渋谷らくごプレビュー&レビュー
2019年 6月14日(金)~18日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
初心者向け:滑稽噺から艶噺、人情噺まで、しっかり聴かせる若手真打、古今亭文菊師匠。どんな方でも楽しめるオールラウンダーとしての魅力がトリで炸裂する会となりそうです。若手、ベテランそろい踏みで噛み応え充分な金曜の夜になるでしょう!
アングル:二つ目の羽光さんは創作・古典どちらも演じるエンターテイナー。緑太さんもまくらから工夫してきて古典に挑む若手二つ目です。ベテラン圓太郎師匠が元気よく登場して会場の空気を変えるはず。その残像に負けるな、二つ目たち!
▽笑福亭羽光 しょうふくてい うこう
34歳で入門、芸歴13年目。2011年5月二つ目昇進。眼鏡を何種類も持っている。最近はフチが白い眼鏡をかけている。猫を可愛がる。可愛い猫のツイートにいいね!しがち。先日、VR落語という企画を成功させた。
▽橘家圓太郎 たちばなや えんたろう
19歳で入門、芸歴38年目、1997年3月真打昇進。怒りん坊なキャラクターで、オヤジの小言マシーンぶりは渋谷らくごでも爆笑を生んでいる。将来PTAの会長になるのではないかと危惧している。普段は優しく、裏表のない気持ち良い人なのです。
▽柳家緑太 やなぎや ろくた
25歳で入門、芸歴10年目、2014年11月二つ目昇進。古典落語をラップにしている。Youtubeで公開されていて、おそるべき完成度。和光市に住んでいるが、自転車で都内の落語会に出没している、半日で40キロ超自転車に乗る。
▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく
23歳で入門、芸歴17年目、2012年9月真打昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近ダイエットに挑戦中。大学では漕艇部に所属、熱中していた。夏用の帽子がおしゃれ。
レビュー
笑福亭羽光(しょうふくてい うこう)-私小説落語〜青春編1〜
橘家圓太郎(たちばなや えんたろう)-猫の災難
柳家緑太(やなぎや ろくた)-宮戸川
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)-鰻の幇間
紫陽花が咲く6月のこの季節は、雨模様も多くて、金曜日の夜のこの回も雨が降りまし た。けれど、仕事終わりに渋谷らくごへ伺えるのは楽しいです。受付の後で、録太さんと 小辰さんをご贔屓の落語友達とバッタリ会い、この回を一緒に楽しませていただきまし た。
笑福亭羽光さん
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笑福亭羽光さん
羽光さんの奧さまの樋口さんの、赤の色遣いがステキなセンスの猫の本作りに関わってい る方で、浅草演芸ホールのジロリ師匠(ねこ)の本や樋口さんのTwitterが大好きで、実は 数年前から奧さまの樋口さんのTwitterや猫本を眺めています。
その樋口さんの旦那さまである羽光さんの落語ですから、楽しみに聴いておりました。 羽光さんというと、女性芸人さんがお好きな話題で登場したり、また別な時には、ZARD の曲が流れる新作で、お客様の名前を使用したり(笑)、成金メンバーの一人を出演させた り(笑)、落語を作る上で。、時々、羽光さんは、遊び心のある方なのかしら?というイ メージがあります。
今回の『私小説』という、小説家のような表現方法でシリーズ化された羽光さんの私小説 落語では、ご自身の人生録を落語として書いて発表するという形式。落語でシリーズ化し て発表するのはおもしろいですね。
そんな斬新な試みの私小説落語青春編1が今回の演目でした。
落語家になった羽光さんが、青春時代を過ごしたなつかしい街に降り立ち、なつかしい女 の子を想う。けれど、その街は変化していて、女の子の家も今はない。羽光さん自身さ え、既にその街の住民ではないように。
私小説落語の青春編1は、ホントに羽光さんの人生の青春時代を可笑しく懐かしく語られ る。少しホロリとする青春を垣間見た落語でした。
橘家圓太郎師匠
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橘家圓太郎師匠
今回の『猫の災難』もあらすじを知りながら、話の展開にぐいぐい引き込まれました。 悪いことをするつもりではなかったのに、言いそびれて、お酒の友を騙してしまうという 一見、ただの古典落語なのですが、流れで、ドミノ倒しのように、嘘に嘘を重ね、猫のせ いにしなければならないという事態になっていく男性を見ながら、世の中の犯罪って、実 は、日常のささいな流れで、嘘に嘘を重ねてしまう人から起こるのではと、ふと、サスペ ンスドラマの犯罪者心理の一部を垣間見た気分になりました。
全ては身から出たサビですが、悪気はない。魔が差したり、うっかり嘘をついたり、言い そびれたりが重大な過失となっていくのは、サスペンスドラマを見ているようでした。 酔っぱらい寝てしまって、言い訳する圓太郎師匠の演じかたが可笑しくて、この感情と出 会いたくて、是非、また来月も圓太郎師匠の落語が聴きたくなるような予感がします。
柳家緑太さん
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柳家緑太さん
そんな録太さんの『宮戸川』は、女性の箇所は尚女性らしく演じられていて、お婆さんの 役がゾクゾクするほど色っぽかったです。『宮戸川』は上下と噺がありますが、下は陰惨 な事件の噺なので、『宮戸川』上しか拝聴出来ないことが多いのですが、この会を一緒に 観ていた録太ファンの友人によると、録太さんは宮戸川を上下通しでかけてくださること もあると教えてもらいました。
録太さんの『宮戸川』の通しバージョンもいつか拝聴してみたいです。
古今亭文菊師匠
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古今亭文菊師匠
鰻を食べるのは冷やし中華同様の日本の夏の風物詩になっていますね。6月は作家太宰治 氏の命日もありますが(何日かは不明)太宰治は女性と玉川上水へ飛び込む前に、三鷹で 鰻を買って食べたそうです。なんとなく太宰治氏の活躍する時代から鰻の食べる時期が6 月7月だったのではと勘ぐっています。 今回の『鰻の幇間』は20時のお腹のすく時間 にもピッタリかも知れませんね。
文菊師匠は扇子を持つ仕事は落語家の他、もう一つあると「幇間」つまり「たいこ持 ち」という職業があることをまくらで説明されました。幇間と言われてもピンと来ない私 たちへの優しい配慮を感じます。しかも「たいこ持ち」には、浅草専属たいこ持ちから、 料亭で盛り上げ役として活躍するたいこ持ち、野だいこという、まるで野生に生きる野良 ねこのような「野」を使った呼びかたのフリーターみたいなたいこ持ちまでいて、今回は そのフリーターたいこ持ちが、主人公でした。
やぱり、人様からご馳走になる場合はケチをつけられなくて、傾いたお店を「考え事し ているよう」ちらかって汚い店内も悪し様に悪くはいえない気持ちが、文菊師匠のけげん な表情や、ニュアンスから伝わってくるのが面白いのですが、「だまされた!!!」と分 かってからの野だいこさんの取り乱し方が秀逸で、文菊師匠の野だいこさんのまずそうな食レポにも笑ってしまいました。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」6/14 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
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