冒頭の小話、まくらは笑二さんご自身に起こった不思議なお話。道すがら、若い女性に笑二さんが履いていたスニーカーを褒められ、笑二さんがその女性にそのスニーカーを売っているお店まで同行し、そしてスニーカーの一部代金を支払わされ、あげく喫茶店でとんずらされたという。勝手な想像だが、この女性、引き際がわからなくなってしまったのだと思う。もしまた会える機会があったら、今度は是非笑二さんから帰るタイミングを切り出してみてください。そしたらきっと相手から連絡先を聞かれるのではないでしょうか、と妄想してみる。とにかく落語か?!というくらい見事なオチのついた話だった。
そして入った本編は「猫忠」。笑二さんの手にかかると、古典も古典じゃなくなる、といったら大袈裟なのだが、笑二さん流に消化されていて違和感がない。それが笑二さんの魅力で、今回も浮気を目撃した町内の兄貴分の奥さんに告げ口しに行こうとする二人の輩が生き生きとして、なんかそこらへんにいそうなのだ。出てくる人物たちが古典を超えて、今でもこういう人いるだろな、と感じさせる魅力に溢れている。浮気をしていると思った兄貴が、狐狸妖怪だとわかり「ぴょこぴょこだよ〜」と大声で知らせる、ってちょっとおかしいのだが、この二人ならいいそうだわ〜、という自然な感じが楽しい。
まぁ狐狸妖怪に騙されていたお師匠さん(実は、というオチはあるが)と比べたら、笑二さんが騙されたのはきっと生身の人間だったし、実害は数千円とブロークンハートだけで、生きて帰れてよかったですね。

玉川太福先生 「卯月あれこれ」ー廓・披露目・手習ー

月刊太福マガジン5月号はあれこれ身辺雑記ということで、太福先生曰く「コース料理」的に品数が、いやお題がいくつか。まずは広島の、50人も入ればいっぱいになるローカルな公民館での一席のこと。老若男女が集う公民館での一席というのは、なかなかスリリングそうだ。手前には子供たち、奥には浪曲も聴き馴染みのあるご年配方がいるとなると、経験があったとしても演目選びから大変そうだ。ただ小学生にも「紺屋高尾」が好評だったとのこと。「鬼滅の刃」のおかげで遊郭の意味が大体は伝わっていたらしい。あとはやっぱり「紺屋高尾」自体が持つ力と、太福先生の語りによるのではないでしょうか?!
続くコース料理二品目は、太福師匠が真打襲名披露公演の後のお披露目にご参列された時のお話。こういうお披露目というのは、真打を襲名する落語家の方々が、結婚披露宴よろしくお世話になった先輩、業界の方々を招いて行うものらしい。で、そのお披露目ではそれぞれの真打がどなたかを招いて一芸を披露してもらい、お客様をもてなすものらしい…ってこれってすごく怖くないでしょうか。プロの芸人が居並ぶ前で、芸人が芸を披露する。。そして太福先生ご自身も、神田伯山師匠の真打披露で、そのお披露目の場を務められたとのこと。その時の太福先生の経験については、話半分に聞くとしても、お披露目の場の一席を務められる芸人さん目線でその場を見てしまうというお話でございました。芸人たちが目を光らせて芸を見ている、その場面を想像して少し背筋が寒くなりました、いや、すごい。
さて、最後は極短く「祐子の手習」、太福先生のおかげでみんな大好き、今年御年100歳になられた曲師の玉川祐子師匠のお話です。最近の渋谷らくごのポッドキャストでも太福師匠の祐子師匠のネタがありましたね!
さて、この師匠が(実は4年前に)スマホを持った!使いこなせるか否か・・が祐子の手習の一席。めちゃくちゃあっさり終わってしまうので、もしこれから聞かれる方はあまり期待なされないでください、もちろん悪い話じゃなくて、そうよね〜というほっこり感で終わります。 コース料理の月刊太福マガジンも堪能させていただきました!