渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 5月12日(金)~16日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
落語に興味あるけど、どの会に行けばいいのかわからない人。「渋谷らくご」はそういう人に向けて設計された落語会です。
なかでも、菊之丞師匠は落語の王道、山でたとえるならば、偉人たちが挑んできた山に挑み続けて、前人未踏の登頂を続ける現在、最高の冒険家のような存在です。3ヶ月に一度、この渋谷らくごに出演してくださっているシリーズの17年5月号。
友だちを連れて、初心者を連れて、ぜひこの会に来てください。トリに至るまでの4人のリレーも楽しめる会になると思います。
▽柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
16歳で入門、芸歴12年目、2009年11月二つ目昇進。落語芸術協会の二つ目からなる人気ユニット「成金」メンバー。
先月の渋谷らくごでは、落語中にコンタクトが外れてしまうというアクシデントまでも笑いに変えてしまった。写真に撮られる時に、若干の昭和感を出す「イケメン」。
▽台所おさん だいどころおさん
31歳で入門、芸歴15年目、2016年3月真打ち昇進。パチンコで帰りの電車賃つかってまでもパチンコに没頭し、そして負けて一文無しになる芸人的一面をもつ。ドトールで時間を潰す。映画が好き、アキ・カウリスマキ、成瀬巳喜男、黒澤明が好きな映画監督。
▽玉川奈々福 たまがわ ななふく
1995年曲師(三味線)として入門、芸歴22年目。浪曲師としては2001年より活動。2012年日本浪曲協会理事に就任。
「シブラクの唸るおねえさん」。日本全国に熱烈なファンも多く、浪曲の裾野拡大に大いなる野心を注ぐ。港で浪曲協会のTシャツを着て決めている写真がかっこ良すぎるとtwitterで話題にもなった。「語り芸パースペクティブ」という、日本の語り芸を網羅する一大プロジェクト進行中。
▽古今亭菊之丞 ここんてい きくのじょう
18歳で入門、芸歴26年目、2003年9月真打ち昇進。この夏公開の映画、ディズニー・ピクサーの「ファインディング・ドリー」の吹き替えで、声優デビュー。去年の落語協会のイベントでは、約3000個のたこ焼きを焼ききる。今年も菊之丞師匠はたこ焼きを焼くとの噂。NHK Eテレの「美の壺」にご出演される。
レビュー
5月16日(火)20:00-22:00「渋谷らくご」
柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく) 「粗忽長屋」
台所おさん(だいどころ おさん) 「三方一両損」
玉川奈々福(たまがわ ななふく)/沢村美舟(さわむら みふね) 「小田原の猫餅」
古今亭菊之丞(ここんてい きくのじょう) 「百川」
座布団の上のかがやき
相撲ブームがやばすぎて、本場所のチケットが争奪戦です。夏場所は1時間半で全席完売したそうで。でも、そんな時の救世主は当日券です。安くて便利なので利用してる人も多いのではないでしょうか。モタモタしてると前売り完売…なんていうのは落語も同様。観たいけど仕事終わるかな〜…と迷っているうちに完売してたなんて、数えきれません。ここシブラクは大相撲のように当日券なる救世主が毎回用意されてるので、事前にスケジュールが読めない時も安心できます。
さて、輝(かがやき)という力士は一般の人にはあまり認知度が高いと言えないかもしれませんが、相撲ファンからはかなりな期待をされているかと思います。そんな輝に期待をかける相撲ファンに向けて、レビューを書きたいと思います。素質や将来性、相撲への姿勢…などなど、この回の出演者と共通点盛りだくさん。輝ファンには見逃せない回でした。
柳亭小痴楽さん「粗忽長屋」
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柳亭小痴楽さん
入門が早かったのは小痴楽さんも同じ。マクラでご自身の中卒エピソードを喋ってましたが、やっぱり気になるのはその流暢で綺麗な江戸弁。ネイティヴ江戸弁スピーカーの高齢化が進み、町中で聞けなくなって寂しく思ってましたが、マクラでもこんなゴリッゴリの江戸弁聞けるなんて感無量。育った環境もあるんでしょうが、若いうちに入門していると染み込むものも大きいのかしら…。そんな事を思っているうちに本編へ。ネタは「粗忽長屋」。落語を観てる感覚はなく、自分も噺の中に入り込んで烏合の集になっていました。情景が想像しやすいと感じることはあっても、エキストラとして自分も登場人物の一員になれるなんて、なかなかここまでの感覚になったことはありませんでした。チラシで小痴楽さんを見てただけの頃はもっとチャラいのかと思っていたので、全力でデコを床にめり込ませて謝りたい。
台所おさん師匠「三方一両損」
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台所おさん師匠
おさん師匠はいかにも噺家というちょっと独特な風貌。それだけでもスッと落語の世界に入ることができるのです。「三方一両損」は気の荒い江戸っ子が思い切り喧嘩をする噺ですが、なんか妙にリアルなんです。江戸っ子のイメージって、喧嘩っ早いけどお人好しの御節介者だと思いますが、おさん師匠の喧嘩のシーンは荒々しいのに悪い人じゃない感が滲み出ているのです。威勢はいいし負けん気は強いんだろうけど、喧嘩弱いんだろうなぁってところまで読み取れます。小痴楽さんの落語でタイムスリップしたきり、現代に帰ってくるきっかけを完全に失ってしまいました。大岡越前守はずっと加藤剛のイメージしかありませんでしたが、リアルはきっとこっちでしょう。
玉川奈々福さん/沢村美舟さん「小田原の猫餅」
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玉川奈々福さん・沢村美舟さん
落語が好きでこのシブラクに来ているので、一番お目当の演者さんはだいたいいつも落語家さんです。そんな中、気付いたら土俵を割っているかの如く世界観に引き込まれるのが奈々福さんです。昨年11月にレビュー書かせて頂いた回で、同じく奈々福さんの今回のネタのパロディ版を聴きました。元ネタ知らないのに滅茶苦茶面白かったんです。ただ、やっぱり元ネタ気になる。念願叶っての元ネタ「小田原の猫餅」、鳥肌立ちました。奈々福さんの演技力は凄く、哀れな老婆から悪者、ヒーローまで別人が演じているようで、もはやミュージカルを観てるよう。もはや自分の好みをジャンルで順位をつけるなんて意味がないことを思い知らされるこの気持ち良さ。きっと東照宮の眠り猫を見たら、奈々福さんの演じる滅茶苦茶イケメンな左甚五郎が浮かんできそうです。そんな、記憶に深く刻まれる演目でした。
古今亭菊之丞師匠「百川」
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古今亭菊之丞師匠
相撲と比較して落語が圧倒的に良い点は、高座上での出世に関わる怪我がないことです。高速寿限無で舌を噛み切ったが故に真打ちに上がれないとか、まず聞かないですからね。つまり、よっぽどのことがない限り、すっごい実力者はすっごい実力者としてずっと観ることができるのです。輝の相撲もこんな気持ちで観たいなぁと思うのが、今も未来も実力者・菊之丞師匠の落語です。落ち着いた品のある姿はまさに理想の横綱像。穏やかにマクラが始まり、仕切りを重ねる度に気合いが増す取り組み前の力士のように、徐々に笑いで熱を帯びていきます。「百川」には料亭の主人、田舎から出てきたばかりの奉公人、荒くれ者が主な登場人物ですが、まぁ主人はそのままの品のある雰囲気ですが、それだけではダメなんです。時には厳しい攻めの相撲もしなくてはいけない。それを魅せてくれたのはこの荒くれ者です。さらに、人気になるには格好良さや強さだけでもダメなんです。最大の要素は可愛らしさ…つまり萌えです。とにかく菊之丞師匠の奉公人が可愛いのなんの。「百川」で魅せてくれた菊之丞師匠を相撲に活かせばステキな横綱になれるはず。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」5/16 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ