渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 6月8日(金)~12日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
渋谷らくご完売公演記録更新中の神田松之丞さん。まもなく銀座博品館の7日間公演も近い大ブレイク中の講談師。
さて、そんな松之丞さんの登場を待ちながら、二つ目 緑太さん、真打 小助六師匠がしっかりと楽しませてくれることと思います。
漫才の風藤松原さんは、私が個人的に、もっとも寄席の世界にフィットする漫才だと思っている方々です。トリの前の緊張感のなか、自然に笑ってしまって疲れることのない最高の時間を提供してくれることと思います。要注目です!
▽柳家緑太 やなぎや ろくた
25歳で入門、芸歴9年目、2014年11月二つ目昇進。古典落語をラップにしている。Youtubeで公開されていて、おそるべき完成度。Adobe製品を使いこなせるので、先輩や後輩の落語会のチラシ作りからラップの映像編集まで難なくこなす。
▽雷門小助六 かみなりもん こすけろく
17歳で入門、芸歴18年目、2013年5月真打ち昇進。小学生から落語家になることを漠然と考えていた。愛猫家。インスタグラムには可愛い自慢の猫の写真をアップし続けている。リビングで横になると背中に猫が乗ってくる。
▽風藤松原 ふうとうまつばら
2004年太田プロからデビュー。風藤さんは家庭菜園をもちカイワレ大根と青しそを育てている。松原さんはインスタグラムに「僕が考えた超人」というイラストをアップし続けているが、その絵が独特なタッチなので心配されることがある。大阪出身のふたりだが、寄席の世界を壊さない、東京漫才の伝統ここにあり。最高級の色物です。THE MANZAI2013、決勝進出。
▽神田松之丞 かんだ まつのじょう
24歳で入門、芸歴11年目、2012年5月二つ目昇進。プロレス好き。新潮社から『絶滅危惧職、講談師を生きる』が発売。TBSラジオにて「神田松之丞問わず語りの松之丞」が日曜日23時から放送中。テレビアニメ「ひそねとまそたん」の声優でもある。
レビュー
6/11(月) 20:00-22:00「渋谷らくご」
柳家緑太(やなぎや ろくた) 「強情灸」
雷門小助六(かみなりもん こすけろく) 「擬宝珠」
風藤松原(ふうとうまつばら) 「漫才」
神田松之丞(かんだ まつのじょう) 「乳房榎」
「声、冴え渡る」
憂鬱な梅雨の、気が浮かない仕事始めの月曜日、何処よりも人が多い渋谷で観る、とっておきの芸。
柳家緑太-強情灸
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柳家緑太さん
一つ据えただけで、天井を突き破ってしまうくらい熱い。でも、てーへん効くと評判の灸の店に行ってきた一人の男。そしてその話を聞くもう一人の男。普通と違うことはただ一つ。二人が生粋の江戸っ子だということ。
ちょっと変わった店の者は、男に念を押して聞いてきた。「うちの灸はすごく熱いですけど本当に大丈夫ですか?」冗談抜かすなと服を脱ぎ捨て、36個もの灸を背中にいっぺんに据える。めちゃくちゃ熱いがここは我慢するしかない。江戸っ子の力の見せ所だ。他の客からは驚かれ、自分に順番を譲った婦人は、なんて勇ましいと潤んだ目でこちらを見ている、気がしないでも無い。
普通ならただの馬鹿男で済む話、しかし聞いてる相手も江戸っ子ときたもんだから、どうしようもない。「たかが灸くらいで惚気やがって」ほら始まった。
強がりで見栄っ張りで独りよがり、こう書くとロクな人間に感じられないが、緑太さんが所々に愛嬌を散りばめ、可笑しくてなぜだか憎めない江戸っ子に仕上げてくれた。
雷門小助六-擬宝珠
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雷門小助六師匠
これが36歳独身、母親と二人暮らしで酔うと猫と自分の写真をSNSに上げる小助六師匠の真の実力です。アッパレ。
新作じゃないかと疑ってしまう、シュールで笑える噺。人の趣味嗜好は傍から見ると時に奇妙で仕方ないこともある。人間のフェティシズムの奥は見えない位深い。
必ずカレーライスを頼むのは、カレーライスが好きだからではなく、スプーンを口に入れたかったから。若旦那が寝込んでいる理由は、浅草寺の五重塔の擬宝珠が舐めたくて舐めたくて仕方なかったから。そう打ち明けられた幼馴染は、一瞬驚くが大旦那と共にその願いを叶えてやる。噺のポイントとは少しズレるが、私は幼馴染が若旦那のフェチを否定したり拒絶しないところが気に入ってる。この落語が作られた明治の頃でも色んな人に様々な嗜好があり、それを受け入れる人がいるのが当たり前だったのかと思うと、少し暖かい気持ちになる。
風藤松原-漫才
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風藤松原さん
ゆるーい感じがなんともクセになる。二人とも一定のテンションでずっと面白いことばっか喋ってる。
長い尺の漫才、最初から最後まで安定して面白く、見てて全く疲れなかった。
神田松之丞-乳房榎
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神田松之丞さん
重くて濁った低い声が、心臓に直接響くよう。この声以外何も聞こえない。目と耳と会場全体の空気、全部が神田松之丞に集中して、自由に身動きも取れない。
怖がらせようとか、驚かせようとはしない。ただ一心不乱に演じているだけ、それがまた一番怖い。
やばい、この人にハマると危ないぞ。気をつけろ。
一瞬のようでもあったし、一時間二時間にも感じられる濃厚な時間だった。
感情が追いつかなくて、恥ずかしながら少し泣いた。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」6/11 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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