ユーロライブ

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2022年の主催・協力公演

2022年6月24日(金)~6月27日(月)

浪曲映画祭─情念の美学2022

「不知火検校」

「不知火検校」

「狐のくれた赤ん坊」

「狐のくれた赤ん坊」

映画15作品、浪曲9口演、活弁付き上映1回 ⦿6月1日(水)13時より販売開始!

映画ミーツ浪曲=「浪曲映画」の再発見
1929年映画は無声からトーキーになったことで、演出の大転換を迫られる。
多くの時代劇は人形浄瑠璃や歌舞伎のように、義太夫が節と語りで物語を回す日本の伝統的な演劇形式を踏襲、義太夫に代わる役割を浪曲や琵琶語りに託した映画─浪曲トーキー、琵琶トーキーなるものが登場する。
 1928年のラジオの全国放送化、SPレコードの本格普及で大ブレイクした、寿々木米若の浪曲「佐渡情話」に目を付けた日活が、浪曲「佐渡情話」(1934年)を映画化して大成功を収める。
それを契機に各社は、あたかも今日の映画界がベストセラー小説やマンガを映画化するように、浪曲口演付きや、浪曲・講談演目を脚本とした映画を次々と製作、山中貞雄、成瀬巳喜男、中川信夫、森一生、斎藤寅次郎、三隅研次、加藤泰らも含め、マキノ雅弘の『次郎長三国志』を頂点として、その傾向は浪曲人気が衰える一九五〇年代まで続いた。

 浪曲は大衆芸能の王者として終戦後まで君臨するが、浪曲の物語に通底する義理人情、通俗的で情緒的な価値観は、近代的自我を目指した知識人、夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風らに忌み嫌われ、文芸の世界では「浪花節」という言葉が否定的なレッテルとして最近まで頻繁に使われていた。
しかし従軍画家を務めたことで戦争協力を問い詰められ、フランスから終生帰国することのなかった藤田嗣治が、テープレコーダーに声で残した遺言のなかで、しばしば浪曲の節に乗せて語るほどに、浪曲は日本人に浸み込んでいた。
 ラジオによって隆盛を極めた浪曲人気はTVの登場で急速に衰退する。だが浪曲師・国友忠が「二葉百合子、三波春夫、村田英雄という人たちは、浪曲の自在性を生かし、それぞれ見事に独自の節調を作り上げて成功した、現代の浪曲家だ」と書いているように、浪曲は変容しつつも日本人のDNAを受け継いできた。
 この特集企画は、いわば私たちのDNAを探り当てる旅でもある。

出演者:(プロフィール、演目・映画解説は右のチラシを参照)
浪曲師=天中軒雲月、玉川奈々福、玉川太福、木村勝千代、真山隼人、、国本はる乃
曲師=玉川みね子、沢村さくら、沢村美舟、沢村まみ
活弁士=坂本頼光+伴奏=玉川奈々福(三味線) 
トークゲスト=山根貞男(映画評論家)

チケット、6月1日(水)13時より販売開始!!

「浪曲映画─情念の美学2021」会場=ユーロライブ
主催:ユーロスペース 企画:ユーロスペース+シネマ5企画監修:玉川奈々福 
映画提供:国立映画アーカイブ 東映 KADOKAWA 松竹 東宝 日活協力:国立映画アーカイブ
■ローカルツアーは今年も企画中

◎料金=1)映画+浪曲/活弁士付き上映 一般 2400円 学生‣会員 2000円 高校生 1200円
    2)映画のみ          一般 1400円 学生‣会員 1200円 高校生 800円
*今年は回数券の販売はありません。 

6月24日(金) 生誕111年─森一生映画旅
12:00 開映 「槍おどり五十三次」監督:森一生 主演: 市川右太衛門、羅門光三郎、月形龍之介   〽玉川 太福「権三と助十」曲師:玉川みね子
14:20 開映 「続・座頭市物語」監督:森一生 主演:勝新太郎、水谷良重、万里昌代 〽玉川 太福「誉れの三百石」曲師:玉川みね子
16:40 開映 「大阪町人」監督:森一生 主演:羅門光三郎、阿部九州男、荒木忍     〽天中軒雲月「天野屋利兵衛」曲師:沢村美舟
18:45 開映 「不知火検校」監督:森一生 主演:勝新太郎、中村玉緒、近藤美恵子   トーク:山根貞男「森一生映画旅」
6月25日(土) 天保六花撰を味わう
11:30 開映 「天保泥絵草紙」監督:山下秀一 主演: 明石緑郎、嵐璃徳、尾上紋十郎  活弁:坂本頼光、三味線:玉川奈々福     〽木村勝千代「河内山玄関先」曲師:沢村まみ
13:30 開映 「河内山宗俊」監督:山中貞雄 主演: 河原崎長十郎、中村翫右衛門、原節子 〽玉川奈々福「河内山と直侍」曲師:沢村まみ
16:20 開映 「江戸遊民伝」監督:萩原遼 主演:近衛十四郎、宇野重吉、松本錦四郎  対談「天保六花撰のダイゴ味」坂本頼光×玉川奈々福
19:20 開映 「勢揃い大江戸六人衆」監督:斎藤寅次郎 主演:花菱アチャコ、伴淳三郎、宮城千賀子   
6月26日(日)  忠臣蔵番外篇
11:30 開演 〽真山隼人「徂徠豆腐」曲師:沢村さくら   「義士始末記」監督:大曾根辰夫 主演:島田正吾、岡田茉莉子、岩下志麻 
14:15 開映 「忍法忠臣蔵」監督:長谷川安人 主演:丹波哲郎、桜町弘子、三島ゆり子
16:15 開映 「忠臣蔵 暁の陣太鼓」監督:倉橋良介 主演:森美樹、嵯峨三智子、近衛十四郎     〽真山隼人「俵星玄蕃」曲師:沢村さくら
6月27日(月) 父もの映画
12:00 開映 「狐のくれた赤ん坊」監督:丸根賛太郎 主演:阪東妻三郎、阿部九州男、橘公子      〽国本はる乃「忠治関宿落ち」曲師:沢村美舟
14:20 開映 「嵐」監督:稲垣浩 主演:笠智衆、雪村いづみ、田中絹代
16:40 開映 「父子草」監督:丸山誠治 主演:渥美清、石立鉄男、淡路恵子、星由里子
18:30 開映 「おけさ姉妹」監督:伊賀山正光 主演:進藤英太郎、 松島トモ子、 佐久間良子   〽玉川太福「男はつらいよ 寅次郎恋歌」曲師:玉川みね子
  • 天中軒雲月 てんちゅうけん・うんげつ
    岐阜県郡上市八幡町出身。1968年四代目天中軒雲月に入門して月子を名乗る。1974年岐阜県郡上八幡にて「名披露目年明け披露」、1981年名古屋・御園座にて「東西顔見世豪華浪曲名人大会」幹部昇進披露。2008年五代目天中軒雲月を襲名。現在(一社)日本浪曲協会理事。師匠ゆずりの「赤穂義士銘々伝 安兵衛婿入り」ほか、忠臣蔵の外伝、「佐倉義民伝」「決戦巌流島」などを手掛ける。


    玉川奈々福 たまがわ・ななふく
    神奈川県横浜市出身。1995年二代目玉川福太郎に曲師(浪曲三味線)として入門。2001年より浪曲師としても活動。2006年奈々福で名披露目。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作や長編浪曲も手掛け、他ジャンルとの交流も多岐にわたって行う。(一社)日本浪曲協会理事。2018年度文化庁文化交流使として、中欧、中央アジア七か国で公演を行った。第11回伊丹十三賞受賞。
  • 玉川太福 たまがわ・だいふく
    新潟県新潟市出身。2007年、二代目玉川福太郎に入門して太福を名乗る。同年11月、浅草木馬亭にて初舞台。2013年、浅草木馬亭にて名披露目。2015年 第一回渋谷らくご創作大賞、2017年 第72回文化庁芸術祭 大衆芸能部門 新人賞受賞。年間50公演を超える独演会を開催し、浪曲定席木馬亭をはじめ、落語の定席にも出演。古典の名作を継承する一方、さまざまな自作新作も手掛ける。
  • 木村勝千代 きむら・かつちよ
    11歳で初舞台。親の勧めで聴いた二葉百合子の歌謡浪曲「岸壁の母」に号泣。周囲の勧めで、関東節の最長老、木村松太郎に入門。師匠譲りの「芝浜の革財布」「慶安太平記」の他、自作の新作では「まっ黒なおべんとう」で「原爆伝える浪曲師」と取り上げられる。四半世紀を経て、再び浪曲の舞台へ復帰八年目。現在、唯一の木村派。
  • 真山隼人 まやま・はやと
    1995年鈴鹿市生まれ。15歳で二代目真山一郎に入門。2011年16歳で一心寺門前浪曲寄席でデビュー。2014年10月真山誠太郎門下へ移籍したのを機に曲師沢村さくらと二人三脚の舞台を務めるようになり、2018年文化庁芸術祭新人賞を受賞。「円山応挙」「名刀稲荷丸」「西村権四郎」等の古典演じる傍ら、自身で書いた新作浪曲「ビデオ屋の暖簾」「うんこ」なども手がける。
  • 国本はる乃
    「お前はピアノって顔より三味線って顔だな」筑波市にいる父の友人の言葉がきっかけとなり九才で浪曲と出会う。太棹の三味線が掴めずまずお歌から、と騙され台本を貰い半年で成田山新勝寺奉納演芸会で初舞台。高校を卒業と同時に浪曲協会の門を叩き正式にプロとして活動開始。
  • 活動写真弁士・坂本頼光 さかもと・らいこう
    1979年東京生まれ。中学2年頃より映画熱にとりつかれ、活動写真弁士を志す。2000年『鞍馬天狗』前篇の説明でデビュー。以降、時代劇作品を中心に全国各地で活弁ライブを行い、現在までの説明作品は約120本。2010年にエール大ほか、米国5大学の公演に参加。アニメの声優やCMナレーションなどもこなす。2018年国立演芸場花形演芸大賞受賞。
  • 曲師の方々
    玉川みね子 たまがわ・みねこ
    酒田市出身。二代目玉川福太郎との結婚を機に、1976年に山本太一に入門。1978年木馬亭で初舞台。以後は福太郎の弟子・玉川太福をはじめ多くの演者と共演、TV・ラジオにも出演している。

    沢村さくら さわむら・さくら
    千葉大学在学中より浅草木馬亭に通い、2000年に沢村豊子に弟子入り。同年11月「国友忠の会」で初舞台。2005年以降は大阪を中心に活動。また曲師にスポットを当てた「曲師の会」や、一日に三カ所で公演する「あべの浪曲フェス」なども主催する。


    沢村美舟 さわむら・みふね
    1989年生れ、千葉県は佐倉市出身。義太夫から三味線に興味を持ち、木馬亭に通ううち浪花節に魅せられる。2015年に日本浪曲協会主催の三味線教室に通い、同年6月曲師沢村豊子に入門。翌年4月木馬亭にて初舞台。

    沢村まみ
    神奈川県相模原市出身。歌舞伎や落語、講談など様々な芸に触れるなかで浪曲に出会い、『浪曲は人間の叫びだ』と感じ衝撃を受ける。浪曲を彩る師匠のお三味線の音色に惚れ、曲師を志すことを決意、2019年3月、沢村豊子に入門。翌年6月、木馬亭に初舞台。

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