渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2018年 2月9日(金)~13日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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2月12日(月)17:00~19:00 柳家花いち 三遊亭鳳笑 台所おさん 瀧川鯉斗 林家たこ平 隅田川馬石

「まくら王」まくら5名+古典落語1名 初心者大歓迎

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プレビュー

 祝日の17時。三連休の締めは、落語家さんたちの楽しい話、最後には聴きごたえたっぷりの落語を一席。
 日常で出会う出来事や関心のあること、自分の経験などでお客さんを楽しませる「まくら」は、「雑談」ではありません。
 あくまで、落語の世界を表現する「橋渡し」です。まくらを聴くと聴かないとで、落語の味わいがまるで変わります。
 つまり、まくらは料理でいえば調味料。
 トリの馬石師匠は、5名のマクラのなかからひとつを選んで、そこから続く古典落語を一席演じてもらいます。お楽しみに!

▽柳家花いち やなぎや はないち
1982年9月24日、静岡県出身。2006年入門、2010年二つ目昇進。今年のR-1グランプリ三回戦に進出した。高校時代は駅伝部。最近はじめて木馬館で大衆演劇をみる。

▽三遊亭鳳笑 さんゆうてい ほうしょう
28歳で入門、芸歴12年目、2010年10月二つ目昇進。石川啄木からアポリネールまで詩集を読む。アメーバブログをやっているが、独特の文体で日々の生活を報告している。ブログの内容が怖い。

▽台所おさん だいどころ おさん
31歳で入門、芸歴16年目、2016年3月真打ち昇進。最近まで、お財布とスイカをもっていなかった。小銭はポケットに押し込んでいたため、ポケットがパンパンに膨らんでいた。新幹線に乗った時に食べるアイスクリームが大好きで、冬でも食べて震える。

▽瀧川鯉斗 たきがわ こいと
21歳で入門、芸歴12年目、2009年4月二つ目昇進。元・名古屋の暴走族の十二代目総長。バイト先に偶然あらわれた鯉昇師匠に惚れ込んでしまい突然入門をする。最近、泡盛にコーヒー豆をつけたお酒にはまっている。

▽林家たこ平 はやしや たこへい
1979年7月4日、大阪府出身、2003年11月入門、2007年二つ目昇進。ツイッターのアカウントは存在しているのだが、9ツイートしかつぶやかれておらず、そしてツイート内容も不穏な空気を出している。2018年9月に真打ち昇進が決定している。

▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴24年目、2007年3月真打昇進。高座を終えて楽屋を出る速度が渋谷らくごの出演者の中で最も早い。75歳で落語家のピークを迎えるよういまから調整している。寒い夜に月を見るとテンションがあがる。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@dejidj2016 (シンガポール育ち帰国子女、だけど落語大好き!落語以外の趣味は、映画とジャズトロンボーン)

2月12日(月)17時~19時「まくら王」
柳家花いち  (やなぎや はないち) 「高永荘の思い出」
三遊亭鳳笑  (さんゆうてい ほうしょう) 「オヤジ」
台所おさん  (だいどころ おさん) 「クックパッド」
瀧川鯉斗   (たきがわ こいと) 「大須修行」
林家たこ平  (はやしや たこへい) 「大阪ラバーズ」
隅田川馬石   (すみだがわ ばせき) 「時そば」

「ジャズのように自由に」


今日は出囃子がなく、演者さんは皆ジャズにのって登場。
トリの馬石師匠もジャズ好きで、トランペットをお持ちだそうです。

私が今ハマっている漫画「BLUE GIANT」にも主人公がアドリブで演奏するシーンが数多く登場します。本日の「まくら王」も、何が起きるかわからないスリリングさ、挑戦的かつ実験的なところがジャズに似ていますね。

昔は「この噺には、この枕」という決まり事があったそうですが、今はもっと自由な時代。思い出話から最近遭遇した面白い出来事まで、ジャズのアドリブ演奏の様に噺家さんの個性やセンスが光ります。そして、それを受けて馬石師匠が最後に一席。さあ、どんな流れになるでしょう?

柳家花いち 「高永荘の思い出」

  • 柳家花いちさん

    柳家花いちさん

浜松出身の花いちさん。上京後、前座時代に住んだ井の頭公園近くのアパート・高永荘には、他に二人も噺家さんが住んでいたそうです。漫画家で言えば「ときわ荘」。元住人が全員ブレイクすれば、レジェンド的名所になりそうですね。
ちなみに、渋谷の思い出はR-1グランプリ予選出場とのことで、その時に演じたショート落語を披露。そのお噺とは、結婚を許してもらうには自分の歳の数と同じ長さの麺(43歳なら43メートル)をすすらないといけないという「麺類憐れみの令」、なんか、シュール(ちなみにR-1は3回戦で敗退)。ひたすら麺をすすり続ける演技には「時そば」を思い起こしました。
なお、「高永荘」をGoogle Mapで探してみたら、残念ながら井の頭公園付近には見つかりませんでした(が、北海道に一軒ありました)。

三遊亭鳳笑 「オヤジ」

  • 三遊亭鳳笑さん

    三遊亭鳳笑さん

昭和の文豪っぽい(病弱そうな?)鳳笑さん。年末のお忙しい時には体調が悪く、意識が遠のいて川の向こうでお父様が呼んでいる幻覚を見た、とのこと(お父様はご存命)。
あまりのスリムな身体に、コワイお兄さんから〇〇中毒者と間違われて「スピード」を買わないか?とアプローチされたそうです。でも、「こう見えても(?)、職質を受けたり税関で止められたりした事は無い!」とのこと。
一方、お父様はなかなかのチャレンジャーで、中国ではヌンチャクを、米国では模造銃をお土産として手荷物に入れて空港で二回捕まりそうになったそうです。「父の思い出話」という流れでしたが、お時間が来て終わり。
ワイルドな父子の話。この枕に続くのは「親子酒」かしらん?

台所おさん 「クックパッド」

  • 台所おさん師匠

    台所おさん師匠

おさん師匠の好きな曲は、円ひろしの「飛んで飛んで、回って回って(1978年のヒット曲「夢想花」)」。先日ラジオで聴いて懐かしかった、とのこと。
おさん師匠の好物はホットモットの唐揚げ弁当。お料理も大好きで、最近はクックパッドのレシピにハマって、豚コマで作ったミートスパゲティや牛すじカレーも大成功。3歳の娘さんも大満足だったそうです。
でも、金曜日にお金を下ろし忘れて今週末は大ピンチ。所持金120円で西荻のご自宅から渋谷まで歩いて来られたそうです。相変わらずのオトボケぶりですね。歩いている途中でメープル超合金のカズレーサーさんを見かけたそうです。
と、お金のお話になったところで、「江戸っ子は宵越しの金は持たねえ」と、羽織の紐を解いて脱いだところで、おしまい。さて、この先に続くのは「文七元結」でしょうか?

瀧川鯉斗「大須修行」

  • 瀧川鯉斗さん

    瀧川鯉斗さん

先ずは平昌オリンピックの話題で、宮原知子選手と瀧川鯉昇師匠が似ているという件(私も後で画像検索して、笑いました)。その鯉昇師匠に出会ったのは、当時勤務先だった料理屋さんでの落語会。師匠の落語に感動し入門、元暴走族総長というキャリアを経て、めでたく落語家の道を歩み出したのでした。
その後、小遊三師匠にも可愛がられて、入門半年後には地元名古屋の大須演芸場へ。その日、演芸場の前は、鯉斗さんの「トモダチ」のバイクで埋め尽くされ、会場はドス黒い声援で沸いた、という武勇伝。
来月はトリを取られるという鯉斗さん。来月のお噺は「紺屋高尾」に決まっているそうです。鯉斗さんの花魁が楽しみですね。

林家たこ平「大阪ラバーズ」

  • 林家たこ平さん

    林家たこ平さん

林家は高座名を出身地で決めるしきたりがあるそうで、たこ平さんは大阪出身(大阪=たこ焼きだから?)。東京に暮らして15年、大阪と比べて東京の人は静かでおとなしいそうです。
大阪・西成で落語会をすれば、客は演者より目立とうとするし、東京から来た芸人に意地悪をして高座の邪魔をしたり、とってもワイルド。一次は靴を片方盗まれて、その靴が駅前で売られていたのを発見したそうです(片方だけ売れるの?)。しかも、その靴屋の店名が「靴のシンデレラ」(片方だけ売ってるから!?)。大阪人の名付けセンスが光ります。
でも、その店名ホントかなー。話がウマすぎる!たこ平さんの創作では?ということで、Google Mapで「靴のシンデレラ」を探してみました。あった!ありました。東京にもある@荒川区東日暮里!

隅田川馬石「時そば」

  • 隅田川馬石師匠

    隅田川馬石師匠

いよいよトリの馬石師匠。どの枕を受けて、どんなお噺が出るでしょう?
今日は「立て板に水」のシャープな演者さん揃い、というよりは「のほほん系」。馬石師匠ご自身も同じ癒し系なので、皆さんの枕を聞いているうちに逆に闘争心がなくなってしまったそうです。

でも、一つ心に引っかかったことが。。
それは、円ひろし(そこ!?)。
夢想花の歌詞の「飛んで、飛んで」は9回。昔「9」は縁起の良い数で、時間の数え方も9が基本。明け六つ・暮れ六つがあって、その間を五つ、四つ、九つ、八つ、七つと数えるそうです。「回って、回って」は4回。昔のコインは四文銭、よって「お蕎麦一杯、十六文」など、物の値段は4の倍数が多かったそうです。

となると、お噺は「時そば」ですね!そう来たか~、賢~い。
支払いの途中で「今、何時でい?」と時間を聞いてお勘定を誤魔化す、お馴染みのお噺。誤魔化すのに成功する男の時間は「九つ」、失敗する男は「四つ」。馬石師匠の解説で気付きましたが、実は「九つ」と「四つ」は時間的に隣り合わせなんですね!勉強になります。
知識が増えると、次回お噺を聴くのも楽しくなります。雑談ではなく、これから話す演目を予想させる導入部であり、解説的要素もある「枕」。実はとっても大切なものなんですね。

フリージャズで5人暴れまわった後、馬石師匠が綺麗なスタンダードナンバーでまとめたような今宵。さらに、ためになる知識もあって初心者にピッタリな演目です。

次回の「まくら王」も楽しみですね!

【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」2/12 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
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