渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2019年 8月9日(金)~13日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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8月9日(金)20:00~22:00 春風亭一花 立川笑二 柳家わさび 春風亭一之輔

「渋谷らくご」柳家わさび 真打昇進直前壮行会

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プレビュー

来月の下席(21日~30日)から、真打に昇進する柳家わさびさん。わさびさんが落語の世界にハマるキッカケになった大学の先輩、一之輔師匠。わさびさんを追い詰めるぞ、二つ目の笑二さん、そして一花さん。
「遠慮」という言葉は渋谷らくごには必要ありません。全員が全力で、わさびさんの門出を祝います。


▽春風亭一花 しゅんぷうてい いちはな
26歳で入門、芸歴7年目、2018年3月に二つ目昇進。渋谷らくご初出演。落語家のアイドルユニット「おきゃんでぃーず」を2018年結成、青色を担当している。

▽立川笑二 たてかわ しょうじ
20歳で入門、芸歴8年目、2014年6月に二つ目昇進。沖縄出身の落語家。飲み会に参加することが多いが、気付くと寝てしまっている。公園のベンチで落語の稽古をする。ワイシャツは一番上のボタンまで留めがち、夏は一番上のボタンを開けがち。

▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴16年目、2008年二つ目昇進。2019年9月に真打昇進する。痩せ形で現在の体重は52kg。雨の日は長靴に合羽の完全防備。一之輔師匠は大学の先輩で、一之輔師匠のことを「川上先輩」と呼ぶ。

▽春風亭一之輔 しゅんぷうてい いちのすけ
23歳で入門、芸歴19年目、2012年3月真打ち昇進。三児のパパ。金曜日の午前中と日曜日の早朝はラジオパーソナリティとしても活躍中。ずっとガラケーで生活をしていたがバネが壊れてずっとパカパカしてしまうため、先日スマホに変えた。

レビュー

文:月夜乃うさぎTwitter:@tukiusagisann 怪談とミステリーと和菓子に惹かれる夏

2019.8.9(金)20-22「渋谷らくご」
春風亭一花(しゅんぷうてい いちはな)-お菊の皿
立川笑二(たてかわ しょうじ)-青菜
柳家わさび(やなぎや わさび)-ダメな人間
春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)-意地くらべ

8月の渋谷らくごは、梅雨明けで暑い最中に始まりました。昼間に外出すると、命の危険さえ感じる暑さです。ハチ公の改札口を通り、渋谷らくごへ。今回は柳家わさびさんの真打ち昇進を祝う会へ。来月から真打ちになるわさびさんのことを思うと感慨深いです。ユーロスペースに着くと今月も一階まで受付を待つお客様が並んでいました。皆さんとこれから始まるおめでたいわさびさんの真打ち昇進祝いを共有するのかと思うと、楽しみでわくわくします。

春風亭一花さん

  • 春風亭一花さん

    春風亭一花さん

開口一番の一花さんは、清楚で女の子らしい声が印象的でした。落語の世界は、日本の政治家層と同様で、男性社会の中、少ない落語家さんが気丈に活躍されているイメージがあって、女性らしい一花さんが、花を添えるというのは、なんだか新鮮で素敵な光景です。それでいて、声色を旅人、ご隠居さん、お菊さんと幾重にも使い分けているのも秀逸で、人数の多い話でも、聴き分けし易いのです。 演目『お菊の皿』も、男性の落語家さんの『お菊の皿』を見馴れていると、ホンモノの女性らしい女性がお菊さんを演じるのに、違和感がありますが、女性が女性の役を演じるのは、本来は当たり前なのに不思議です。見馴れていないせいでしょう。どんどん女流落語家さんにも活躍してほしいとは思っているのです。男前の女流落語家さんもステキですが、性らしい落語家さんにも同性としては、生き残ってほしいです。
もちろん、また一花さんのお菊さんをリピートして聴いてみたいです。

立川笑二さん

  • 立川笑二さん

    立川笑二さん

次にわさびさんの真打ち昇進祝いの落語をするのは、笑二さん。演目は、私にとって、この夏初めての『青菜』でした。それも、笑二さんらしい、ダイナミックでおおらかな噺になっていて、会場では『青菜』で爆笑が起こりました。久しぶりに笑二さんの落語を聴きましたが、数年前より、アップデートされて、ずっとおもしろくなっています。江戸落語を本寸法で、風流に聴かせるというより、コメディ要素を『青菜』に取り入れたような感じでしょうか。そして、植木屋さんの弁慶義経ごっこに付き合ってあげる、お友達と女将さんの優しさがしみじみと感じられ、植木屋さんの幸せを味わう一席でした。

柳家わさびさん

  • 柳家わさびさん

    柳家わさびさん

わさびさんを最初にお見かけしたのは、招待券を戴いて観に行ったTBS笑点(若手落語家たちのほう)でした。病弱キャラで登場しても、健康そうな他の落語家さん達に全く負けておらず、切り返しが上手いのです。その後、渋谷らくごで落語を拝見しました。大きりのほうが得意な人、落語のほうが得意な人とさまざまですが、わさびさんは、どちらでも会場を爆笑させるので私の中では、笑いたければわさびさんという法則が落語を聴く上で、成り立ちつつあります。今回の『ダメ人間』もセリフがおもしろくて大笑いでした。真打ち昇進、おめでとうございます。わさび師匠になってからもご活躍楽しみにしております。

春風亭一之輔師匠

  • 春風亭一之輔師匠

    春風亭一之輔師匠

わさびさんの大学時代からの先輩だという一之輔師匠。NHKの落語番組でも一之輔師匠はわさびさんと共演されていて、真打ち昇進のお祝いにはなくてはならない方な気がします。一之輔師匠は久しぶりに渋谷らくごへ登場されましたが、その日が可愛い後輩のわさびさんのお祝いだというのがいいですね。けれど、おめでとうと、いうわけでもなく、わさびさんには学生時代のパワハラの過去を暴露されていて、ツンデレ同士のコミュニケーションや愛情表現は愉快でもあります。
そんな一之輔さんが選んだ落語が『意地くらべ』で、相手をリスペクトして相手に迷惑をかけないよう思いやり合っている故に、起きる論争ものでした。思いっきり喧嘩腰で言い争っているのに、相手を信頼して迷惑をかけないが根源にあって不器用な登場人物達に笑い泣きしてしまいそうな人情噺なのでした。どこか一之輔師匠とわさびさんのじゃれ合いに似ていました。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」8/9 公演 感想まとめ

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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