渋谷らくごプレビュー&レビュー
2016年 9月9日(金)~13日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
落語界でもひときわ異彩を放つ「入船亭(いりふねてい)」、現在十名いるこの一門は各人がほかにない芸風を研ぎ澄まし、落語の進化の最先端にいるともいえます。「進化しない」という生き残り方も含めて、多様な進化を遂げた一門です。
その一門の総帥でありライオンのような王者の風格を持つ扇遊師匠と、純米大吟醸のような澄んだ味わいを持つ扇辰師匠。
この「入船亭」に、落語界の異端児でしかない鯉八さんとおさん師匠が挑みます。
独自のスタイルを磨き続ける落語家たちによる競演です。
▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
24歳で入門、芸歴10年目、2010年二つ目昇進。落語芸術協会の二つ目からなる人気ユニット「成金」メンバー。「一度抱いたなら生涯愛し続ける」をモットーにひとつの作品をずっとつくりあげる創作落語家。前座修行中はとにかく座って楽屋を穏やかにさせることに徹底。
▽台所おさん だいどころおさん
31歳で入門、芸歴15年目、2016年3月真打ち昇進。ギャンブルに凝りすぎて手元にお金が無くなり、最後の10円で買ったうまい棒を食べるといった経験を持つTHE芸人のような生き方をしている。昔の邦画が好き。
▽入船亭扇遊 いりふねてい せんゆう
19歳で入船亭扇橋師匠に入門、芸歴44年目、1985年真打ち昇進。喜多八師匠の盟友で、毎晩のようにお酒の席で喜多八師匠と芸論をかわしていた。現在落語協会理事。入船亭一門の総帥。携帯電話は持たない主義。
▽入船亭扇辰 いりふねてい せんたつ
25歳で入船亭扇橋師匠に入門、現在入門28年目、2002年3月真打昇進。
橘家文左衛門師匠と、柳家小せん師匠で「3K辰文舎(さんけいしんぶしゃ)」というバンド活動をしている。8月に「だだちゃ豆」をゆでる様子がツイッターにアップされていた。
レビュー
事務員に化けている実は怪しい鍼灸師。マイノリティ応援の遺伝子が組み込まれてしまったに違いない志向です。
だんだんハマりつつある趣味は、占星術とタロット。理想の男性像は?と聞かれたら、「山本長五郎」と答えます。
9月9日(土)20時~22時「渋谷らくご」
瀧川鯉八 「やぶのなか」
台所おさん「粗忽長屋」
入船亭扇遊 「夢の酒」
入船亭扇辰 「竹の水仙」
明日からはお休みという金曜日の夜、渋谷らくごへ向かう道です。贅沢な気持ち。
終わるの22時だけど明日は仕事もないし、やれやれ感とこれからの時間へのワクワク、お休み前のウキウキ、いろいろ混じりながら向かいます。一番日が長い季節に比べると、かなり短くなってます。
本日はどうやら入船亭の師匠方対、独特なお二方の構図?
私がこの会に行きたかったのは、鯉八さんがいらっしゃるから。
鯉八さん、最初にお聞きしたのは「ニューシネマパラダイス」。お誘いを受け、「ニューシネマパラダイス」がどんな趣旨かも把握しないままでした。
不思議ワールドの鯉八さん。最初は普通におもしろい!、いや?不思議さに脳みそぐるぐるだったっけ?
それが何回かふれているうちに、いつのまにかその魅力にじわじわっと侵食されています。
また鯉八さんは先月ご紹介した「アキ カウリスマキ監督」のファンとのことで、勝手に親しみを感じています。
(十条の「シネカフェ ソト」さんでは、カウリスマキ作品の上映と鯉八さん落語がセットという贅沢な会が開催されています。またやって下さるそうですよ。)
そんな鯉八さんのイタリア帰りのお姿をまだ拝見してなかったのでした。
私にとって脳みそぐるぐる型不思議ワールドといえば、百栄師匠・鯉八さん・そして落語家ではないけどヨージさん。
ひとことひとことも面白いのですが、そのひとかけらひとかけらがぱらぱらぱらっと配置されていて、「あ、ちょっと待って!あれとこれが、え?こうなってくるの?え?え?」と脳内がぐるぐるマッサージされ、え?え?の中で終わりが来て何かが残ってる…、そんな感じなのです。
(ヨージさんはツイートにもそれが表れています。https://twitter.com/youjimote )
そんな鯉八さんに導かれやってきました金曜の渋谷落語。毎月足を運んでいるので、「あぁ、ひと月経ったんだなぁ。」と思う気分もなかなか。
その時々の違いもこれぐらい重なってくると、より感じられます。
今回は私にとって目新しさや派手さはないけれども、自然とリラックスしている自分がいて、お一人お一人の話をとても気持ちよく落ち着いて楽しめました。それがとても心地よく今までのbest会かも…ぐらいでした。
金曜の夜にふさわしい。もしかしてサンキュータツオさんの想定内?
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瀧川鯉八さん
「死神」とか「駱駝」・こちらで聞かせてもらった「臆病源兵衛」。「死」が絡んでいるお噺はシュールで、古典といえども新作に通じるものを感じます。(そういうの好き。)
「夢の酒」の「夢の中にもう一度行く。」も現の向こうの世界。あれ?今回の隠されたテーマは不思議ワールド?
そして名作「竹の水仙」ですね。前にもレビューを書かせていただきましたし、何回も聞いている演目です。
酒飲んでぐたぐたしているけど実はすごい!は永遠のヒーロー像?
最初はいつも「堀部安兵衛」の話かなぁ?と思ってしまうのです。
そうそう!10月~12月、3ヶ月連続公演で「仮名手本忠臣蔵」全幕公演です。国立劇場で歌舞伎。
全幕公演ですよ!もう楽しみすぎです。!
【シブラクが好きな人、こんなのもいかが?】
今月は映画「オーバーフェンス」と「鈴木常吉」さんです。
といっても「オーバーフェンス」はまだ公開されていなくて公開は17日。次のレビューだと遅いので。今お知らせするとちょうどのタイミング。
「鈴木常吉」さんは、自作の歌・歌詞を歌うミュージシャン。楽器はギターとアコーディオンです。世代によっては「どこかで見たことがあるような?
あ!イカ天で優勝した「セメントミキサーズ」の人だ!」だったり、「テレビや映画化された「深夜食堂」の挿入歌「思い出」で知ってる!」だったりかもしれません。
常吉さんはシンガーソングライターなのですが、その姿、様子、風情は「芸人」さんみたいです。是非最低一回は見ておいた方がいいと思います。(変な紹介の仕方だなぁ。)
めちゃくちゃだったりしますがその歌にも感動します。
そしてその常吉さんが今回、役者として出ているのが「オーバーフェンス」(山下敦弘監督、主演はオダギリジョーさん、蒼井優さん)
職業訓練校の同僚という役どころで、キラッと光る存在らしいです。
今月もお読みいただいてありがとうございました。
秋は毎年イベントだらけで嬉しい悲鳴、お客様取り合い。(笑)
まだ未経験の人をどんどん取り込みましょう!
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台所おさん師匠
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入船亭扇遊師匠
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入船亭扇辰師匠
「渋谷らくご」9/9 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ