渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2019年 3月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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3月9日(土)17:00~19:00 柳家小もん 柳亭小痴楽 春風亭昇々 古今亭文菊

「渋谷らくご」若手競演 ~古今亭文菊(ぶんぎく)に挑め!~

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プレビュー

初心者向け:先月に40歳になったばかりの文菊師匠、若手筆頭の実力者として有名です。そこにまもなく真打になろうという小痴楽さん、そして昇々さん、と30代の二つ目が挑む! トップは20代の小もんさん、すでにマイペースな王道路線。
アングル:重厚で落ち着きのある語り口から、軽くてはずむような語り口。芸風はちがいますが、それぞれ30年後の落語界の真ん中にいる人物です。いまから追いかけてくださいね。小もんさんのハートの強さ、低音ボイス、今日も炸裂するか!?

▽柳家小もん やなぎや こもん
22歳で入門、芸歴6年目、2018年3月二つ目昇進。お腹いっぱいご飯を食べた時には日本ルナの飲むヨーグルトを飲んで、ゆっくりする。先日スマホが壊れて充電出来なくなった。先日放送されたアド街ック天国に映り込んだ。

▽柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
16歳で入門、芸歴13年目、2009年11月二つ目昇進。2019年9月に真打昇進することが決定。病院で検査をしたら、筋肉が常に緊張状態にあり強張っていると結果が出た。次々とアガサクリスティーを読破している。早くお花見がしたい。

▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。楽屋で仲間を驚かせるためパンツ一枚になることがある。先日、ズームインサタデーにゲストMCとして出演した。おしゃれボーダーシャツを着がち。

▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく
23歳で入門、芸歴16年目、2012年9月真打ち昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近はキャリーバッグで楽屋入りする。最近ダイエットに挑戦中。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@dejidj2016 (シンガポール育ち。落語、漫画、アニメ、映画が大好き。)

3月9日(土曜日) 17時~19時 「渋谷らくご」
柳家小もん(やなぎや こもん)「金明竹」
柳亭小痴楽(やなぎや こちらく)「あくび指南」
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)「マキシム・ド・呑兵衛」
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)「らくだ」

本年度アカデミー賞に輝いた「グリーンブック」を観ました。
ガサツだけど情に厚いイタリア系用心棒と黒人天才ピアニストの笑って泣ける道中に、思わず「これは落語だ!」と思ってしまいました。国や時代が変わっても「グッとくるストーリー」には何か共通するものがあるのでしょうか?

今日は20代の小もんさん、昇々さん&もうすぐ真打の小痴楽さんという30代二つ目、そして40歳になったばかりの真打・文菊師匠と、若手パワーの日。どんな「グッとくる」お噺が聴けるのか、楽しみです!

柳家小もんさん「金明竹」

  • 柳家小もんさん

    柳家小もんさん

なんか「つるん」とした印象の小もんさん。文菊師匠とは学習院大学の先輩後輩の仲だとか。周りからは「大卒で落語家に入門するなんて与太郎だね」と言われたそうです。与太郎とは「モノの分からない人」、落語にはよくおバカさんとして登場します。
今日のお噺は「金明竹」。前半は与太郎さんがおバカ全開でやらかします。傘を貸すのをを断る言い訳(骨と皮がバラバラになってしまった)を猫を借りに来た人に言って驚かれ、猫を貸すのを断る言い訳(さかりがついて何処かに行ってしまった云々)を旦那さんを呼びに来た人に言って恥をかき、もう散々。
与太郎の失敗を晴らすべく出かけた旦那さんの留守中にやって来た使いの者の口上が、お馴染みの長ーい早口言葉のような台詞です。古道具についての何かなのでしょうが、何度聞いても分かりません。多分、寿限無以上。良く覚えられるなー。立板に水のような小もんさんの演技でした。

柳亭小痴楽さん「あくび指南」

  • 柳亭小痴楽さん

    柳亭小痴楽さん

埼玉の高座から渋谷に湘南新宿ラインで駆けつけた小痴楽さん。人気者は大忙しです。しかも湘南新宿ライン渋谷駅は会場から遠ーい!まだ息が上がってます、といいながら最初から飛ばす飛ばす、小痴楽さん。
変わったお稽古に取り組むイキな?若衆を軽快に演じます。「アクビを習う人なんて、いるわけ無いでしょ!」というナンセンスもなんのその。
下らないお稽古に全力でトライするところなんか、まるでギャグ映画(今公開中の「翔んで埼玉」みたいな)。アクビが出なくて苦しむ時のオモシロ顔芸もグッドな一席でした。

春風亭昇々さん「マキシム・ド・呑兵衛」

  • 春風亭昇々さん

    春風亭昇々さん

噺家さんには、若くして薄毛になる人が多いそうです(いわゆる「若ハゲ」)。頭を使いすぎるのでしょうか?親戚に薄毛が多いという昇々さんも、額のホクロから生え際の距離が拡大中で戦々恐々としているそうです。
今日は面白い新作落語をきかせて下さいましたが、きっと髪を振り乱して創作されたのでしょう(そして、また何本か無くなったはず)。
流行らない飲み屋を営む祖父母を案じて、お孫さんがお婆さんを銀座の一流店にご招待。人気店の秘訣を知って欲しかったのですが、その日から田舎の飲み屋は「マキシム・ド・呑兵衛」という変チクリンな「一流店??」に大変身。
教わった事を鵜呑みにして実行してみたらオカシな事に?、という顛末は「子ほめ」「牛ほめ」みたいで面白かったです。
ハゲても味のある噺家さんになって下さいね、昇々さん!

古今亭文菊師匠「らくだ」

  • 古今亭文菊師匠

    古今亭文菊師匠

枕なしで始まったお噺は「らくだ」。
町の嫌われ者らくだがフグに当たって亡くなっているのを発見した、兄弟分だという男。葬式代の為に遺品を売り飛ばそうと通りかかったクズ屋さんを呼び込みます。が、長屋の連中に香典を出させようと思い立ち、クズ屋さんにあれこれ指図します。クズ屋さんは脅されたり、死体を背負わされたり、もう散々。。その場に居合わせた故に厄介事に巻き込まれる不運は、ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーン刑事なみ。
ちょっと不気味だけど笑っちゃうような死体を踊らせる場面(かんかんのう)、弱気な男とヤクザな男の形勢がお酒が入ってから逆転していく過程などが凄く面白く、キャラが違う二人の男の演じ分けが流石にお見事!
今日の小痴楽さん→昇々さん→文菊師匠の流れは、ギャグ映画二本の後に(スティーブン・キング原作とかの不気味オモシロイ)極上ホラー映画を観たような気分になりました。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」3/9 公演 感想まとめ

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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