2017年10月18日(水)
渋谷らくご特別興行 「桂春蝶上映上演の会」
桂春蝶、という落語家がいる。
上方落語四天王とうたわれた三代目桂春團治の弟子にして、二代目桂春蝶の実子。
早世した父の通夜の席で、おなじ職業「落語家」を選んだ男がいる。
三代目 桂春蝶。
大阪と東京を往復する目まぐるしい日々を送る70年代生まれのこの男は、縦横無尽のマクラから落語本編の構成に至るまで、一度解体して再構築するという「破壊者」でもある。爆笑させることも、考えさせることも、泣かせることも、この落語家にとってはおなじく楽しい作業かもしれない。聴衆の心を動かす名手でありながら、独自の取材に基づく創作らくごも手掛け、伝統芸能の伝承者ではなく、現代人としてなにかをメッセージし、表現することに長けた才能。
まことに稀有な存在でありながら、大阪、東京双方でもっと評価されていい落語家さんだと思います。
この公演は、かねてからの春蝶師匠の想いをうけ、このほど関西テレビで放送された春蝶師匠のドキュメントを上映、桂春蝶という人物の抱える問題意識、落語に対する想い、偉大なる父と、そして落語とどう向き合っているかなど、肌感覚でわかるように、上映と落語をセットで体験していただく公演です。
なかなか全体像をつかみにくい存在かもしれませんが、日本をまたにかけて活躍する男の輪郭をつかむ意味で、とても意義深い公演だと思いますので、ぜひ足を運んでいただければ幸いです。
(渋谷らくごキュレーター サンキュータツオ)
▼上演演目
「ニライカナイで逢いましょう〜ひめゆり学徒隊秘抄録〜」
▼上演作品
ニライカナイで逢いましょう制作ドキュメンタリー(関西テレビ制作「あの日の父に届いたら」)
▼トーク:桂春蝶×サンキュータツオ
「ニライカナイで逢いましょう〜ひめゆり学徒隊秘抄録〜」
▼上演作品
ニライカナイで逢いましょう制作ドキュメンタリー(関西テレビ制作「あの日の父に届いたら」)
▼トーク:桂春蝶×サンキュータツオ
10月18日(水) | |
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19:00 | 開場 |
19:30 | 開演 |
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桂春蝶
かつら しゅんちょう
1975年、大阪府に生まれる。父は二代目桂春蝶。
1993年、父、二代目桂春蝶、没。通夜の席で落語家になることを志す。
1994年4月、父の師でもある三代目桂春團治に入門。高座名、桂春菜。
2009年、桂春蝶を襲名、三代目となる。
2011年、東京に移住、大阪と東京を行き来する活動に。
2017年2月、関西テレビ制作 ザ・ドキュメント 「あの日の父に届いたら 落語 三代目の熱情―」放送
近年「桂春蝶の落語で伝えたい想い。」をシリーズ化
「明日ある君へ~知覧特攻物語~」
「約束の海~エルトゥールル号物語」
「手紙~親愛なる子供たちへ~」
「ニライカナイで逢いましょう~ひめゆり学徒隊秘抄録~」
「茶粥屋綺譚」
など。本公演は、ドキュメント制作中に制作した「ニライカナイで逢いましょう」を上演する。