渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 8月10日(金)~14日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
昇々ウェーブ! ライブ感たっぷりの昇々落語は耳で聴かずに目で聴け! ストイックなまでに落語に向き合う昇々さんの現在地を確認せよ!
しかも、この回は、柳家わさびさん、春風亭百栄師匠、橘家圓太郎師匠という、毎月確実にお客さんを沸かせる面々が集結。
はじめてご覧になる方でも安心して楽しめる会となっておりますので、土日の過ごし方に迷っている方には最適です。
▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴15年目、2008年二つ目昇進。痩せ形で現在の体重は52kg。体重が軽いので、競技ボートのコーチに「向いている」と言われたらしい。歯を矯正している。
▽春風亭百栄 しゅんぷうてい ももえ
年を取らない妖精のような存在。静岡県静岡市出身、2008年9月真打ち昇進。
不思議な風貌で、危ないネタをかけつづている。落語協会の野球チームでは、名ピッチャーとして活躍する。
アメリカで寿司職人のバイトをしたことがある。猫が大変お好きという意外は日常生活の様子を見せない。
▽橘家圓太郎 たちばなや えんたろう
19歳で入門、芸歴37年目、1997年3月真打ち昇進。オヤジの小言マシーンぶりは渋谷らくごでも爆笑を生んでいる。将来PTAの会長になるのではないかと危惧している。食前と食後に身体に悪いと知りながら「源氏パイ」を食べてしまう。しかし最近は「源氏パイ」ではなく「きゅうり」を食べるようにしているらしい。
▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。願掛けの際の断ち物として「スマートフォン」を選んだためスマホを使わなくなり、空いた時間に本を読むようになった。楽屋で仲間を驚かせるためパンツ一枚になることがある。
レビュー
柳家わさび(やなぎや わさび) 「やかん」
春風亭百栄(しゅんぷうてい ももえ) 「尼寺の怪」
橘家圓太郎(たちばなや えんたろう) 「馬の田楽」
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう) 「天災」
「覇者は誰だ」
夏です。夏と言えば相撲では巡業や合宿。なかなかイベント続きの季節なので忙しくしている好角家も多いのではないでしょうか。長距離移動や待ち時間にぜひおすすめしたいのが落語です。
テレビやネットで観る方が多いかと思いますが、ラジオで「聴く」人も多いのが相撲。実況や解説でどんな取組か想像するのもラジオの楽しみだと思います。落語も想像しながら観るエンターテイメント。巡業のお供に落語を聴いてみてください。気に入ったら9月のしぶらくで落語デビューしてみませんか?
柳家わさびさん「やかん」
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柳家わさびさん
ギャップにやられるのは落語家さんも同じ。見た目がものすごーく弱々しいわさびさん。落語家というよりは明治時代の作家のような印象ですが、意外と力強さもあるんです。もちろん落語をやっているときはその身体からは想像できない力強さはあるんですが、貫禄だってしっかりある。「やかん」では知ったかぶりの隠居が出てきますが、わさびさんの隠居を観ていても、あんまりヒョロヒョロしさが無い。これ、目を閉じていたら分かるんですけど、わさびさんを凝視していても貫禄やべぇ!と感じます。松鳳山とは真逆のギャップですが、ドキっとする気持ちは同じ。松鳳山のギャップにやられている人は、一度わさびさんのギャップも楽しんでみてほしいです。
春風亭百栄師匠「尼寺の怪」
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春風亭百栄師匠
新作も古典もやる噺家さんの楽しみは、どっちをやるのかワクワクするところ。でも百栄師匠は新作でも古典でも、「百栄師匠の落語」という型の落語でキャラがブレない印象です。それはまるで遠藤の相撲のよう。たまに遠藤を観ていてこんな相撲も取るんだ~と思うこともありますが、それと同様の感覚で、けっこう途中怖い噺で本当にビビってたのですが百栄師匠こんなに怖がらせてくるんだ…と。でも、どんな内容であれその核には百栄師匠。ビビったってちゃんと楽しませてくれます。
ちなみに…。この噺の一番怖いところでスピーカーから謎のガサガサ音が…。まじで怖かった…。この日は円朝命日だそうで…そういうこと?お盆だし?でも、客席中でビビりまくっている空気を一瞬にして落語に引き戻して、百栄師匠凄いなぁと感じました。恐怖体験のあとにはお風呂入れなくなりがちですが、おかげさまで全然大丈夫でした。百栄師匠ありがとうございます。
橘家圓太郎師匠「馬の田楽」
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橘家圓太郎師匠
落語も、噺のあらすじって実はあんまり面白くないと思っています。一応あらすじ集を買って読んだことがありますが、そう面白いものではなく、落語家さんが面白くしているんです。この「馬の田楽」も、内容自体は面白くないと思うんです。何が面白いって、圓太郎師匠がやるから面白い。圓太郎師匠ってかっこいいんですよ。そんな圓太郎師匠の田舎者。たいして大きな出来事が起こらないストーリーなのに、かっこいい圓太郎師匠からのギャップ萌えや妙に違和感がなさすぎる違和感が噺に臨場感を与えるんです。それはまさに、言葉では伝わりにくい相撲の迫力を栃ノ心がたった数秒のパワフルな寄り切りで魅せる如し。
でも、馬に味噌つけて田楽にしたら絶対美味しそう。
春風亭昇々さん「天災」
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春風亭昇々さん
昇々さんを観るのが久しぶりだったのですが、やっぱりイケメンだなぁ…と。主人公の荒くれ者にはじまり、隠居や学者、おかみさんなど、「天災」は出てくるキャラのバリエーションが多いと思います。「イケメン落語家」も荒鷲のようなイケメン力士同様、全てが揃ってようやく言える称号ですが、これだけキャラのバリエーションを見せられたら、もうこりゃ完璧なイケメンですよ。しかも、どのキャラもあまり他の噺家さんの落語の世界にはいない、突き抜け感もあります。特に荒くれ者。実は小心者なのかな~とか、妙に生い立ちから性格、嗜好性までアレコレ想像できます。多分この噺で一番の変態は学者の奈丸先生。普通っぽい皮をかぶっている完璧な変態。多分想像力を持たなくても昇々さんの落語は楽しめますが、想像力を刺激してくる落語です。トキメキ心を刺激する荒鷲と、想像力を刺激する昇々さん。どちらもやばい。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」8/11 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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