渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2017年 5月12日(金)~16日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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5月12日(金)20:00~22:00 立川吉笑 春風亭柳朝 橘家文蔵 古今亭志ん八

「渋谷らくご」 二つ目 古今亭志ん八、トリをとる会

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プレビュー

◎ニコニコ公式生放送「WOWOWぷらすと」中継あり(http://www.wowow.co.jp/plast/

この秋、真打に昇進する二つ目、古今亭志ん八さんがトリをとる会です。直前には橘家文蔵師匠が出演。
古典落語に浸りたい、という方にオススメの志ん八さんの語り口。疲れず聴かせる名手です。お楽しみに!


▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在入門7年目、2012年4月二つ目昇進。2015年末『現在落語論』を出版。音楽番組の司会をつとめる。吉笑さんが住んでいるマンションではたびたび非常ベルがなる。相当な酒豪で、ほぼ毎日お酒を飲んでいる。酒癖があまりよくないらしい。

▽春風亭柳朝 しゅんぷうてい りゅうちょう
23歳で入門、芸歴23年目、2007年真打ち昇進。毎朝、豆から挽いてホットコーヒーを入れている。銭湯巡りが趣味。朝起きるのが早く、朝7時にご飯をしっかり食べる。お味噌汁とヨーグルトとオレンジジュースとヤクルトは欠かさず取っている。2006年から毎日欠かさずブログを更新している。

▽橘家文蔵 たちばなや ぶんぞう
24歳で入門、芸歴31年目、2001年真打昇進。
ツイッターで、朝ご飯や酒の肴など、日々の料理をつぶやいている。最近のお料理は「鶏肉を入れ忘れてしまった鶏炊き込みご飯」とのこと。最近、ガスの湯沸かし器を交換した。ホッピーと焼きトンが好き。日本で一番顔が怖い三代目。

▽古今亭志ん八 ここんてい しんぱち
28歳で入門、芸歴14年目、2006年11月二つ目昇進。渋谷らくごのどがちゃがで、4コマ掲載中。今秋真打ち昇進決定!魚好きで、釣りも好き。仕事を断らないという強靭な精神を持ち、先日は跳び箱の上で落語をした。2月22日から、メダカを飼いはじめた。

レビュー

文:pem(ペム) Twitter:@shina1220  性別:女 年代:20代 マイブーム:宝塚の幕末太陽傳に夢中な日々(渋谷らくごのおかげで“廻し”“若い衆”の単語が出てきても扇辰師匠と左談次師匠の五人廻しで予習できたので別の角度からも楽しめました…!)

5月12日(金)20:00~22:00
立川吉笑(たてかわ きっしょう)「一人相撲」
春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう)「佐々木政談」
橘家文蔵(たちばなや ぶんぞう)「夏泥」
古今亭志ん八(ここんてい しんぱち)「唖の釣り」


『渋谷らくごのおかげで寄席デビューできました』

初めて生で落語に触れたのが2016年12月のしゃべっちゃいなよ。それ以降毎月渋谷らくごしか足を運んでいなかったのですが、Podcastでサンキュータツオさんが寄席に行って欲しいとよくおっしゃっていたのでとうとう先月“寄席デビュー”して参りました…!!新宿末廣亭の4月下席夜の部(トリは桃月庵白酒師匠)だったのですが開演の17時からたっぷり丸々4時間堪能。飲食OKで最初はゆるゆるした雰囲気ながら後半から徐々に盛り上がりつつ合間に手品や漫談が入り頭の中をクールダウンしつつも楽しみ(これが紙切りとめっちゃテンション上がりました)、そしてトリの白酒師匠が高座に上がったらボルテージ最高潮で客席の一体感があって楽しいなぁと思いつつこの感覚プロ野球観戦してるのと似たテンションだなと
個人的に感じました。なので思った以上に気軽なテンションで行っていいんだと気付かされました。それにしても末廣亭、建物の外観も内装もとても雰囲気が素敵でまた訪れたい!!と思いつつ先に都内の寄席制覇したい願望を胸に今月もシブラクでございます!

渋谷らくごの初日の金曜日20時回は毎月ニコニコ生放送にて生中継(※アーカイブス放送なし)されているので、放送は観た事があるのですが実際にその回に足を運ぶのは初めてでございます。開演20分前にいつものようにチケットを受け取り、ふと整理番号を見て「おや?」となりつつ会場に入り「Oh…」に心境が変化する私。その後吉笑さんも文蔵師匠もまくらで「大勢のお客様〜」と言うもんだから笑いつつも無駄に客席の心が抉られてたんですけどニコ生のコメントやいかに…(実際の来場者数を知りたい方は渋谷らくごTwitter公式アカウントにて毎公演開示されてるので覗いてみましょう)

しかしそんな先鋭揃いの客席ということで携帯はバイブも鳴らない咳すら一つ起こらない、そして終演後に演目がモニター映し出されるわけですが毎回出た瞬間からパシャ、パシャとシャッター音が結構聞こえてきて「あれぇーー?携帯の電源普通まだ入んなくないですかー?」って心の中でいつも思っていたのですが、やはり先鋭が揃っておりました…。「みんななかなか立たないな…」と後ろを振り向くと写真を撮る人は皆さん携帯の電源を入るの待ちでその後シャッター音が鳴り響く…良い環境でございました。ということでそんな良い空間の中2時間過ごさせていただきました、5月12日20回のレビューでございます。

立川吉笑「一人相撲」


  • 立川吉笑さん

    立川吉笑さん

勝手に真打だと思ってたんですが二つ目さんでした。冒頭から大入り満員で立ち見まで出ているとお互いの傷口をえぐってくる吉笑さん。神田の連雀亭で毎日二つ目による寄席が催されているということで午前の部は仕事前・休憩前倒しのお客様お越し下さるが13時半〜15時の回がすごい苦戦するということで色々おはなし聞いているうちに平日休みの人間なので今度足を運んで初心者のフリして落語とそしてトライアングルのおじいちゃんたち見たさに出口付近で聴きたいと思った所存でございます(笑)

お噺は大の相撲好きの関西で商売を営んでいる旦那さん。相撲断つするために両国行きを断念するも千穐楽の日気になって気になって体調を崩してしまう始末。そんなところに番頭さんがこうなることを見通していて事前に店の小僧たちに旦那の前で語ってもらうために相撲観戦しに行ってもらっていた!その後続々と帰って旦那に試合の様子を伝えようとするのだが…といった流れ。古典落語だと思っていたんですが新作落語でございました。時代が昔だと途端に古典だか新作だかわからなくなります。自分も旦那の気持ちになりながら聞いちゃうので旦那のツッコミでスッとなりました(笑)


春風亭柳朝「佐々木政談」


  • 春風亭柳朝師匠

    春風亭柳朝師匠

全くもってお初にお目にかかります状態です。大抵、生は初めてだけどPodcastかTVやラジオで〜ってパターンなんですが初めてすぎて未知との遭遇です。なんというか私の頭の中で落語家ってこんなイメージ〜みたいな風貌でした。THE正統派というのでしょうか。まくらでは町奉行の説明を色々してくださったのですがドラマのくだりはそういったドラマに一切触れたことがなかったのでこれからお噺ついていけるかなと若干不安だったのですがそんな不安そっちのけで楽しめました。

お噺は江戸南町奉行の佐々木信濃守がお忍びで町中を歩いていると子供達がお奉行ごっこをしていて、しかも奉行役の子供は佐々木信濃守を名乗っている。覗き見してるととても利発的な子で興味を持ち、その後奉行所に出頭するようにその子と親と家主に命じられ…という流れで奉行所の場面の子は飄々、親は恟々とした対比だったり、佐々木信濃守と子供の問答と見所たっぷりでございました。


橘家文蔵「夏泥」


  • 橘家文蔵師匠

    橘家文蔵師匠

柳朝師匠と同じ全くもって初めてで未知との遭遇…と思いつつ待っていたら「怖っ?!えっ?落語家?落語家さん?!Vシネマ俳優とかではなく??」と思わされるレベルの貫禄を肌身に感じつつ、一言からドス聞いたしかし小声からのスタートで前の方にいたんですがちゃんと聞かないの聞きそびれるぞという音量だった為か客席が文蔵師匠に目も耳も一点集中といった感じに。吉笑さんと同じく大入りでーというくだりから先月から寄席は真打披露公演をしていてとめでたいことだから縁起担ぐんですよーと色々具体例をあげていらしたのですが終始愛らしい笑顔を浮かべていてこれがギャップ萌え…ありがとうございます状態でした。

噺は泥棒に入ったところが無一文の男の家でむしろお金を巻き上げられちゃうというマヌケな泥棒のおはなし。泥棒が長屋に忍びながら入っていき穴にはまってしまう一連の流れの時、客席も静まり返って見守るような雰囲気だったので穴にハマった際は私も泥棒と同じレベルで驚いてしまいました。泥棒はちょっと可愛らしく長屋の男がドスが効いていてまくらと同様ギャップ萌え堪能させていただきました。


古今亭志ん八「唖の釣り」


  • 古今亭志ん八さん

    古今亭志ん八さん

プレビューでは“疲れない落語”という風に書かれておりましたが個人的には疲れないを超えて“癒される落語” です。見た目もゆるキャラかマスコットキャラクターのようなほんわかしたお顔立ちにこれまた声も柔らかい優しい雰囲気で癒されること間違いなし。そんな志ん八さん、文蔵師匠とこんな会話をしたとモノマネしだすんですからまくら大ウケでございました、これはズルイ、面白くないわけがない。

噺は「唖(おし ※口がきけない)の釣り」読めないわ意味もわからないわでネット検索ですよ。また、ひとつ学びました。江戸では昔、釣りをしてる人は買えるものを何時間も釣れるのを待つなんてということで馬鹿にされていたようです。そんな中、馬鹿な与太郎わざわざ釣り好きの七兵衛にその旨を伝えに行くと七兵衛が怒り自分は馬鹿でない、殺生禁断の不忍池で鯉をこっそり釣り売りさばいて儲けているということをうっかり洩らしてしまい与太郎と一緒に不忍池に鯉を釣りに行く羽目になり…ということでとにかく志ん八さんが演る与太郎が愛すべきおバカ感が素晴らしい。でも七兵衛さんも不憫だし、その後に出てくる見張り番2人もなんとも言えず良い味出しており聞きながらみんなうまくいけって気持ちになります。
なんて思いつつ、それにしても与太郎のあの言い訳で許しちゃう見張り番は見張り番としていかがなものかという気持ちも湧きますし、七兵衛に対しても許さない!って感じよりもああ口がきけないしどうやってやりとりしよう…あれジェスチャーすごいと関心しちゃってる感じでやはり見張り番向いてないよ君たちってゆるっと面白くて素敵でした。いまレビューを書きながら志ん八さんの七兵衛のジェスチャーの様子が3日経っても新鮮に蘇るレベルで印象的でした。特に鯉、主に鯉、というよりほぼ鯉(笑)

今回はニコニコ生放送で毎月放送される金曜日20時回にお邪魔させていただいたのですが、ニコ生見るのもよし。しかし足を運ぶのは尚良しということでいつも生放送は見てるけど生では見たことないよという方ぜひ一度渋谷の街へ訪れてみてはいかがでしょうか?

来月のシブラクは6月9日(金)~13日(火)ですので気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか?来月まで待てないよ!・落語に少し興味湧いてきたよ!という方はPodcastや動画が1席丸ごと配信されてますので渋谷らくごHPのトップページにURL貼ってありますのでぜひご覧ください。


【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」5/12 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ