渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2021年 4月9日(金)~13日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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4月12日(月)20:00~22:00 立川談吉 玉川太福* 立川吉笑 古今亭文菊

「渋谷らくご」渋谷らくご特選会

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プレビュー

とにかく迷ったらこの公演!というのが「渋谷らくご特選会」。いま一番イキのいいのが揃ってる渋谷らくごのなかでも、最イキですね。
唯一無二の落語の世界を築きつつある談吉さん、浪曲界の王子 太福さん、落語界きってのトリックスター 吉笑さん、トリはどんな落語を語ってもそれまで聴いたことのないような世界へ誘う若き老境 文菊師匠です。絶対楽しいから!友だち連れて来ちゃいなよ! いまの世の中、一番大事なことは落語や浪曲につまってる! そう思わせてくれる会となりましょう。

▽立川談吉 たてかわ だんきち
26歳で入門、芸歴13年目、2011年6月二つ目昇進。iPhoneの待受が「いくら」。アプリゲーム「ウマ娘」をやりながら確定申告をした。落語関係者に「いか昆布』と「シャキット梅ちりめん』というふりかけを配っている、美味しいと大評判。

▽玉川太福 たまがわ だいふく
1979年8月2日、2007年3月入門。JFN系列にて放送中の「ON THE PLANET」のパーソナリティとして、毎週火曜日25時から出演中。サウナが大好きで、いいことがあった日はしっかりととのいに行く。先日太福さんの創作浪曲『地べたの二人〜おかず交換』が実写化された。

▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在芸歴11年目、2012年4月二つ目昇進。もともとは酒豪だったが、酒断ちをしていまは炭酸水で過ごす。いま連歌にはまっている。500円玉貯金をしている、貯まったら落語の資料を買い集める。

▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく
23歳で入門、芸歴19年目、2012年9月真打昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近ダイエットに挑戦中。大学では漕艇部に所属、熱中していた。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (とも朕(ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き!)

立川談吉(たてかわ だんきち)-竹とんぼ
玉川太福(たまがわ だいふく)/伊丹明(いたみ あきら)-祐天吉松 飛鳥山
立川吉笑(たてかわ きっしょう)-歩馬灯
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)-七段目

「緊急事態宣言が終わったー」と思ったら、東京都は今日から「まん防」うっ!自粛疲れで、もうイヤ。。
と思っていたところに、渋谷らくご!
プレビューによると、今日は「いまの世の中、一番大事なことは落語や浪曲につまってる! そう思わせてくれる会」だそうです。楽しみ! 笑って救われる人も、大切なことに気付く人も多いはず。
落語があって、ホントに良かった!

立川談吉さん「竹とんぼ」

  • 立川談吉さん

「落語は、想像と感情移入が全て」と言う談吉さん。ご自身も、想像力を掻き立てる、不思議な魅力のある作品に惹かれるとか。最近ハマっているのは「ウマ娘」だそうです。
今日のお噺も不思議系人情噺。
フリマを訪れたおじいさんは、お買い物帰りに飛べなくなったペガサスと出会います。おじいさんは子供の頃からの特技、竹とんぼを飛ばす技術でペガサスを空に飛ばします。
童話みたい!なんか宮沢賢治っぽい。談吉さんも賢治のように素朴で純粋な人なのかもしれませんね。

玉川太福さん「祐天吉松 飛鳥山」

  • 玉川太福さん

池袋演芸場で熱中するあまり、時間オーバーしてしまったという太福さん。さすが元ラガーマン、熱いですねー。
さて、今日の舞台は桜満開の飛鳥山。今の季節にぴったりですね。
花見に来た吉松は死んだと思っていた息子と再会します。が、親子の名乗りを出来ない悲しい事情がありました。。うーむ、泣ける!
ちょっと落語の「子別れ」のようなお噺。でも浪曲はいつも、一番良いところで終わってしまうのですね。この親子の運命はいかに?続きを聴きたい!と悶絶してしまいます。これも浪曲の魅力?
それにしても、太福さんの子供の演技は、なんとも生意気で可愛いなー。膨れっ面が本当に小さな男の子に見えてくるから不思議。さすがの演技力です。

立川吉笑さん「歩馬灯」

  • 立川吉笑さん

最近、一門に新しく(正式な弟子入り前の)インターンが加わったとか(「インターン」なんて研究所みたいですね)。
吉笑さんはインターン時代に、談春師匠に名前を聞かれて「人羅(ひとら)です」と答えたら、「あ?ヒットラー?ふざけてんのか!!怒」と、ひどく叱られたとか。可哀想。。(←吉笑さんの本名は、人羅真樹さんだそうです。珍しいお名前!)
さて、お噺は、事故にあった男が死ぬ間際に人生を走馬灯のように振り返ります。が、走馬灯はなぜか超スローモーションの「歩」馬灯で、4歳の頃から一日ずつ、ゆっーくり進んで行くうちに退屈してしまいます。そのうち「自分の人生ってこんなにつまらなかったの!?」と気付いてしまう、ダークなコメディ。
でも、子供の頃のお母さんとのやり取り、友達との冗談の言い合いなどが面白くて、主人公が「こんなつまらない人生」と嘆くほど悪くは無いと、私は思いました。
偉業を成し遂げるだけが面白い人生ではありませんよね。笑いの中にそんなことを気付かせてくれるのが、不思議面白い吉笑ワールドの魅力でしょうか。

古今亭文菊師匠「七段目」

  • 古今亭文菊師匠

「今日は振り幅が広いデスネ」と苦笑する文菊師匠。ペガサスまで出て来ましたもんね、笑。でも、違った芸風があるのが寄席の醍醐味。色々な芸に魅了されて、のめり込むのは素敵なことです。
というわけで今日のお噺は、芝居オタクの若旦那と奉公人が忠臣蔵ごっこにのめり込む「七段目」。
お芝居の色々な場面がダイジェストの様に出てきますが、文菊師匠は本当に芸達者!なめらかな台詞回しで、歌舞伎役者ぶりがとっても綺麗。ロボットダンスのような「人形ぶり」も披露されました。
先月「鰍沢」で妖しい悪女を演じた師匠とは別人の様です!
いつもクールな文菊師匠の、お茶目な面を見て嬉しくなってしまいました。ヒトの魅力というのは奥深いですね。
表現のプロである演者さんは、もちろん魅力的。でも、フツーの人でも、普段強い人の優しい面や、おとなしい人の陽気な面とか、身近な人の魅力を再発見すると、もっと仲良くなれるかもしれませんね。

写真:渋谷らくごスタッフ
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