「渋谷らくご」歩みを止めない人たちへ

文:とも朕 Twitter：@toyono2010　（シンガポール育ち。落語、漫画、読書、映画が大好き。）
三遊亭遊子（さんゆうてい　ゆうこ）-自滅の刃
柳家小八（やなぎや　こはち）-大工調べ
橘家圓太郎（たちばなや　えんたろう）-短命
春風亭昇々（しゅんぷうてい　しょうしょう）-妄想カントリー
プレビューによると、今日は「あゆみを止めない人々」による「勇気と元気と狂気をもらえる落語会」。 初登場の遊子さん、そして正統派の達人・圓太郎師匠、人気若手真打・小八師匠が登場。そして、トリは「2017年度渋谷らくご大賞受賞の昇々さんが大暴れ！」ということでドキドキします。。この胸の高鳴りは、昇々さんへの愛？それとも恐怖？

三遊亭遊子さん「自滅の刃」

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  三遊亭遊子さん

初登場で全編まくら！先ずは自己紹介と、みんな大好き「鬼滅の刃」で聴衆のハートを掴みます。さすが遊三師匠の30年ぶりのお弟子さん。（←師匠80才&兄さん方60代なので、一門の介護担当とか？)
最近、「鬼滅の刃」のコスプレモデルを務めたという遊子さん。なんと金髪&弟キャラ・我妻善逸の役！（←遊子さん、32才）
竈門炭治郎、禰豆子、嘴平伊之助役の18〜20才イケメン&美女モデル達に囲まれて、変な自撮りや写真加工アプリなど若いコ達との感性の違いに戸惑ったとか。「僕って、何？」という感覚に襲われたのは、まるで「粗忽長屋」の様だったと。。ちょっと古典落語に触れるような所もさすがでした！

柳家小八師匠「大工調べ」

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  柳家小八師匠

打って変わって、まくらなしで古典落語スタートの小八師匠。リズム感抜群に捲し立てる、長ーい啖呵が有名な「大工調べ」。
家賃滞納のカタに道具箱を押収されてしまい、仕事が出来ない大工の与太郎さん。見かねた棟梁が大家さんに交渉に行きますが上手く行かず、とうとう大炎上。正論を振りかざす大家さんに逆ギレする棟梁！
与太郎さんの意外とのんきなおとぼけぶり&最初は丁寧に下手に出る棟梁、というソフトな始まりから激しい啖呵に至る熱量の持って行き方が凄かったです。優しいお父さんキャラが最後にキレて一人で敵を全滅させる、みたいな、リーアム・ニーソンのアクション映画を観ている様でした。

橘家圓太郎師匠「短命」

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  橘家圓太郎師匠

最近、お子さんと遊んでいる時にムチウチ症になってしまった師匠。コロナ禍のご時世、感染症のみならず日常生活には危険がいっぱいです。長生きするには自身を労らないといけませんね。というわけで、お噺は「短命」。
婿養子が次々と亡くなってしまう呪われた大店。後継のお嬢様はおしとやかな美女で、お婿さん達とは夫婦仲が良かった。なのに、なぜ？結末は、ホラーとは全然関係ありませんでした！
お嬢様がお婿さんに、食事の給仕するところがセクスィーで素敵でした。こんな可愛い奥さんがいたら、四六時中心臓がドキドキして命も縮まります。
一方、お嬢様とは全然違って、ガサツな八っつぁんのおかみさん。でも実は、このおかみさんが、恥じらいながらわざと悪態をつくところがまた可愛らしかったのです！圓太郎師匠は、女性の演技も本当に素晴らしいなー。

春風亭昇々さん

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  春風亭昇々さん

2021年5月、真打昇進が決定。おめでとうございます！でも、昇々師匠（しょうしょうししょう）って早口言葉みたいで、ちょっと言いにくい？
今日はネガティヴ思考の人に共感して欲しい、というお噺。
夏の終わりを嘆く田舎の中学生・ユミちゃん。今年の夏休みも、なーんも面白いことが無かった。。ならば、妄想の中だけでも青春しようじゃないか！となり、刺激的な昇々ワールドが炸裂します。
妄想のアオハルがシュール過ぎて、でも妙にツボにハマってしまって、ヒクヒク笑ってしまいました。現在公開中のクリストファー・ノーラン監督のSF映画「テネット」みたいに、物語はちょっと難解な方が魅力的ですね。テネットの台詞を借りると「考えるな、感じろ！」です。
今日は会場での観覧で、演者さんそれぞれの熱を感じられて感激しました！

【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」10/11 公演 感想まとめ

写真：武藤奈緒美Twitter：@naomucyo
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