渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 8月10日(金)~14日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
3ヶ月に一度、渋谷らくごに登場する古今亭菊之丞師匠。落語の入口にして、生涯追い続けるにふさわしい落語家さんです。というのも、落語そのものに表現されている空気感をまっすぐに体現している存在だからです。この夏はどんな演目をかけてくださるのでしょう。
今回は大ベテラン、柳家小里ん師匠を迎え、さらには若手の吉笑さんが一番手、そして大看板に挟まれた市童さんが堂々と高座を務めることができるか、注目するところの非常の多い回です。お楽しみに!
▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在入門8年目、2012年4月二つ目昇進。酒豪。オンラインサロン「立川吉笑GROUP」を立ち上げ、新しい活動を試みている。もともと酒豪であったが、禁酒をしているため炭酸水を飲んでいる。最近料理をはじめた。
▽柳家小里ん やなぎや こりん
21歳で入門、芸歴50年目、1983年9月真打ち昇進。大の映画好き。ユーロスペースにたびたび映画を観にくる。浅草のパチンコ屋に出没する。浅草演芸ホールに出演する落語家さんが突然来られなくなり興行が滞りそうな時は、前座さんはパチンコ屋に走り、小里ん師匠を探す。
▽柳亭市童 りゅうてい いちどう
18歳で入門、芸歴9年目、2015年5月二つ目昇進。近所にある絶妙においしくない定食屋さんに定期的に通っている。カラオケの3時間コースを利用して稽古をしているので、受付の店員さんに「3時間コースの人」と顔を覚えられてしまっている。
▽古今亭菊之丞 ここんてい きくのじょう
18歳で入門、芸歴28年目、2003年9月真打ち昇進。最近ツイッターをはじめた。今年の9月9日に湯島天神でおこなわれる落語協会ファンイベント「謝楽祭」の実行委員長。落語協会のイベントは、菊之丞師匠が浴衣姿で約3000個のたこ焼きを焼くことが恒例になっている。手が綺麗。
レビュー
8月11日(土)17時~20時 「渋谷らくご」
立川吉笑(たてかわ きっしょう) 「約百物語」
柳家小里ん(やなぎや こりん) 「夏泥」
柳亭市童(りゅうてい いちどう) 「たらちね」
古今亭菊之丞(ここんてい きくのじょう)「大山詣り」
「山の日」に登山のような至福!
今日は祝日。落語の前に上階ユーロスペースで、今話題の映画「カメラを止めるな!」を観てきました。インディーズのゾンビ映画?低予算ムービーなんて?と心配しましたが、面白い映画というのは結局、良い演技とストーリー(脚本)に尽きると思いました。
一方、低予算ムービーどころか、一人で演じ切る落語は、音楽もエフェクトもないのに、なんでこんなに面白いの?!これこそ素晴らしい演技と良いお噺の勝利でしょう。改めて、落語は凄い!
今日は若手実力派の吉笑さん&市童さん、大ベテランの小里ん師匠、3ヶ月に一度のお楽しみ・美しい菊之丞師匠と、演技派揃い。正に「登山」のような高揚感と至福を味わいました!
立川吉笑 (たてかわ きっしょう)「約百物語」
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立川吉笑さん
高校時代、球児でエース4番だったという吉笑さん。でも理系の進学校だったので、部活の実力はイマイチ。予選で負けた記憶がトラウマになって、今でも甲子園でボロ負けしているチームを見ると胸が痛むそうです。
大差で負けている時でも相手チームは全く手を抜かない一方、負けチームは「もう、とにかく早く試合が終わって欲しい!」とひたすら祈りたくなる心境だとか。。やはり強いチームには敵わない、強豪校は怖いですね。
怖い、といえば怪談。百物語とは、怪談一話する度に霊が集まり百話目には恐ろしい現象が起きるというもの。
仲間を裏切った男に罰を与えたいけど、直接手を下すのは気が引ける。そこで縛り付けた裏切り者の周りで皆で怪談をし、百話目に出てきた幽霊に呪い殺してもらおうという作戦に出ます。
でも皆が語る怪談、怖さのキモがズレていたり、怖くなくてノーカウントになったり、なかなか進まない。。百話に到達するのは、いつになるやら?とにかく早く終わって欲しいあまりに、カウント法を変えたり悪戦苦闘。疲れ果てて最後には何が目的だったかすっかり忘れてしまいます。百話終了でせっかく出てきた幽霊も唖然、ですよね。
何が怖いかは人それぞれ。百話に到るまで、各々が怖いと思うズレた怪談を次々に繰り出すところが凄く笑えるポイントでした! このお噺、もっと進化して色々なバージョンが出来そうです。
柳家小里ん (やなぎや こりん)「夏泥」
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柳家小里ん師匠
貧乏長屋に入った泥棒は「こういう汚い家が案外お金を溜め込んでいるのだろう」と、蚊燻しを焚きっ放しにしている家をターゲットに。その家の男は博打で一文なしになったところで、「強盗なら丁度良い、殺してくれ〜!」と大騒ぎ。
騒がれないように、とうとうお金を恵んでやる泥棒と、泥棒から巻き上げるしたたかな男。真夏の夜にヒソヒソと行われる泥棒VS男のバトルに、クスクス笑ってしまいます。
淡々と進んで行く場面の中に何とも言えない可笑しさがムズムズする、ベテラン師匠のたっぷり余裕の表現力に完全にやられました!
柳亭市童 (りゅうてい いちどう)「たらちね」
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柳亭市童さん
ん?でも結構すぎて、ちょっと怪しい。。
実はそのお嬢さん、父が漢学者であるせいか言葉が丁寧すぎてまるきりわからないという問題が!朝食の支度の時も、「あ〜らわが君、しらげのありかはいずこなりや(あなた、お米はどこですか)?」
ここまで来ると、まるで国際結婚?「ダーリンは外国人」もビックリの展開ですねえ。
交際ゼロ日でイキナリお嫁さんが来るだけでも可笑しいのに、嫁入りを待つ間の八っつぁんの妄想劇場とたまらないウキウキ感、打って変わってお嫁さんと過ごす時の困った感、市童さんの変わるクルクル表情が、オモシロ可愛くて最高でした!
古今亭菊之丞(ここんてい きくのじょう)「大山詣り」
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古今亭菊之丞師匠
今日は「山の日(やまのし、というのがキュート)」ということで、江戸時代の登山旅行に因んたお噺。
長屋の大山詣りで「ケンカしたら丸坊主」というペナルティが課せらたトラブルメーカーの熊さん。案の定、帰路で暴れて丸坊主にされてしまいます。自慢の髷がない、Oh my god!と怒った熊さんは駕籠を仕立て、長屋一行を追い抜いて江戸へ。
一足先に長屋に着くと、おかみさん達を集めて「ご亭主達は事故死して帰って来ないよ。その証拠にお弔いのため出家して丸坊主になったよ」と言います。ご亭主が恋しいので尼になって回向すると言い出したので、熊さんは、おかみさん達を皆丸坊主にしてしまうというリベンジに!
ご亭主達が帰って来ると、全員ツルツル頭で念仏を唱えているのでした!(このあたり、お盆にぴったり)。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで星を獲得している丹沢大山国定公園の「大山」★と「大山阿夫利神社からの眺望」★★。江戸時代から人気だったのですね。楽しい旅行中のドタバタ話。夏休み気分いっぱいで心が満たされました。新緑が目に浮かぶようです。
なお、8/11は圓朝忌(三遊亭圓朝師匠の命日)、谷中の全生庵では法事&奉納落語が行われます。これが落語協会イベント「謝楽祭」の起源だそうです。今年は9月9日に湯島天神で行われ、菊之丞師匠は実行委員長!プレビューによると、師匠自らが「浴衣姿で約3000個のたこ焼きを焼くことが恒例」とのこと。私も食べたーい!
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」8/11 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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