渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2023年 9月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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9月10日(日)14:00~16:00 春風亭昇々 橘家文吾 三遊亭丈二 玉川太福

「渋谷らくご 月刊太福マガジン」月刊太福マガジン9月号

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プレビュー

  浪曲師・玉川太福先生が、毎月の身辺雑記を浪曲化する「月刊太福マガジン」9月号です。落語も浪曲も話芸ですが、曲師の弾く三味線に合わせて唄うように語る浪曲は、実は落語よりも初心者に親しみやすい。音楽を聞くような、お話を聞くような、エンタメ性に満ちた浪曲を多くの人に楽しんでいただきたい!
 前方には、落語界の妖精たち・昇々師匠と丈二師匠。ふたりの妖精に挟まれる形で二つ目の文吾さんの高座に期待。

▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう 落語芸術協会
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2021年5月真打昇進。「2016年渋谷らくご大賞」受賞、「2020年渋谷らくご創作大賞」受賞。郊外に移住しているので、自然に囲まれて過ごしている。先日パンツを履かないで浴衣を着た、テンションが少しあがった。

▽橘家文吾 たちばなや ぶんご 落語協会
21歳で三代目橘家文蔵師匠に入門、芸歴10目、2018年11月二つ目昇進。先日10年ぶりにスマホを機種変更した。「君たちはどう生きるか」を見ようと映画館に向かったが、上演前にビールを飲んでしまって鑑賞を諦めた。

▽三遊亭丈二 さんゆうてい じょうじ 落語協会
19歳で入門、現在芸歴33年目、2005年9月真打昇進。落語協会のアウトドア好きな芸人さんたちの集まり「マンタ倶楽部」の一員。資格マニアで、珠算1級やカラーコーディネーター2級など様々な資格をもつ。

▽玉川太福 たまがわ だいふく 日本浪曲協会/落語芸術協会
1979年8月2日、2007年3月入門。サウナが大好きで、日本中に行きたいサウナがある、旅先に行った時寄れるサウナがあれば必ず寄る。銭湯に行ってストレスを発散する。先日ネットフリックスでみた「マスクガール」に感銘をうけた。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@sowaka2020 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。映画、海外ドラマ、落語、読書が大好き!映画などの感想レビューもツイートしてます)

春風亭昇々-壺算
柳家文吾-紙入れ
三遊亭丈二-蕎麦の殿様
玉川太福/伊丹明-夏の終わりのダイナソー

まだまだ暑いですね。
残暑、長すぎるし厳しすぎる!もう「暑さ寒さも彼岸まで」ではなくなるのでは。。少しでも快適に過ごしたいですね。
暑い日はインドアが一番、涼しい会場で楽しめる落語は最高です!が、結局、笑いすぎて汗だくになってしまうかも。。

春風亭昇々師匠「壺算」

百栄師匠と共に、元祖「落語の妖精」である昇々師匠。不思議な魅力に溢れた方です。
まくらでは夏の思い出、なんと宿泊先のホテルが火事に!寝巻で外に逃げたら、警報器の誤作動だったとか。。「火事はなかったけど顔から火が出た」というオチでした。
ピンチ繋がりでお噺の方は、ショッピングにおける大ピンチの物語「壺算」。ある男が、お買い物上手、というにはあまりにも度を越したズルい方法で、お目当ての商品をせしめてしまいます。
無理な値切りで店主を追い詰める男の興奮した様子、そして煙に巻かれた店主の苦悩の表情や「お客様ー!」という必死の叫びが、ホントにオモシロ怖かったー。これ、本当に古典落語?という感じのオリジナリティ。というか、今日もまた昇々師匠の狂気を感じてしまった。。

橘家文吾さん「紙入れ」

お久しぶりの文吾さん。登場直後に感じたのが、オーラの圧が増したというか、なんか以前より堂々としている!若手の方々の変化を感じるのも、渋谷らくごならではの楽しみですよね。私はこの方の、(文蔵師匠ゆずりの?)皮肉っぽい表情が大好きです。かっこいい。
そんな文吾さん、横浜ランドマークタワーでの子供向け怪談会で女児にモテた、とのこと。キュンとするような女の子の振る舞いは、小さくても「女」そのもの。日頃の姪っ子さんや奥さんとのやり取りでも「女性には敵わない」と思うことが多いとか。
というわけで、今日は、大胆なおかみさんが登場する「紙入れ」。テーマは不倫ですが、度胸あるおかみさんと、怯える小心者の間男のギャップが面白かったです。
これと同じお噺、つい最近wowowで落語をドラマ化した番組で観ました。おかみさん役を演じるのは吉田羊でしたが、文吾さんの方が色っぽかったですよ!特に、目力が。。

三遊亭丈二師匠「蕎麦の殿様」

実は今日、初めましての丈二師匠。プレビューによると、この方も「落語の妖精」だそうです。一体、落語界に妖精は何人いるのでしょう?
それだけ、魅力ある方々が沢山いるということでしょう。
真打昇進前のお名前は小田原丈(でも、小田原出身ではナイ)。名付け親の円丈師匠はユニークな方で、写真を撮る時に「チーズ」というと激怒されたとか(←理由は不明)。それでも落語界はタテ社会、師匠の言うことは絶対、だったそうです。
タテ社会といえば、昔はお殿様が絶対的存在。このお殿様が蕎麦打ちにハマってしまう「蕎麦の殿様」。
手作りに凝って色々プレゼントやご馳走してくれる人、実は迷惑だったりしますよね。それが自分の上司、殿様だと「嫌」だとは言えず、もう命がけ。家来達は、お腹をこわしながら生煮えの不出来なお蕎麦を食べ続ける羽目に。。家来達の哀れな様子と、お殿様の呑気なおとぼけぶりが、丈二師匠の演じ分けで明暗くっきり。面白いけれど、何だか可哀想になってしまいました。

玉川太福先生「夏の終わりのダイナソー」

今日は月刊太福マガジン、太福先生が身辺雑記を浪曲にしてお届け。「どんな事でも、何でも浪曲化できるよ」という試みでもあります。
これまでも、名寄のスキー場でのテントサウナ体験や、西の聖地と呼ばれる熊本の素敵なサウナについてなど数々のエピソードを浪曲に、ん?サウナの話ばっかり。。
今日は、夏休みの思い出。娘さんを連れて新潟に里帰りして、実家のお母さんは大喜び。ただし、ばーちゃんと呼ぶのは禁止で呼び名は「あーたん 」、可愛い!
さて、太福先生は実家近くに気になるスポットを発見。それは家の近くに見える観覧車、そう、知る人ぞ知るローカル遊園地!早速、家族を連れて、その遊園地・サントピアワールドを探検に行きます。2000台の駐車スペースには12台しか停まっておらず、巨大遊園地をほぼ貸切状態。園内には、二階建てメリーゴーランドなど珍しい遊具もあるそうです。
その中でも特に印象的だった「ダイナソーアドベンチャー」。気温35度の炎天下で、辿り着いた先に見た衝撃の光景とは!?
何体ものダイナソーロボットが待ち受ける衝撃のアトラクション。なんか楽しそう!ディズニーランドより行ってみたくなりました。
なんとこのサントピア、「来ないと、つぶれるよ!」というキャッチフレーズでクラウドファンディングを行なって、5000万円以上の寄付金を集めたとか。。なんというユーモアのセンス!新潟、恐るべしですね!

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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