ユーロライブ

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渋谷らくご、渋谷コントセンターのアーカイブは、各々の専用ホームページをご参照ください。

2020年の主催・協力公演

2020年6月26日(金)~6月30日(火)

浪曲映画祭─情念の美学2020

今年もやります、浪曲映画! 映画17作品、浪曲8口演、活弁付き上映2回

1930年~1960年に、ラジオで大ヒットした浪曲を原作とした映画、ときに浪曲師も出演し、物語が浪曲で綴られていく映画が数多く作られた。この企画は、映画がいかに多くの浪曲や講談の演目に支えられ、日本人の世界観を表現してきたかを辿る旅でもあります。

出演者:(出演者プロフィール、演目・映画解説は右のチラシを参照してください)
浪曲師=五代目天中軒雲月、浜乃一舟、大利根勝子、玉川奈々福、玉川太福、真山隼人、京山幸太
曲師=沢村豊子、玉川みね子、沢村さくら、一風亭初月
活弁士=坂本頼光+伴奏=沢村美舟(三味線) 
トークゲスト=入江悠(映画監督)、山根貞男(映画評論家)

*予告編:https://youtu.be/hjjAHUzB_dU

⦿お知らせ⦿
6月27日(土)12:15の回の浪曲口演は、五代目天中軒雲月の急な体調不良により、浜乃一舟(曲師:沢村美舟)が勤めますので、ご了承ください。払い戻しをご希望の方は受付にお申し出ください。


*新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、左右1席空け(定員の50%)でご鑑賞いただいています。

「浪曲映画─情念の美学2020」
主催:ユーロスペース 企画:ユーロスペース+シネマ5
企画監修:玉川奈々福 
映画提供:国立映画アーカイブ KADOKAWA 日活 松竹 東宝 神戸映画資料館 国際放映 伊勢哲 
協力:国立映画アーカイブ
■ローカルツアー
「映画ミーツ浪曲2020」 沖縄 中国 四国 東海地方で企画中
「映画ミーツ浪曲2019」 大分 北九州 熊本 京都 大阪 神戸 横浜 深谷 高崎で実施

6月26日(金) 浪曲演目録─「義士銘々伝」四十七の別れ
12:15 開映 『元禄忠臣蔵』前編+後編(計223分)監督=溝口健二 主演=河原崎長十郎
16:40 開映 『韋駄天数右衛門』弁士・坂本頼光+〽玉川太福「不破数右衛門の芝居見物」
19:00 開映 〽玉川奈々福「義士銘々伝ー俵星玄蕃」+『忠臣蔵 暁の陣太鼓』 出演=近衛十四郎
6月27日(土) 浪曲師伝説─二代目天中軒雲月(伊丹秀子)
12:15 開映 『母の瞳』出演=三益愛子 松島トモ子 伊丹秀子+〽浜乃一舟「義士銘々伝ー安兵衛婿入り」
15:30 開演 〽浜乃一舟「悲恋静」+『母の湖』出演=三益愛子 口演=伊丹秀子
17:50 開映 『呼子星』出演=三益愛子 広沢虎造 寿々木米若 伊丹秀子
19:40 開映 『母なき家の母』『祖国の花嫁』監督=伊賀山正徳 口演=二代目天中軒雲月
6月28日(日) 浪曲の未来─上方の若き俊才たち
11:30 開映 『赤穂義士』出演=寿々木米若 梅中軒鶯童 冨士月子 玉川勝太郎
13:15 開映 『国定忠治』出演=阪東妻三郎+〽京山幸太「国定忠治と火の車お萬」
16:15 開演 〽真山隼人「越の海物語」+『雷電』監督=中川信夫 出演=宇津井健
18:30 開映 『続雷電』監督=中川信夫 出演=宇津井健
6月29日(月) 浪曲と活弁と活動写真と
11:50 開映 『招集令』監督=渡辺邦男 口演=東家楽燕
13:30 開映 『忠次旅日記』監督=伊藤大輔 出演=大河内傳次郎 声帯模写活弁『国士無双』監督=伊丹万作 出演=片岡千恵蔵 ⦿両映画ともに、弁士=坂本頼光 三味線伴奏=沢村美舟
16:50 開映 『新佐渡情話』監督=清瀬英次郎 口演=寿々木米若
18:30 開演 〽玉川奈々福「鹿島の棒祭り」+トーク/山根貞男+『春秋一刀流』出演=片岡千恵蔵
6月30日(火) 浅草木馬亭・根岸京子席亭追悼
12:10 開映 『世紀は笑ふ』監督=マキノ正博 主演=広沢虎造
14:10 開映 『岸壁の母』監督=大森健次郎 出演=中村玉緒 二葉百合子
16:10 開映 『母の瞳』出演=三益愛子 松島トモ子 伊丹秀子
18:00 開映 「浪曲師になってしまった!」監督=伊勢哲+鼎談+〽玉川太福「男はつらいよ」+〽大利根勝子「梅山家の縁談」
◎下記の鼎談へのご入場は、前後の入場券をお持ちの方のみとなります。
27日14:30 鼎談「伊丹秀子の記憶」天中軒雲月×浜乃一舟×玉川奈々福
28日15:20 鼎談「今、浪曲って?」京山幸太×真山隼人×入江悠(映画監督)
⦿下記はそれぞれのプログラム内のもので、それだけのご入場はできません。
トーク「片岡千恵蔵とチャンバラ映画」山根貞男
鼎談「浅草木馬亭」大利根勝子×玉川太福×伊勢哲
  • 活動写真弁士・坂本頼光 さかもと・らいこう
    1979年東京生まれ。中学2年頃より映画熱にとりつかれ、活動写真弁士を志す。2000年『鞍馬天狗』前篇の説明でデビュー。以降、時代劇作品を中心に全国各地で活弁ライブを行い、現在までの説明作品は約120本。2010年にエール大ほか、米国5大学の公演に参加。アニメの声優やCMナレーションなどもこなす。2018年国立演芸場花形演芸大賞受賞。
  • 浪曲師・玉川奈々福 たまがわ・ななふく
    神奈川県横浜市出身。1995年二代目玉川福太郎に曲師(浪曲三味線)として入門。2001年より浪曲師としても活動。2006年奈々福で名披露目。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作や長編浪曲も手掛け、他ジャンルとの交流も多岐にわたって行う。(一社)日本浪曲協会理事。2018年度文化庁文化交流使として、中欧、中央アジア七か国で公演を行った。第11回伊丹十三賞受賞。
  • 浪曲師・玉川太福 たまがわ・だいふく
    新潟県新潟市出身。2007年、二代目玉川福太郎に入門して太福を名乗る。同年11月、浅草木馬亭にて初舞台。2013年、浅草木馬亭にて名披露目。2015年 第一回渋谷らくご創作大賞、2017年 第72回文化庁芸術祭 大衆芸能部門 新人賞受賞。年間50公演を超える独演会を開催し、浪曲定席木馬亭をはじめ、落語の定席にも出演。古典の名作を継承する一方、さまざまな自作新作も手掛ける。
  • 浪曲師・天中軒雲月 てんちゅうけん・うんげつ
    岐阜県郡上市八幡町出身。1968年四代目天中軒雲月に入門して月子を名乗る。1974年岐阜県郡上八幡にて「名披露目年明け披露」、1981年名古屋・御園座にて「東西顔見世豪華浪曲名人大会」幹部昇進披露。2008年五代目天中軒雲月を襲名。現在(一社)日本浪曲協会理事。師匠ゆずりの「赤穂義士銘々伝 安兵衛婿入り」ほか、忠臣蔵の外伝、「佐倉義民伝」「決戦巌流島」などを手掛ける。
  • 浪曲師・浜乃一舟 はまの・いっしゅう
    1935年佐賀県杵島郡生まれ、85才。浪曲師/曲師(伊丹秀敏)。1945年に伊丹秀子(二代目天中軒雲月)にあこがれて入門。初舞台は8歳の頃に九州八幡の黒崎劇場で。「美しい声と誰もが聞き惚れてしまう巧みな節遣いの名人であり、おそらく曲師史上一番沢山の浪曲師を弾いて来た名人」(「祝85歳 伊丹秀敏記念公演」チラシ)2018年下町人間庶民文化賞受賞。

    浪曲師・大利根勝子 おおとね・かつこ
    「大利根勝子は五つの時に、流行り病をわずらって、三日三晩の高熱で、危うく命は助かるも、母の姿も見えぬ目に。咲き誇る花の薫りで春を知り、秋の夜長の虫の声、耳を傾けしみじみと、たとえこの眼は見えぬとも、聴いてくださる皆様の、熱い眼差し五体に受けて、行く末長くご贔屓を、高座ながらも願います」(自己紹介の題付け)
  • 浪曲師・真山隼人 まやま・はやと
    1995年鈴鹿市生まれ。15歳で二代目真山一郎に入門。2011年16歳で一心寺門前浪曲寄席でデビュー。2014年10月真山誠太郎門下へ移籍したのを機に曲師沢村さくらと二人三脚の舞台を務めるようになり、2018年文化庁芸術祭新人賞を受賞。「円山応挙」「名刀稲荷丸」「西村権四郎」等の古典演じる傍ら、自身で書いた新作浪曲「ビデオ屋の暖簾」「うんこ」なども手がける。

    浪曲師・京山幸太 きょうやま・こうた
    1994年生まれ。大学在学中に二代目京山幸枝若の浪曲教室に参加し、2014年5月、国立文楽劇場「浪曲錬声会」にてデビュー。2015年1月、阿倍野区民センターにてデビュー披露口上・公演。2019年浪曲界初のR-1ぐらんぷり出場。古典浪曲を磨く一方、音源・ダンス・小道具・衣装なんでもありの”超”新作浪曲を手掛ける。
  • 映画ミーツ浪曲=「浪曲映画」の再発見
    1929年映画は無声からトーキーになったことで、演出の大転換を迫られる。
    多くの時代劇は人形浄瑠璃や歌舞伎のように、義太夫が節と語りで物語を回す日本の伝統的な演劇形式を踏襲、義太夫に代わる役割を浪曲や琵琶語りに託した映画─浪曲トーキー、琵琶トーキーなるものが登場する。
     1928年のラジオの全国放送化、SPレコードの本格普及で大ブレイクした、寿々木米若の浪曲「佐渡情話」に目を付けた日活が、浪曲「佐渡情話」(1934年)を映画化して大成功を収める。
    それを契機に各社は、あたかも今日の映画界がベストセラー小説やマンガを映画化するように、浪曲口演付きや、浪曲・講談演目を脚本とした映画を次々と製作、山中貞雄、成瀬巳喜男、中川信夫、森一生、斎藤寅次郎、三隅研次、加藤泰らも含め、マキノ雅弘の『次郎長三国志』を頂点として、その傾向は浪曲人気が衰える一九五〇年代まで続いた。

     浪曲は大衆芸能の王者として終戦後まで君臨するが、浪曲の物語に通底する義理人情、通俗的で情緒的な価値観は、近代的自我を目指した知識人、夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風らに忌み嫌われ、文芸の世界では「浪花節」という言葉が否定的なレッテルとして最近まで頻繁に使われていた。
    しかし従軍画家を務めたことで戦争協力を問い詰められ、フランスから終生帰国することのなかった藤田嗣治が、テープレコーダーに声で残した遺言のなかで、しばしば浪曲の節に乗せて語るほどに、浪曲は日本人に浸み込んでいた。
     ラジオによって隆盛を極めた浪曲人気はTVの登場で急速に衰退する。だが浪曲師・国友忠が「二葉百合子、三波春夫、村田英雄という人たちは、浪曲の自在性を生かし、それぞれ見事に独自の節調を作り上げて成功した、現代の浪曲家だ」と書いているように、浪曲は変容しつつも日本人のDNAを受け継いできた。
     この特集企画は、いわば私たちのDNAを探り当てる旅でもある。

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