渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 3月9日(金)~13日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
ついに落語家からハーゲンダッツのキャンペーンに出る人が出た! テレビにナレーションに大活躍の残念イケメン、出てくる人物は全員狂人の昇々さん。
挙動不審にもほどがある、謎の多い生命体 台所おさん師匠。
木馬亭での独演会も人気で、浪曲というジャンルを着実に広げている太福さん。
最後は台風の中心いる春蝶師匠。話題がなければ作ればいい! ここからが、はじまりだ!
ひたすら上を見て登っていく人たちの姿を、観に来てください。
▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。フジテレビ「ポンキッキーズ」にレギュラー出演中。ハーゲンダッツ華もちシリーズ「栗あずき」味のキャンペーンに抜擢されている。
▽台所おさん だいどころおさん
31歳で入門、芸歴16年目、2016年3月真打ち昇進。最近まで、お財布とスイカをもっていなかった。小銭はポケットに押し込んでいたため、ポケットがパンパンに膨らんでいた。新幹線に乗った時に食べるアイスクリームが大好きで、冬でも食べて震える。
菓子パンが好き。
▽玉川太福 たまがわ だいふく
1979年8月2日、新潟県新潟市出身、2007年3月入門、2012年日本浪曲協会理事に就任。2017年文化庁芸術祭大衆芸能部門の新人賞を受賞。さっそく目にしみるという花粉症に悩まされている。ラグビー観戦をするとテンションがあがる。
▽桂春蝶 かつら しゅんちょう
19歳で入門、芸歴23年目、2009年8月、父の名「春蝶」を襲名する。積極的にツイートをしている。学生時代の吉岡里帆に落語を教えていた。バケットに、カルピスのバターをのっけて食べるのが好み。ルマンドアイスにはまりつつある。
レビュー
3月13日(火)20時-22時「渋谷らくご」
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)「看板のピン」
台所おさん(だいどころ おさん)「強飯の女郎買い」
玉川太福(たまがわ だいふく)・玉川みね子(たまがわ みねこ)「陸奥間違い」
桂春蝶(かつら しゅんちょう)「たちぎれ」
「相撲の縁、落語の縁」
早速ですが、一つ自慢話を。北勝海(現・八角親方)横綱昇進の記憶を持つ最年少記録かそれに近い記録を持っています。当時2歳9ヶ月。多分家族みんなが当時の九重部屋を熱烈に応援していたのでインパクトに残っていたんでしょう。そしてここ数年で興奮して何度も録画を見返す力士たちは八角部屋所属。なんか縁を感じます。縁を感じるのは落語にも。今回の春蝶師匠を初めて観たのが同じく渋谷らくごでの「たちぎれ」。いや、師匠の「たちぎれ」すごいじゃないですか。そんなインパクトある出会い方をしているので、また同じ会場で聴けるのって縁だなって思うんです。レビュー読み返してみたら、「すげぇ泣くから、しぶらくにハンケチ忘れたらだめだぞ!」と書いていました。でもまぁ忘れますよね。マクラで線香のくだりが出てきたときには時すでに遅し。その時点で涙がフライング。皆さん、本当にハンケチは忘れず持ち歩いてください。
昇々さん
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春風亭昇々さん
長身で引き締まった超ソップ型の朱雀さんの相撲はとにかく動きが速く、体幹が良すぎてあり得ない体勢からも勝ってしまう。一度観たら忘れられない相撲です。昇々さんの落語も朱雀さんの相撲同様ものすごいインパクト。立ち合いから猛スピードで相手を翻弄するが如く、ハイテンションな昇々さん。でもこの日はいつも以上に熱量がやばめでした。最初から目が血走っている。昇々さんの「看板のピン」を聴くのは初めてで、初老のかっこいいおじ様ってキャラはイメージにないのですが、ちゃんとかっこよくて一瞬びっくりしました。しばらく動揺がおさえられず…。後半ではいつものいい具合に変人なキャラが大活躍で安心。でも、長く見ていれば今後もこんな嬉しい動揺が味わえるのかなと思うと、やっぱり落語って幸せ。そして、朱雀さんも昇々さんも、自分の戦い方を知っている人はかっこいい。
台所おさん師匠
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台所おさん師匠
おさん師匠は、つかみどころがあるんだかないんだか分からない感じがじわじわきます。マクラでの師匠は失礼ながら怪しさの塊ですが、そんな中にも可愛さが見え隠れして余計怪しいのですが、噺の本題に入ると怪しさがパっと消える凄さ。じわじわくる感じはこのギャップの魅力なのかも。この「強飯の女郎買い」は初めて聴く噺で、子別れの前半がこんなドタバタした噺だとは知りませんでした。これまたギャップ。熊さんがダメ男すぎるんですが、おさん師匠の可愛らしさがチョコチョコ見え隠れするからあんまり憎めない。こんな短気な呑兵衛は絶対旦那にはしたくないですが、ギャップ萌えするから呑み仲間にはなりたい。番付をどんどん上げる北勝富士が見たいのと同じくらい、おさん師匠の子別れは全部通しで観たいです。
玉川太福さん
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玉川太福さん・玉川みね子師匠
観ていて気持ちがよくなるのは太福さんも同じ。唸りの表情と声の心地よさは、現実感がなくてちょっとした異次元トリップです。今回は久々の古典だそうで、落語の会でしか太福さんを聴いていないのもあり最後に古典を聴いたのがちょうど一年前のここ、しぶらくでした。太福さんのおかげで浪曲が身近な存在になりましたが、やっぱり古典というと一瞬は身構えます。浪曲の古典は迫力があって素晴らしいし、聴き始めたら120%楽しめるのはちゃんとわかっていますが、慣れの問題です。多分、落語聴いてみたいけど難しそうって思っている人と同じ感覚だと思います。太福さんはそんな身構えを自然とほぐしてくれ、フラットに聴かせてくれます。肩の力を抜いて笑える隙もある。でも、かっこよさにクラクラもする。隠岐の海の懐の広さのような感覚です。
ちなみに角界で一番イケメンだと思うのは隠岐の海ですが、演芸界では太福さんだと思っています。
桂春蝶師匠
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桂春蝶師匠
だから、この「たちぎれ」の小糸ちゃんの気持ちはよくわかる。怪我をした力士はみな蔵の中の若旦那なんです。例えば、先述の朱雀さん。取組中に膝に大怪我を負い休場したんですが、治してまた相撲を見せてくれると思っていたところに引退の知らせ。もちろん小糸ちゃんと違って、朱雀さんの相撲が観られなくても食欲は人並み以上だし元気に暮らしていますがね。でも、それは北勝富士や隠岐の海など他の力士が元気に土俵に上がっているから私も元気なのであって、各力士の抱えている怪我が一斉に悪化したらと思うと、非常に恐ろしいのです。
落語って、聴いた時の心境で感想が変わってきます。初めて春蝶師匠を聴いたときの「たちぎれ」はただただその綺麗さに感動して泣いていましたが、今回は自分の中の“蔵の中の若旦那”に気が付いたので、より一層の感情がこみ上げてきました。マクラで師匠がお客一人ひとりの家まで訪問してやりたいくらいと言っていましたが、至近距離で膝を突き合わせて語ってくれているようでした。師匠、人の心に入りこむのがうまいです…。話し方の品の良さや美声、迫真の演技はもちろん素晴らしいけど、師匠の魅力はそこだけじゃなく、お客さん一人ひとりへの語りかけがあるからなのかなと思いました。たぶん、これが東京ドーム3階席でも膝を突き合わせる感覚で聴いていたと思います。落語って不思議とその時自分に必要な噺がかかりますね。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」3/13 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
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