渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 2月9日(金)~13日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
落語家となって46年、入船亭扇遊(いりふねてい せんゆう)師匠。
「匠」という言葉がこれほど似合う師匠もほかにおりません。最初になにかに触れるとき、まずは匠の作品に触れるという人は、まずこの扇遊師匠の心地よい語り口、明るい笑顔に触れてみてください。
二つ目の吉笑さんは現代の方でも楽しめる工夫にあふれ、新真打の志ん五師匠、浪曲の奈々福さんとバリエーションにも富んだ会となっています。
▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在入門7年目、2012年4月二つ目昇進。オンラインサロン「立川吉笑GROUP」を立ち上げ、新しい活動を試みている。酒豪。「ちょっと一杯つきあって」という吉笑さんの誘いは、朝までコース。
▽古今亭志ん五 ここんてい しんご
28歳で入門、芸歴14年目、2017年9月真打昇進。渋谷らくごの公式読み物どがちゃがでは、志ん五師匠の似顔絵コラムが掲載中。スケートボードにはまり稽古を重ねているので、技術がめきめきとあがっている。最近iPad Proを導入して、絵を描いている。
▽玉川奈々福 たまがわ ななふく
1995年曲師(三味線)として入門、芸歴22年目。浪曲師としては2001年より活動。2012年日本浪曲協会理事に就任。「シブラクの唸るおねえさん」。浪曲の稽古に熱が入りすぎて足を捻挫するという珍エピソードを持つ。年末に断捨離を決行した。
▽入船亭扇遊 いりふねてい せんゆう
19歳で入船亭扇橋師匠に入門、芸歴46年目、1985年真打ち昇進。現在落語協会理事。入船亭一門の総帥。ユーロライブの近くにご自宅があるため、歩いて楽屋入りされる。酒豪。「軽く飲みに行こうか」という扇遊師匠の誘いは、4時間コース。
レビュー
2月10日(土)14時~16時「渋谷らくご」
立川吉笑(たてかわ きっしょう)「ぞおん」
古今亭志ん五(ここんてい しんご)「唖の釣り」
玉川奈々福(たまがわ ななふく)/沢村美舟(さわむら みふね)「浪曲百人一首」
入船亭扇遊(いりふねてい せんゆう)「お見立て」
「ハレの日」
天気がとてもいい日だった。お布団を干してくればよかったと後悔した気がする。ぽかぽかしていていい匂いがした。どんな日だって落語を聴くのは楽しいが、こういう晴れた日の落語もまたいいものである。
立川吉笑-ぞおん
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立川吉笑さん
例えば皆さんは、落語のどういうところが好きなんだろう。
吉笑さんはスポーツ観戦が好きで、特に、有名な解説者さんたちの盛り上がった時にとてつもなく貧困になる語彙力が、より一層その場を楽しむスパイスだという。
人から聞く理由はきっと、いつか私たちの、なにかを好きな理由のスパイスになる。先からでも後からでも付けられる価値って素敵だなあ。
一人の奉公人定吉は今日からお世話になる店の番頭にまず挨拶に行く、が、相手が何を言ってるか聞き取れない。どうしたものか。先輩の奉公人に理由を聞くと番頭はゾーンに入っているという。ゾーンって…あの、野球選手なんかがボールが止まって見えたとかいうあの、極限の集中状態のことですか!なんだお前、やけにゾーンに詳しいじゃないか。
噺に入った瞬間、関西弁に切り代わりとても驚いた。いや、驚いたのは目の前に突然定吉がいた、これから奉公する大きな店が私にも見えたからかもしれない。私の想像力のずば抜けた豊かさか、またはあの瞬間、会場全員の五感を吉笑さんがゾーンに入れてくれていたのか、どちらかだ。
古今亭志ん五-唖の釣り
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古今亭志ん五師匠
足が速い子が人気であった理由は、狩猟によって食料をこしらえていた時代からの人間の本能的なやつなんだろうか。よく分からんが言われてみればモテていた。
誰が演じる与太郎も、大抵馬鹿で抜けていて面白いが、志ん五さんの与太郎は特別馬鹿で最高だった。喋り始めて5秒で分かる、こいつはそんじょそこらの馬鹿とは一味違う、本物の馬鹿だ。
そんな本物の馬鹿に、殺生禁断の不忍池で夜な夜な鯉を釣って生計を立てているという秘密を喋ってしまう七兵衛も七兵衛でまずまずの馬鹿である。そして与太郎が合図をして気づかないあたりもまた、結構な馬鹿である。
極め付けに七兵衛は、役人に捕まって慌て、口がつり、喋れなくなる。そこで身振り手振りで必死に言い訳する様子がめちゃくちゃ馬鹿っぽい。どれだけ馬鹿っぽいかというとあの与太郎よりうんと馬鹿っぽいのだ。
あれ、結局のところ本物の馬鹿はどっちなんだ。
まあいいや、そんな馬鹿たちがいるから落語はとても面白い。
玉川奈々福/沢村美舟-浪曲百人一首
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玉川奈々福さん・沢村美舟さん
浪曲百人一首、名前の通り百人一首を浪曲にしてみようというやつだが、これがめちゃくちゃ面白い。またまあ奈々福さんの現代語訳が面白いのなんのって。しかも勉強になる。昔の言葉で何言ってんのか訳わかんないって思ってた学生時代の自分にみせてやりたいよ。そしたらきっとカルタも好きになってたかな。広瀬すずみたいになれたかなあ。
大体の恋はそう簡単にはいかなくて、いじらしい。あとよくよく聴いてると内容は結構くだらなくていい。ツイッターに呟いてる女子みたいな内容が多い。今すぐ会いたいって言ったから化粧も落とさず待ってるのにあの男はまだ来ないもう朝になるぞ、だとか、お布団が冷たい、あの人がいつも温めてくれていたのにだとか。呟きか。
あの伝説の美女の小野小町さんでも、ほうれい線が気になるっいうから超身近に感じた。いいクリームとかあったら教えてあげたい。
奈々福さんのおかげで平安時代の人が凄く身近に感じてしまう。不思議な時間だった。
入船亭扇遊-お見立て
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入船亭扇遊師匠
でも扇遊師匠の顔を見た瞬間、私「この人に会いに来たんだ」って思ったんだ。
生活の役には立たないかもしれないけれど、落語はこんな素敵な感情をくれる。
なかなか引き下がらない客vs.絶対に会いたくない花魁。
決戦の時、カンカンカン!まさに灼熱の戦い、目が離せません!間に挟まれた喜助が気の毒でなりません!
さて、ここで花魁の最終兵器「あなたに恋い焦がれ死にました」攻撃!喜助がお茶を目に塗り涙に見立てるのも見ものです!死んだと言われたら流石に諦めるでしょう。…っとー!!!ここで客からまさかの「これから墓参りに行く」の反撃!こんなデタラメよく信じるなあ。案の定喜んじゃってるし。両者一歩も譲りません…!そして、頑張れ頑張れ喜助。
客の部屋と花魁の部屋を行ったり来たり、二人からやんややんや言われる喜助。渡り廊下で、なんでこんなことしてるんだ、どっちにもペコペコして、もうこんな仕事辞めようと呟く。そうだそうだ、いっそのこと二人で話し合えばいいじゃないかと野次を入れてしまいそうになった。この対決は私の独断と偏見で喜助の勝利、客と花魁は引き分けとなりました。ではまた来週の放送でお会いしましょう。
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「渋谷らくご」2/10 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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