渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 5月11日(金)~15日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
自分の世界に引きずり込む落語。ほかの人ではできない「自分の世界」に引きずり込むのは、人間力、表現力、両方がないといけません。癒しや笑いや悲哀を、自分なりの方法で伝えてくれる、「おさん落語」「彦いち落語」「昇々落語」「小八落語」というそれぞれの唯一無二の落語をお楽しみください。
▽台所おさん だいどころおさん
31歳で入門、芸歴16年目、2016年3月真打ち昇進。最近まで、お財布とスイカをもっていなかった。小銭はポケットに押し込んでいたため、ポケットがパンパンに膨らんでいた。曜日感覚を日々失ってしまうようで、ツイッターでの告知がよく間違っている。
▽林家彦いち はやしや ひこいち
1969年7月3日、鹿児島県日置郡出身、1989年12月入門、2002年3月真打昇進。創作らくごの鬼。キャンプや登山・釣りを趣味とするアウトドア派な一面を持つ。いまはバイクに熱中している。「彦いち袖形かばん」をプロデュースした。
▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。ハーゲンダッツ「栗あずき」味のキャンペーンに抜擢されている。スマホアプリ「将棋ウォーズ」にハマっている。かいけつゾロリが好きとのこと。
▽柳家小八 やなぎや こはち
25歳で柳家喜多八に入門、芸歴15年目、2017年3月真打ち昇進。最近IQOSからプルームテックに変えた。ワイヤレスイヤホンでなにかを聴きながら、煙草をくゆらせている姿が楽屋で観察できる。高座前はモンスターを飲んで集中する。
レビュー
5月13日(日)14時-16時「渋谷らくご」
台所おさん(だいどころ おさん) 「抜け雀」
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう) 「不動坊」
林家彦いち(はやしや ひこいち) 「愛宕川」
柳家小八(やなぎや こはち) 「心眼」
五月雨が降る直前の泣き出しそうな空の昼下がり、移動性高気圧が雨と風を呼ぶ前に、ユーロスペースへ。14時の回は、台所おさん師匠、春風亭昇々さん、林家彦いち師匠、柳家小八師匠という優しい好青年でありながらも、天真爛漫に我が道を行く落語家さんたちが集合しました。
「天真爛漫にして我が道を行く」
台所おさん師匠「抜け雀」
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台所おさん師匠
それに加えて、今回は、チャレンジャーな面を見せてくださいました。
もちろん、富士急ハイランドの恐怖の乗り物へ乗るのもチャレンジャーですが、 開口一番に「抜け雀」をかけるのも、勇気がいることだと思うのです。
渋谷らくごでは「全員お1人30分の持ち時間」というのはチラシに明記してありお約束です。30分だから、いつも短い時間しか与えられていない方の別の顔が見られると期待していらっしゃるお客様にも、改めて「来て良かった」と感じさせてくださっているかも知れません。けれど、寄席のルールにこだわる方も同時にいらっしゃって、開口一番に何かにチャレンジする勇気を若手の演者さんはなかなか持てないのではないでしょうか。渋谷らくごではオッケイでも、競演している方がオッケイかは分からないですし、賛否両論の議論にまきこまれるかも知れません。
優しいだけではない勇気のある方なのだなと、なんだか嬉しくなって来ました。 そして、少しの勇気をもらいました。
若侍から老人役までこなしていらっしゃるわけですが、「抜け雀」での旅館の女将さん役が、洞察力がある上にがめついキャラで、笑いを誘います。
キレイでも可愛くもない、がめつい女将さんや、ある意味「見る目もある」旅館のご主人の夫婦が、おさん師匠がかけると、とても凸凹して良かったです。「すずめのお宿」に泊まってみたくなるような楽しい落語でした。
にぎやかで楽しいおさん師匠、是非また拝聴したいです。
春風亭昇々さん「不動坊」
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春風亭昇々さん
それでも飽きないのは、音楽のようなリズムや独特の昇々さん流の落語に作り替えられているせいでしょうか。青春や社会を背景にした新作落語や古典落語で女性ファンに大人気の昇々さんですが、最近はテレビ番組にもご出演です。まだ昇々さんと出会っていない方には是非、昇々さん落語を聴いてみてほしいです。
林家彦いち師匠「愛宕川」
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林家彦いち師匠
体育会系を思わせる着物の袖に付いている二本線にも遊び心を感じます。
仲良しの○太郎師匠の源氏パイ愛を肴にして話を盛り上げる技術はさすがです。人を傷つけることなく誰かを肴にする手加減が彦いち師匠は絶妙です。笑いがたくさん起こりました。
この回では、彦いち師匠の創られた「愛宕川」です。タイトルと「太鼓持ちのいっぱち」で名作「愛宕山」だと思ったのですが、新作とは!!内容は更に大自然を感じるスケールの大きさで国際的な落語でした。パフォーマンスもおもしろく、カラッとした師匠なので、(今日は笑いたい気分)という時に拝聴したいです。来月の「しゃべっちゃいなよ」の日は、前売り券を買っちゃいました。
柳家小八師匠「心眼」
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柳家小八師匠
自分が好きな演目は別モノにされたくない気持ちや、原作がゲシュタルト崩壊したときの悲しみを、人情噺には特に感じがちです。小八師匠はそのリスクが少ないのでスタンダードな高座が聴きたい日には安心できます。
今回の「心眼」も入れごとをされたくない演目の一つです。いつもながら、小八師匠の高座を拝聴している内に、噺の中へ引き込まれて行く心地良さを感じました。「景清」のパラレルワールドのような「心眼」は、人の心に魔が差す様子が秀逸でした。小八師匠の女性役がまた色っぽいので、魔が差すほどに、最後のセリフに恐怖を感じました。
小八師匠のかたくなまでの、きっちりした落語に気持ちの深いところをグッと押された感じを味わいながら、降り出した五月雨の中を帰りました。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」5/13 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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