渋谷らくごプレビュー&レビュー
2023年 10月13日(金)~17日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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- 10月13日(金)
-
18:00~19:00
「ふたりらくご」 下北半島の怪物 三遊亭青森五日間day1 ★配信
三遊亭ぐんま 三遊亭青森
-
20:00~22:00
「しゃべっちゃいなよ」★配信
立川かしめ(代演)入船亭遊京
柳亭信楽 立川寸志
立川吉笑「ぷるぷる」
- 10月14日(土)
-
14:00~16:00
「渋谷らくご」
柳亭市童 快楽亭ブラック
林家きく麿 蜃気楼龍玉 -
17:00~19:00
「渋谷らくご」 下北半島の怪物 三遊亭青森五日間day2
三遊亭ふう丈 林家しん平
古今亭文菊 三遊亭青森 -
20:00~21:00
「おしゃべり緑太の会」★配信
柳家緑太
- 10月15日(日)
-
11:00~12:30
「はやおきらくご」
桂南楽 柳亭市好
桂笹丸 立川らく兵 -
14:00~16:00
「渋谷らくご」
桂伸べえ 柳亭小痴楽
橘家圓太郎 柳家さん花 -
17:00~19:00
「渋谷らくご」 下北半島の怪物 三遊亭青森五日間day3
春風亭朝枝 春風亭百栄
田辺いちか 三遊亭青森
プレビュー
※出演予定だった林家きよ彦さんは、インフルエンザ感染のため休演となりました。
ご了承ください。
代演は 立川かしめさんにお願いすることとなりました。
公演をお楽しみいただけますと幸いです。
*配信チケットあり
*予定していた林家きよ彦さんは体調不良のため出演ができなくなりました。ご了承ください。
渋谷らくごの偶数月は、団体・キャリア関係なしの、創作らくごネタおろし会「しゃべっちゃいなよ」。2023年の第5回です。
古典落語でもネタおろし(はじめて人前で演じること)は大変緊張するもの。さらにそれが創作らくごとなれば、自分のすべてをさらけ出す気概が無くてはできません。楽屋の張り詰めた空気、演者たちのヒリヒリは、いつしか客席にも伝わり、会場は独特の雰囲気に包まれる。その雰囲気に病みつきになる人続出の人気会です。まだ未体験の方、お待ちしてます。
今月も曲者が揃いました。古典のイメージの遊京さんは初参戦。肝の据わった二つ目信楽さんは3回目。2018年以来2回目参戦の寸志さん。レジェンド噺には、吉笑さんが「ぷるぷる」がはやくも殿堂入り作品として登場です。
▽入船亭遊京 いりふねてい ゆうきょう 落語協会
22歳で入門、芸歴14年目、2015年11月二つ目昇進。勉強会の前日はそわそわした気持ちで過ごす、カップ焼きそばがうまく作れなくなる。アップルパイが好き。先日法務省で落語会をおこなった、法務大臣席に座って記念写真を撮る。
▽柳亭信楽 りゅうてい しがらき 落語芸術協会
30歳で入門、芸歴9年目、2018年二つ目昇進。ツイッターやラジオトークなどで発信している。酔った深夜にもラジオトークを配信することがある。創作らくごを作らなくてはいけないときに、なぜか王様のブランチを見てしまう。早速夏が恋しい。
▽立川寸志 たてかわ すんし 落語立川流
44歳で入門、芸歴12年目、2015年二つ目昇進。編集マンをやめて、落語家になったので落語会のチラシ制作などが得意。落語の現場を歩いてみる。昂ぶっているときは黒霧島の水割りを5杯飲んで寝る。気分転換に髪の毛を剃る。
▽立川吉笑 たてかわ きっしょう 落語立川流
26歳で入門、現在芸歴13年目、2012年4月二つ目昇進。「渋谷らくご大賞2021」&「創作大賞 2021」初のW受賞者。「2022年NHK新人落語大賞」受賞。「真打トライアル」を始動している。先日、猪苗代湖畔の野外フェスに落語家として出演した。
レビュー
立川かしめ-Blue Blue ※代演
入船亭遊京-とうふのかど
柳亭信楽-腰痛
立川寸志-シースルー武田
立川吉笑-ぷるぷる
プロデューサー: 林家彦いち
出演を予定していた林家きよ彦さんが、インフルエンザで急きょ休演。「ゆる募」の代演募集で真っ先に手を挙げた立川かしめさんが出演することになりました。「しゃべっちゃいなよ」の代演は、2021年4月の三遊亭兼太郎さんから三遊亭青森さん代わって以来、2度目です。今回も、勇者募集に複数の申し出があったそうで、大阪の落語家さんから連絡があったとか。
そんな中、わずか1日、2日でネタを作ってきたかしめさん。こしら師匠のもと、さまざまなむちゃぶりに応え、経験を積んできたせいか、ピンチをチャンスに変える術を知っています。思いもよらない作戦で私たちを驚かせてくれました。
続く、遊京さん、信楽さん、寸志さんもそれぞれ新境地を見せてくれて、印象深い公演になりました。信楽さんとかしめさんは、ちょちょら組対決で早慶戦。遊京さんと寸志さんは京大vs都立大のインテリ対決。「この一席」で登場の吉笑さんは、「ぷるぷる」で横綱相撲の貫禄。真打トライアルが続く中で、充実した高座を見せてくれました。
立川かしめさん
コーラのペットボトルを「振り、振り」しながら、「インフルエンザ」でボケ倒すネタを披露しようとした矢先、かしめさん自身に異変が生じました。ネタを忘れて、舞台上で絶句してしまうのです。右手で顔を押さえて、沈黙していると、突然どこからか謎の声。それは、絶句中のかしめさんの「心の声」でした。
ここからはネタばれですが、かしめさんの「心の声」を事前収録の音声(SE)で流し、舞台後方のディスプレイには、架空のかしめさんがやろうとしていたインフルエンザネタの大喜利が、字幕で勝手に進んでいくというシュールな展開。それが最後まで続いてサゲで終了。舞台上で15分間一言もしゃべらず、音声のみで約15分を乗り切ってしまいました。
ドキュメンタリー風に進みつつ、結果的に創作になっていて、観客の私たちをハッとさせて、ドキッとさせる。企みどころ満載で、ジェットコースターに乗った気分になるスリル満点の落語でした。ほぼ全編をSEに任せることで、話を覚える作業は省ける反面、ネタは早い段階で完成させて事前に収録する必要があります。スタッフさんとの打ち合わせも必要で、ミスが発生する可能性もあります。客席の雰囲気を見ながら途中で方向の修正もできない。まさにリスクを取ったチャレンジで、一か八かの大ばくち。かしめさんさんの腹が据わった渾身の一席でした。心の声のSEの中身は、ほぼかしめさん自身が素で思っていることや、目の前の状況をしゃべっているイメージで、ぼやきネタとして楽しめました。
入船亭遊京さん
夫が仕事から帰ってくると、SNSを見ていた妻から「これ、私だよね?」の一言。夫が嫁の悪口専用アカウントを開設し、「プリプリおならまん」の名前でぼやいているのが見つかってしまったらしい。さらにSNSの文面から、夫の浮気疑惑も発覚。問い詰められた夫は、愛しているのは「豆腐」のことだというが、妻は信じられない。「豆腐の角に頭をぶつけて死ね」の一言で、夫は「そうします」とずぶずぶ豆腐の中。「夢が叶った」と喜ぶ夫に、「出てきて話し合いましょう」と妻。そこから2人のなれ初め話が始まって……。という話です。
聴きどころ、見どころは豆腐の中に入っていく夫、豆腐の中で妻と会話をする夫の姿です。古典落語の「あたまやま」も顔負けのSFチックな展開。豆腐の中に入った夫に対して、妻は「思い出の麻婆豆腐を作る」といってさいの目に切り出します。アメーバ状態になった夫はさらにしゃべり続けます。そこから始まる豆腐料理の数々。あり得ない展開ですが、頭の中で想像する落語なので、意外とすんなり受け入れることができてしまいます。倦怠期突入期の夫婦の会話も、リアリティがあって共感しやすい。創作落語としてはとんでもない冒険作ですが、どこか懐かしく、不思議なものを聴いた気分になりました。
柳亭信楽さん
遅刻ギリギリに起きて、学校に出かけたキョウコと、同じくギリギリで家を出た「ぎっくり腰」持ちのワタルが、街中で「バチン」とぶつかった。気が付くと、2人の体は入れ替わっていた。しかも「ぎっくり腰」の症状までキョウコの体に移ってしまう。しかし、ワタルの体にもぎっくり腰が残っていて、2人とも動けない。そこに駆け付けた柔道部の友達に助けを求めるが、友達にもぎっくり腰が伝染。次から次へとぎっくり腰が伝染していき……。という話です。
お笑い、テレビ、マンガなどエンタメ世界の「お約束」を取り込んで、ドタバタ喜劇に仕上げた信楽さんの完全勝利です。コント風でもあり、マンガ風でもあり、古典落語の長屋もの風でもあり、きちんと落語になっているのがすごいです。パターン化はされていますが、キャラが強い人物も出てくるので、単調になりません。何より、変な小細工なしにど真ん中を駆け抜けた勇気が素晴らしいです。
ストーリーのある創作落語も面白いですが、ストーリーのない馬鹿馬鹿しい話は、聴き終わった後の爽快感が違います。最近の真打ならきく麿師匠、ベテランだと桃太郎師匠などが代表格ですが、信楽さんの作るストーリーのない落語も角度が違っていて面白い。作れる人は多くないだけに、このまま信楽落語を磨いていって、楽しい落語を聴かせて欲しいです。
立川寸志さん
主人公のシースルー武田は、若手の「透明人間芸人」。透明人間なので、客席からは姿が見えません。フリップ芸も、フリップだけが舞台に置かれていて、見えない手によってフリップがめくられていきます。ネタとネタの間のブリッジ「ハイ、シースルー」の決めポーズも声だけしか聞こえてきません。シースルー武田の漫談ショーが進む中、ある一言で、新たな事実が発覚して……。という話です。
ほとんどはシースルー武田の漫談しゃべりで進行するのですが、最初は透明人間だった彼が、なぜ透明人間になったのか、生い立ちを語るくだりがあったりして、わかりやすいです。透明人間芸人が、バイトで食いつないでいる設定もユニークで、見えなくてもできる仕事があるのかと妙に納得してしまいました。若手芸人の設定ですが、漫談を作っているのは寸志さんなので、妙におじさんぽいネタが続いていきます。
語りを通して、見えない姿を想像させるのが落語です。「透明人間」の設定で、客席からは見えている寸志さんの姿から、今度は見えない透明人間を想像させるという落語の構造を逆手に取ったユニークなチャレンジ。見ている自分たちも試されているような不思議な気持ちになりました。
立川吉笑さん
「ぷるぷる」は2021年7月のソーゾーシー(ユーロライブ)でネタおろしされた作品です。そこから磨き込まれて、2022年11月のNHK新人落語大賞で50点満点を獲得して優勝。吉笑さんの代表作のひとつとなりました。
松ヤニを舐めてしまい、上下の唇が貼りついてしまった八五郎が隠居を訪ね、唇を「ぷるぷる」と震わせながらしゃべるというシンプルな話です。聞き取りにくいと思わせて、意外と聞きやすいのがポイントです。冒頭、八五郎が隠居に対して「なぜ唇がくっついてしまったのか」を説明し、それを受けた隠居が八五郎のしゃべりを理解して完璧にリピートした後の八五郎の「そうです」が個人的には一番好きです。そして八五郎が隠居に相談したかった本来の目的も、何ともいえない味わいがあって、この話を素敵なものにしています。
吉笑さんは、毎回毎回、セリフを追加したり、削ったり、間を変えたりして、常にブラッシュアップしているので、同じパターンで聴くことはありません。常に進化を感じる「ぷるぷる」の今後を、これからも楽しみながら聴き続けたいと思います。
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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- 10月13日(金)
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18:00~19:00
「ふたりらくご」 下北半島の怪物 三遊亭青森五日間day1 ★配信
三遊亭ぐんま 三遊亭青森
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「しゃべっちゃいなよ」★配信
立川かしめ(代演)入船亭遊京
柳亭信楽 立川寸志
立川吉笑「ぷるぷる」
- 10月14日(土)
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「渋谷らくご」
柳亭市童 快楽亭ブラック
林家きく麿 蜃気楼龍玉 -
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「渋谷らくご」 下北半島の怪物 三遊亭青森五日間day2
三遊亭ふう丈 林家しん平
古今亭文菊 三遊亭青森 -
20:00~21:00
「おしゃべり緑太の会」★配信
柳家緑太
- 10月15日(日)
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11:00~12:30
「はやおきらくご」
桂南楽 柳亭市好
桂笹丸 立川らく兵 -
14:00~16:00
「渋谷らくご」
桂伸べえ 柳亭小痴楽
橘家圓太郎 柳家さん花 -
17:00~19:00
「渋谷らくご」 下北半島の怪物 三遊亭青森五日間day3
春風亭朝枝 春風亭百栄
田辺いちか 三遊亭青森