渋谷らくごプレビュー&レビュー
2020年 10月9日(金)~13日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
楽しくなければ落語じゃない! しっとりとやさしい語り口で、包み込むように楽しませてくれる志ん五師匠のトリ公演。
祝 国立花形演芸会金賞!ということで、この志ん五師匠をお楽しみに、寄席の世界の曲者たちが結集します。
二つ目花いちさんは、挙動不審ながら確実にお客さんの懐に入ってくる不思議な魅力の持ち主。
講談の鯉栄先生、そして渋谷らくごの心臓でもある、達人 馬石師匠も登場です!
▽柳家花いち やなぎや はないち
1982年9月24日、静岡県出身。2006年入門、2010年二つ目昇進。コンビニで売っている1個21円の「ボノボン」がお気に入りのお菓子。定期的に「ハナスポ」という読み物を執筆している。先日、「昔なつかし アイスクリン」というアイスを食べて感動した。
▽神田鯉栄 かんだ りえい
平成13年入門、芸歴19年目、2016年5月真打ち昇進。講談師になる前までは、旅行会社の添乗員をやっていた。Youtube「鯉栄チャンネル」を開設して動画配信に挑戦中。いま公式ウェブサイトをつくるためにコツコツ作業している。
▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴27年目、2007年3月真打昇進。フルマラソンのベストタイムは、4時間を切るほどの速さ。読売新聞オンラインでも元気なジョギング姿を披露するなどスポーツに関する連載をもつ。GW明けぐらいから落語をすると汗だくになる。落語が終わったら、汗をぬぐってすぐに帰る。
▽古今亭志ん五 ここんてい しんご
28歳で入門、芸歴17年目、2017年9月真打昇進。2020年、国立花形演芸会金賞受賞。去年あたりからスケボーをはじめ、スケボーの練習動画をYouTubeにアップしている。先日TBSの関係者の方から「半沢直樹100倍返し饅頭」をもらった。
レビュー
柳家花いち(やなぎや はないち)-宿へゴースト
神田鯉栄(かんだ りえい)-鉄砲のお熊
隅田川馬石(すみだがわ ばせき)-粗忽長屋
古今亭志ん五(ここんてい しんご)-子は鎹
柳家花いちさん 「宿へゴースト」
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柳家花いちさん
その名も「宿へゴースト」。ゴースト(幽霊)がgo toするお話で、山奥の宿にやってきた一人の男客にかつてこの地で幽霊になってしまった女幽霊、その名もゆうれい子さんが、一緒に泊まりたいと言って宿についてくる。男客はその幽霊に死にかけている者たち、例えば食事に出された鯛や、牛といって出された豚や、3日後に死ぬという調理人たちの霊を見せられてしまう。挙句の果てには同じくこの場所で亡くなったれい子さんの昔の恋人まで登場する。主人公の男客は部屋を追い出されて、廊下に寝る羽目に。しかも二人のおかげで法外な宿賃を請求される。
荒唐無稽すぎて、全く先が読めないまま聴いていたのだが、鯛の霊が成仏する様子や、豚が牛と偽われて霊として文句を言っている様子を考えると、じわじわと面白さがこみ上げてくる。これを書いていて、さらにじわじわこみ笑いが上げてきた。反応が遅くて申し訳ないが、まさにマスクの下の笑い向きの新作落語だった。
神田鯉栄先生 「鉄砲のお熊」
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神田鯉栄先生 「鉄砲のお熊」
女相撲が流行ったという江戸時代の物語で、とある海沿いの小村で生まれ育ったおみつは10歳にして5尺を超える大女。長吉といういじめっ子にいじめられている、色白の美男子、時次郎を救ってやる。実はおみつは時次郎が好きなのだけれどそんな素振りは見せない。時は経って10年後、おみつは「お熊」という名前で、女相撲で大関になっていた。そんなある日、おみつが立ち寄った生まれ故郷で、時次郎がさらわれる事件が起きる。時次郎は江戸で売れっ子の女形になっていたが、おみつと時を同じくして帰郷していたのだった・・・
時代設定も、登場人物も、場所の設定も、とてもありそうなのに、BL要素が入っていたり、ときめき要素が全開したらしい時に「チャクラが開く」という言葉が出てきたりして、ようやくこれが新作であることに気付く。もちろんいろいろ疑問符はつくのだが(これは普通の講談もそう)、リズムと師匠の表情に、あれよあれよと乗せられてしまう。講談らしく勧善懲悪なんだけれども、こんなに恋愛要素がある講談を初めて聴いた。
色の白い美しい女形の時次郎も、野太い声で「お熊」という四股名がぴったりなおみつも、両極端な性格と容姿なのに、それぞれの表情と魅力が目一杯感じられる。落語は名前からして没個性的なことが多いけれど、講談の登場人物は有名人も多くてキャラが濃い。その濃いキャラによる講談の魅力が、鯉栄先生の手で花開いた一席だった。
隅田川馬石師匠 「粗忽長屋」
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隅田川馬石師匠
この日の演目は「粗忽長屋」、その前に類は友を呼ぶ、で粗忽者つまりそそっかしい者が集まりやすい長屋ができるというちょっと怖い小咄があった。江戸時代の引っ越し事情は結構不思議なのだけれど、住み心地良さそうだから越してみようという雰囲気があったのだろうか、引越しに対する敷居がすごく低い話が多いように思われる。ともかく粗忽者に好かれる地区なんてあったら面白そうではある、と思うのは自分もその気があるということなのだろう。
「粗忽長屋」の一席では、群集の先にいる行き倒れを見るために顔を伸ばそうとしたりとか、「死んだ心持ちがしねえ」「初めてじゃ分からねえ、お産と同じだ、二回目にようやくわかってくる」というやりとりとか、粗忽というにはその範疇を越えた人々が噺を賑やかしていた。もうちょっと聴きたいな、というところで終わってしまうくらいが江戸っ子の潔さなのか。短めに終られた理由を次の志ん五師匠が話してくれたので、客の反応の悪さのせいではなかったのかな、と思えて安心した。馬石師匠、マスクの下からの笑いは伝わりにくいですが、次回はたっぷり!、というのが率直なファンの気持ちだ。
古今亭志ん五師匠 「子は鎹」
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古今亭志ん五師匠
この日の本編は「子は鎹」。志ん五師匠でこの噺に出会えたらラッキーだ。子供にメロメロな主人公熊五郎も魅力的だが、その子供の亀の無邪気さ、その無邪気さから出てくる意地悪がたまらなく可愛い。親への信頼と愛情を感じる意地悪さなのだ。そして鯉栄師匠同様、志ん五師匠も視線遣いで魅せてくれる。熊五郎の元妻のおかみさんの見えすいたくらいの上目遣いがいじらしかった。最初から最後まで、愛情をたっぷり感じられた一席だった。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」10/10 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
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