渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2016年 8月12日(金)~16日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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8月15日(月)18:00~19:00 春風亭百栄、立川志ら乃

「ふたりらくご」大人の玉手箱

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プレビュー

どういう角度から笑わせてくれるかわからない演者ふたり。
ぬるっと「こんにちは~」とから入る百栄師匠と、まくら・古典・新作の引き出しがとにかく多い志ら乃師匠。
なにが出てくるかギリギリまでわからないスリリングな落語会です。絶対楽しいです。


▽春風亭百栄 しゅんぷうてい ももえ
年を取らない妖精のような存在です。静岡県静岡市出身、2008年9月真打ち昇進。
不思議な風貌で、危ないネタをかけつづている。次郎長とさくらももこ先生と昇太師匠とおなじ地元。アメリカで寿司職人のバイトをしたことがある。

▽立川志ら乃 たてかわ しらの
24歳で入門、芸歴19年目、2012年12月真打昇進。趣味は、アイドルと声優と相撲とプロレス。『昭和元禄落語心中』から派生したイベント「声優落語天狗連」では声優さんに落語を稽古している。「値引きクーポン」評論家。顔を「拷問(される)顔」と評された。

レビュー

文:桜もち Twitter:@kasiwamoti55 事務員に化けている実は怪しい鍼灸師。マイノリティ応援の遺伝子が組み込まれてしまったに違いない志向です。
だんだんハマりつつある趣味は、占星術とタロット。
今一番関心があることは、「この国はどんどんヤバイ方へ行っているのでは?」

8月15日(月)18時~19時「ふたりらくご」
春風亭 百栄 「コンビニ強盗」「鼻ほしい」
立川 志ら乃 「道灌」

シブラクの帰り道は、ゆるゆる坂を下りながら余韻にひたるひととき。

今回は志ら乃師匠の勢いに引き込まれ、「わーわー、何なんだ!」と思いながらも可笑しくて仕方なくてゲラゲラ。
「志ら乃師匠が話す→とにかく笑う。」を繰り返しているうちに、自分が笑っていることに釣られてまた笑っちゃう、「お箸が転がっても可笑しい。」状態に。とことん浸り込んでしまいました。

そのことを思い出しながら歩いていて、ふと気がつくと、すごくスカッとした気分。
でも、温泉に入った後みたいに顔の周りがまったりもしている。
こちらは百栄効果だと、私はみました。

百栄師匠のまったり感がもともと好きで、
師匠が高座に上がり、「こんにちは〜、百栄です。」が聞けたところでもう笑ってしまう。
「ね!」や「うん…」が聞けただけで嬉しくなって、来てよかったなぁと思うのです。

自分が部屋で机に向かい、原稿を頑張って入力している。で、ふと気がつくといつの間にか寝転がりながらマンガ読んでいる恋人がいる。または、後ろから「あのさぁ」と不意に声をかけられる。
私しかいなかったはずだあ、めちゃくちゃびっくりする。恋人なんで決して嫌じゃないんだけど、「いつの間にぬ〜っと入ったんだ!」

この「ぬ〜」が私の百栄師匠のイメージです。
または海辺の海の家、夕凪の風が吹くともなく吹いている、その風に当たっている感じもそうです。

百栄師匠、びっくりの二本立てでした。
まだ30分には時間がたっぷりありそうなところでオチとなり、
マクラで、「浅草演芸ホールでは時間をやりくりし合ってトリの時間を捻出する」というお話をされたので、「え?残りは志ら乃師匠にお譲りしてもう終わっちゃうの?」と、焦りました。
「たまにはこういうのもいいかなぁと思って。」とのことで次の話へ。「鼻がほしい」

次の志ら乃師匠が「生で聞いたのはじめてじゃないかな、そうです。」と呟かれたのにピピッとしてたので、調べてみると古典?少なくとも百栄師匠の創作新作ではなさそう。
百栄師匠の江戸風情たっぷりは、はじめてでした。すごくいいです!

主人公のお侍さんと馬子の会話が続くところがあるのですが、その時の師匠が特に、もう!全部いいのです。優しい雰囲気。
ぜひ、江戸情緒の雰囲気たっぷりの噺をお聞きしてみたいなぁと思いました。

  • 春風亭百栄師匠

    春風亭百栄師匠

「志ら乃師匠、声でっかーい、早口ー。」が数日たった今もすごく印象的。
余談ですが、噺家さんは日常も高座と同じような口調、話しぶりなのでしょうか?
とにかく笑った、笑った。ありがとうございました!


「ふたりらくご」、私のお気に入りです。
もともと夜遅くがあまり得意でない。噺が2つで「軽い」という良さも。

いっぱい聞いて余韻があり過ぎて眠れないほど楽しいのも魅力的ですが、
軽い気持ちで楽しんで、爽やかに帰るのも何ともよいのです。
また平日の18時からという中途半端な設定。ちょっと仕事早引けして向かうのは、特別なプレゼントを自分にあげたかのよう。
まだ、未体験の方は是非!オススメしたいです。

デートのお食事の前に「ちょっと落語行ってみない?」も素敵!
彼女、彼をびっくりさせちゃいましょう‼︎
(勝手にテンション上がっちゃって、すみません。)

  • 立川志ら乃師匠

    立川志ら乃師匠

【大事な業務連絡です!】
ヤバ!忘れるところでした!

志ら乃師匠より、ヨンリオキャラクター投票が呼び掛けられています。ツイッターで#ヨンリオ
http://s.ameblo.jp/st-blog/entry-12190717565.html
みなさん、ドシドシ投票を。

個人的なイチオシは「旅館の朝食ん」。次点はコメントがないにも関わらず魅かれてしまう「へびかめ」くん。
でも、どれもこれもかわいくって決め難し。
添えられたコメントが決め難し度合いを可笑しくアップしています。


【シブラクが好きな人、こんなのもいかが?】
新コーナーが始まりました!(なんじゃ、こりゃ。)
別名、自分の好きなもの押しつけますコーナー!

今日のオススメは映画、「アキ カウリスマキ」監督作品です。
「現代」に翻弄されながらも、したたかに生きる市井の人々。行き当たりばったりが積み重ねられる人生。
その様はどこか、長屋の住人達に似ているとは、桜もち(私)によるこじつけか!

芸人さんや演芸愛好家に少なからぬファンが生息しているカウリスマキ監督。
(少なくとも、私の知っているところでは。)

独特の世界に、ハマる人ははまってしまう類いです。
私は「ラヴィ・ド・ボエーム」、「真夜中の虹」、「コンタクトキラー」が好き、「過去のない男」、「浮雲」、「ユハ」もいいです。
まず王道を…なら「ル・アーヴルの靴みがき」をオススメ。救いようのない絶望感に浸るなら「街の灯」、「マッチ工場の少女」にしましょう。

DVDでいっぱいあるのでレンタルでかなり制覇できますが、今ちょうど阿佐ヶ谷の「ユジク」で何本か見れます。
やっぱりちゃんと上映で見るといいです。
(演芸と同じだね。)
時々、ちらほら上映がありますので、少しずつでも上映での鑑賞を制覇していきたいと、私も思っています。

是非ね!見てみて下さい。
そして逆にカウリスマキファンの方で、何を間違ったかこちらに辿り着いちゃったあなた!
これもご縁。物は試しで是非、「シブラク」にいらしてみて下さい。

今月のレビューはこれまでです。
お読みいただいて、ありがとうございました。

【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」8/15 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ