渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2019年 8月9日(金)~13日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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8月12日(月)17:00~19:00 立川談吉 春風亭百栄 桂春蝶 古今亭菊之丞

「渋谷らくご」菊之丞シリーズ!2019年夏

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プレビュー

菊之丞師匠の落語、それはまるで一曲の歌、一幕のオペラ、一篇の小説、一本の映画のような高揚感と充実感を与えてくれる一席。
この幸福な体験を、季節に一度、味わう会が渋谷らくごの「菊之丞シリーズ」です。
この会は、談吉さん、百栄師匠、春蝶師匠という魅力的な面々とともに、幸せな2時間をお約束します。

▽立川談吉 たてかわ だんきち
26歳で入門、芸歴12年目、2011年6月二つ目昇進。最近は、電車につかわれているネジや道に落ちているネジまでを写真に収めてツイッターにアップしている。熱中症になりかけたので、急いでイカの塩辛を食べて塩分を補給した。

▽春風亭百栄 しゅんぷうてい ももえ
年を取らない妖精のような存在。さくらももことおなじ静岡県清水市(現・静岡市)出身、2008年9月真打ち昇進。
落語協会の野球チームでは、名ピッチャー。アメリカで寿司職人のバイトをしていた。日常生活の様子はわからないが、猫好き。

▽桂春蝶 かつら しゅんちょう
19歳で入門、芸歴26年目、2009年8月、父の名「春蝶」を襲名する。猫と暮らしていて、時間がある日は猫と一緒に映画を観る。一輪挿しにちょっとした花を飾っている。8月16日18時より「渋谷らくご」の特別興行が開催される、演目は70分にも及ぶ創作落語「ニライカナイで逢いましょう~ひめゆり学徒隊秘抄録~」ほか一席。

▽古今亭菊之丞 ここんてい きくのじょう
18歳で入門、芸歴28年目、2003年9月真打昇進。大河ドラマ「いだてん」の江戸言葉指導と落語監修をおこなっている。ツイッターでは「いだてん」の裏話から、落語ファン必見のみどころ、落語の考察をツイートしている。落語協会カラオケ同好会「歌まみれ」を率いる。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@dejidj2016 (シンガポール育ち。落語、漫画、アニメ、映画が大好き。)

2019.8.12(月祝)17-19「渋谷らくご」
立川談吉(たてかわ だんきち)-酢豆腐
春風亭百栄(しゅんぷうてい ももえ)-修学旅行の夜
桂春蝶(かつら しゅんちょう)-久高島
古今亭菊之丞(ここんてい きくのじょう)-真景累ヶ淵〜豊志賀の死〜

ドラマ「いだてん」落語指導でお馴染みの菊之丞師匠。プレビューの通り、師匠の落語は「一曲の歌、一幕のオペラ、一篇の小説、一本の映画のような高揚感と充実感を与えてくれる」のです!もう、ゾクゾクしてしまいます。
他、今日は期待の二つ目・談吉さん、そして百栄師匠&春蝶師匠の東西爆笑王。「幸せな二時間」は間違いなし、もう期待しかありません!

立川談吉さん「酢豆腐」

  • 立川談吉さん

暑さに弱い談吉さんは、帯広出身。北海道で30度越えは最近のこと。ご実家にはクーラーもないそうです。
今日は、冷蔵庫がない時代の危険な?夏のお噺。
若い衆が暑気払いの飲み会を企画中ですが、皆お金がないからコスパの良いおつまみを工夫しなければなりません。そこで、お漬け物なら安上がり、さっぱりしてて夏にピッタリ。でも、誰も臭い糠床に手を突っ込むのは嫌。さて、どう解決したでしょう?悪知恵の見せ所です。
さて、ここで与太郎がもう一つ臭いモノを発見。それはカビたお豆腐!が、捨ててしまう代わりに、イケ好かないモテ男の若旦那を騙して食べさせてしまおうという、行き過ぎたイタズラを企む若い衆達!ああ、酷い。。
口に入れた途端、あまりの臭さに白目をむいてトリップしてしまう若旦那。談吉さんの顔芸が、キャー、怪談より怖い!
江戸時代の人達は、ブルーチーズなど食べている現代人をどう思うのでしょうね?

春風亭百栄師匠「修学旅行の夜」

  • 春風亭百栄師匠

マッシュルームカットにニュアンスパーマをかけた?夏スタイルの師匠。今日は、怖ーいお噺。ではなく、怪談を語るマヌケな高校生達のお噺。
夏といえば、怪談。修学旅行の夜、といえば怪談。しかし語り手が下手だとちっとも怖くなーい。誰にでも経験あるかもしれません。怪談大会には、人間性も表れるとか?語り手の男子は何度も脱線して、なかなか怖い話に入れません。じれったーい。
怖い話、するぞー!と言いながら、本編を語る前に怖がってしまっている状況は、ホラー作家・平山夢明の著作「恐怖の構造」を思い出してしまいました。

桂春蝶師匠「久高島」

  • 桂春蝶師匠

「渋谷らくご特別興行に向けてのプロモーションです」と、沖縄バナシの30分。
二十代の頃から毎年沖縄に通い続けている師匠。ユタとの出会い、久高島での不思議体験などを、色々と語って下さいました。船着き場からつきまとって来る黒犬、しめ縄で囲まれた禁断のエリア、同行者が一命をとりとめたエピソードなど、正に不思議、というか、ほとんど恐怖体験!?師匠の話芸に取り込まれてしまいます。
久高島は、岡本太郎による風葬についての手記を読んだことがあったので、なんとなく知っていました。同手記の中に「何もない眩暈」と表現された神秘的な場所なんですねえ。
さて、「これで沖縄に少しでも興味を持った人は8/16の特別興行、来てね」とのこと。師匠の創作「ニライカナイで逢いましょう〜ひめゆり学徒隊秘抄録〜」は、私も聴いたことあります。
「日本って昔アメリカと戦争してたなんての?ヤバ~い」なんて言ってるコもいる(という)今日この頃。日本にこんな辛い時代があったなんて、戦争を知らない世代必聴ですよ!

古今亭菊之丞師匠「真景累ヶ淵〜豊志賀の死〜」

  • 古今亭菊之丞師匠

今日は怪談!今まで面白い菊之丞師匠は何度も観てきましたが、怖い師匠は初めてなのでワクワクです。
親子ほど離れている年の差カップル・豊志賀と新吉。病気のせいで気難しくなり、容姿も醜くなる豊志賀を疎んで、若い女と逃げようとする新吉。ところが、重病で動けない筈の豊志賀がなぜか先回りして現れます。その正体は?
怖ーい!でも、もっと聴きたーい!と思うのが怪談。新吉はこれからも祟られることとなってしまいます。女の怨念、凄まじ。
怖いけれど、根底にあるのは恋のお話。菊之丞師匠が艶っぽく語ると、怖い幽霊も憐れな女に思えて来ます。
ふと、谷中全生庵で圓朝コレクションの幽霊画を見たときの印象が「怖い」というより「ロマンチック」だったことを思い出しました。
さて、真景累ヶ淵は神田松之丞さんの講談「宗悦殺し」を聴いたことがあります。が、なんとこの豊志賀、宗悦の長女なのですねー!なんという因縁、怨念は巡る。くわばら、くわばら。
お盆にピッタリの、怪しく神秘的な菊之丞師匠の一席でした。

【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」8/12 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ
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