渋谷らくごプレビュー&レビュー
2019年 5月10日(金)~14日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
初心者向け:柳家小はぜさん、まだ二つ目になって3年経っていない方ですが、仕込む演目からその語り方で、まるでベテランかよといった風情。常に飄々として動じず、落語に広がる世界と人々と時間を愛する男。今日はこの男を追い詰めてやろうじゃありませんか! 最高のベテランが揃いました。さあ、トリでなにをやる!?
アングル:小はぜさん以外にも、小里ん師匠、遊雀師匠という巨大な存在が競演する今月のホットポイント。秋に真打昇進するわさびさん、どうか爪痕を残して!
▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴16年目、2008年二つ目昇進。2019年9月に真打昇進することが決定。痩せ形で現在の体重は52kg。雨の日は長靴に合羽の完全防備。武道館で紙芝居をした。ただいま歯の矯正中。
▽柳家小里ん やなぎや こりん
21歳で入門、芸歴50年目、1983年9月真打昇進。大の映画好き。浅草のパチンコ屋に出没する。浅草演芸ホールに出演する落語家さんが突然来られなくなり興行が滞りそうな時は、前座さんはパチンコ屋に走り、小里ん師匠を探す。浅草出身なので祭りがとにかく好き。
▽三遊亭遊雀 さんゆうてい ゆうじゃく
23歳で入門、芸歴31年目、2001年9月真打昇進。私服がおしゃれで、メガネがビタミンカラーで素敵。写真を撮られるときは、メガネをおでこにかけなおす。酒豪。高校生の時、スーツを着て変装してちょっぴり大人な映画館にこっそり入ったことがある。
▽柳家小はぜ やなぎや こはぜ
29歳で入門、芸歴7年目、2016年11月二つ目昇進。サラリーマンだったが、29歳の時に思い立って落語家になった経歴をもつ。この時期は、格子柄のワイシャツをきて楽屋入りしがち。物事に動じないタイプ。
レビュー
2019.5.12(日)14-16「渋谷らくご」
柳家わさび(やなぎや わさび)-狸
柳家小里ん(やなぎや こりん)-禁酒番屋
三遊亭遊雀(さんゆうてい ゆうじゃく)-野ざらし
柳家小はぜ(やなぎや こはぜ)-百川
5月らしい五月晴れ(さつきばれ)の日曜日の午後、今月も渋谷駅へ。
電車を降りたら、忠犬ハチ公の銅像がある、ハチ公口の改札方面でした。
銅像として飾られている忠犬ハチ公は、当時珍しい室内飼いのワンちゃんとして可愛いがられ、飼い主が亡くなってからも、渋谷駅へ亡くなった飼い主を迎えに、とぼとばと、東急本店の方角から、渋谷駅へと歩いて来たといいます。私は銅像しか見たことがないのですが、祖母の話によると、祖母の世代には、生のハチ公を渋谷駅で見たことがある人もいたようで。ハチ公口へ出ると、よく、その話を思いだします。
渋谷駅から、ハチ公の来た道を逆に、東急本店沿いにとぼとばと歩いて、渋谷らくごへ。この回は、持ち味の違うさまざまな色合いの古典落語に癒された楽しい時間になりました。
わさびさん『狸』
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柳家わさびさん
いつものわさびさんは、爆笑のまくらで、ゆっくりと、心を撫でるように、徐々に客席の笑いをとってから、本題に入るのですが、今回は、まくらから、古典落語らしい入り方でした。それにしても、わさびさんの狸(タヌキ)って、可愛いー♪♪♪わさびさんは、180センチありそうな身長の大きい方なのですが、落語になると子供は子供、子供の狸(タヌキ)は子供の狸(タヌキ)らしくみえるのが凄いです。さすが、真打ち昇進が決まっている方だけのことはあります。おもしろ可笑しく、客席を爆笑の渦に巻き込むことも、今回のように、本寸法の演者さんらしく語ることも自由自在なのですね。
わさびさんの真打ち披露興行では、どんな落語を拝見出来るのでしょうか。
これからもご出演が楽しみです。
小里ん師匠『禁酒番屋』
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柳家小里ん師匠
それを小里ん師匠という、丁寧な語り口の演者さんで、禁酒法になった経緯を聴くと、つい、二人の部下をお酒のために失った殿様の気持ち、とても分かります。
仕事で、アルコール依存症の方の数ヶ月単位の入院、退院、入院、退院、AA、引っ越し、生活保護申請などにも関わっていた頃が、私自身にあるのも大きいでしょう。
ただ、楽しく呑める方々には、別に何の罪もない訳で、禁酒させられるのは、とばっちりですよね。
酒屋さんが、お酒を注文した方に、何としても届けようとする工夫と、番屋との会話の妙が楽しいです。
小里師匠の高僧のような雰囲気での『禁酒番屋』は、滑稽な中にも、上品さがあって、耳にも優しい丁度良い声の響きで、心地良いひとときでした。正当派の小里ん師匠、ステキですね。
遊雀師匠『野晒し』
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三遊亭遊雀師匠
それでいて、声はささやくような感じ。
まくらでの一見世間噺のような芸術事の逸話を、きちんと『野晒し』のオチへ繋げてあるのにも、さすがです。 なにより、遊雀師匠の軽妙さと噺の途中に入るサイサイ節の軽妙さとのハーモニーが素晴らしい高座です。 釣りをしながらサイサイ節を唄う箇所が個人的に好きな噺なのですが、遊雀師匠はそのサイサイ節を見事に明るく軽やかに歌いあげてくださいました。
鐘が♪ボンとなりゃあサ♪ 上げ潮♪南サ♪ ソラ♪スチャラカチャンたらスチャラカチャン♪ 最高です!最高の『野晒し』でした。拝聴してから1週間たった今でも、もう1度遊雀師匠の『野晒し』が聴きたい!あのサイサイ節を聴きたい!と何度も思いました。
小はぜさん『百川』
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柳家小はぜさん
美僧に例えられることも多い小はぜさん。
最初は俳句の会付きの落語会でお見かけしました。そこでは、お客側も前もって投句をしなければならないので、落語家さんもお客側も、キツいのですが、常連さんによると、半年もすると、メキメキと俳句が上達しているようです。マニアックな俳句好きの席亭さんに厚い本をいただいて、作った俳句には、容赦なくご指摘を受けて、かなり特訓されて(?)いらっしゃったので、あれから、小はぜさん、かなり俳句も、熟練の域に達しているのではと予想されます。
そんな小はぜさんがトリとのこと、何を選ばれるのかしら?俳句の人だから、背をはやみ~かな?などと予想していたら、なんと、『百川』でした。
流暢な訛り言葉(?)、けれど、どこの言葉なのかは分からない、とぼけた役処を上手く演じられます。
小はぜさんのような、美しい若手の演者さんであれば、美しさが引き立つ演目、トリネタはたくさんあるでしょうが、あえて『百川』でトリを取る所が、気取りなくて気さくな気性を物語っているように感じます。
たのしい『百川』、立派なトリに感激しました。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」5/12 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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