渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 8月10日(金)~14日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
隔月に開催されている創作らくごネタおろし会「しゃべっちゃいなよ」。
林家彦いち師匠からの挑戦状を受け取った男たちが、今月も四名出演します!
初出演の未知数の男 柳家花飛さん、シュールレアリスムな落語も繰り出す立川談志最後の弟子 談吉さん、真打からは昨年「桃のパフェ」で会場を爆笑の渦に巻き込んだ、次の元号の爆笑王 きく麿師匠。羽光さんは「ドキュメント落語」以来久しぶりの登場、トリの前で存在感を発揮します。
トリは毎回ネタおろししている林家彦いち師匠。漢たちの極限の緊張との闘い、やり切った達成感、お客さんとの一体感。
芝居や映画でも味わえない、観客と演者で一緒に作り上げる最高の劇場体験を、ぜひ。
▽柳家花飛 やなぎや かっとび
24歳で入門、芸歴9年目、2014年11月二つ目昇進。睡眠サイクルアプリとツイッターを同期していることから、寝付くまでの時間やレム睡眠の周期など花飛さんの睡眠状況がツイッターで確認することができる。寝付くまでの時間はおおよそ6分間。
▽立川談吉 たてかわ だんきち
26歳で入門、芸歴11年目、2011年6月二つ目昇進。事務作業で家から出られない日は、土井善晴さんのレシピをもとに豚の角煮をつくりテンションをあげる。最近、立川談志師匠のピンク色のスーツを着た。袖も丈もピッタリ同じサイズであった。
▽林家きく麿 はやしや きくまろ
24歳で入門、芸歴22年目。2010年9月真打ち昇進。観光地などにおいてある顔ハメ看板には、必ず顔を入れる。褒められたツイートを積極的にリツイートする。道ですれ違う人にあだ名をつけて遊んでいるらしい。マクドナルドなどで新作を考える。
▽笑福亭羽光 しょうふくてい うこう
34歳で入門、芸歴12年目。2011年5月二つ目昇進。眼鏡を何種類も持っている。最近はフチが白い眼鏡をかけている。猫を可愛がる。可愛い猫のツイートにいいね!しがち。
▽林家彦いち はやしや ひこいち
1969年7月3日、鹿児島県日置郡出身、1989年12月入門、2002年3月真打昇進。創作らくごの鬼。キャンプや登山・釣りを趣味とするアウトドア派な一面を持つ。公式サイトがリニューアルされ、入門されてからいままでの落語家の記憶を書き続けている。
レビュー
8月14日(火)20-22「しゃべっちゃいなよ」
柳家花飛(やなぎや かっとび) 「律義な男」
立川談吉(たてかわ だんきち) 「酒場放浪記」
林家きく麿(はやしや きくまろ) 「二つ上の先輩」
笑福亭羽光(しょうふくてい うこう) 「ペラペラ王国」
林家彦いち(はやしや ひこいち) 「チビ玉の遭遇」
暑くても、暑くなくても、頭の中がちょっとヘンになっている落語家さんたちが、独創性にあふれた創作落語を初披露する「しゃべっちゃいなよ」。初登場で実力の片鱗を見せた花飛さん、火事場のくそ力を発揮した談吉さん、久々登場でイメチェンを図った羽光さんの若手3人と、新爆笑王のきく麿師匠と、鬼軍曹の彦いち師匠。みなさん個性にあふれていて、楽しい会になりました。
柳家花飛-律義な男
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柳家花飛さん
初登場の今回は、慣用句の「足を向けて寝られない」から発想を飛ばして一席の落語に仕上げた意欲作を披露。お世話になる人が多くなるほどそういう状況に陥って、それをきちんと守るから「律儀な男」なんですね。1次元、2次元、3次元、4次元と「足を向けられない」次元が上がっていく構成が見事でした。シンプルでわかりやすく、本編6分の短さも落語向きです。
本編に入る前に話した自身の天然エピソードも面白く、クールな外見からは見えてこない、花飛さん本人のキャラクターにも興味が沸きました。
立川談吉-酒場放浪記
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立川談吉さん
「よし、パクるか!!」で開き直った今回は、パンが活躍する国民的マンガの主役の誕生シーンをオマージュした作品なんだとか。マンガのストーリーをよく知らないので、そのエピソードが有名なのか有名でないのかわからないのですが、「あるモノに大量の星が降り注いだら例のアレが誕生する」という設定以外はほぼパロディです。変に落語的な世界に寄るのではなく、新キャラの新しい物語を生み出すのが談吉さんのオリジナル。
お客が入らず、閉店間近の居酒屋を経営する「なめろうおじさん」。「煮込みから悪臭が消えますように」と祈ると、「筍掘り流星群」が発生して、煮込みの中に降り注ぐ。すると中から出てきたのが目はこんにゃく、鼻は人参、口はモツの「煮込み男」(笑)。ヒーローならそこで活躍するはずが、煮込み男は何もすることなく、「生んでくれてありがとう」の言葉を残してすぐに消えてしまうんです。
あっけに取られる展開が続くのですが、状況の変化を的確に表現しているので、頭の中にヘンテコな絵が浮かんできます。本編11分。ノンストップで駆け抜けていきました。煮込み男は、お腹が空いた時、こんにゃくを食べさせてくれるのでしょうか。敵が来たら煮込みパンチを見舞うのでしょうか。気になって仕方ありません。
林家きく麿-二つ上の先輩
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林家きく麿師匠
きく麿師匠のすごいのは会話のテンポでストーリーを運んでいくところです。短いセリフを重ねるので、頭に入ってきやすいんです。特に最近は、後半に爆笑ポイントを集中させていて、何だろうと思って聞いているうちに最後は笑いが止まらなくなります。
ネタは、たけしとあきらの同級生2人が、2個上の先輩・みつるさんから「納涼怪談大会」に呼び出され、「俺を震え上がらせるような話をしろ!」と命令される、ジャイアンのような話です。しかし、みつるさんは過度の怖がりで、高1の時の肝試しで冷凍したこんにゃくを背中に入れられて気絶した過去がある。面倒くさい2個上の先輩に対して、たけしとあきらが用意していった怪談とは……。
面白ポイントは最後にたたみかける「怪談」の内容にあるのですが、その怖くなさが絶妙で。2個上の先輩のうざキャラが浸透しているので、みつる先輩のツッコミが面白い。昨年のしゃべちゃいなよで見た「桃のパフェ」もそうですが、バカっぽい人たちの意味のない会話の応酬をやらせたら、きく麿師匠の右に出る人はいませんね。
笑福亭羽光-ペラペラ王国
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笑福亭羽光さん
「おばあさんとのなれそめを話してやる」というおじいさんに対して、聞き手の孫が「しっかりしたプロット」で「先の読めない展開」で「すやすや眠れる話」をして欲しいとリクエスト。そこでおじいさんは、若いころ登山で遭難しかけた時、同行した同僚に話したおばあさんとのデートの話を回想した話をする。さらにそのデートでおばあさんに話した大学時代の話を回想し、さらに回想を重ねていくというストーリー。「立川吉笑が作りそう」とギャグを入れているように、物語の構造を逆手に取った作品です。
「マトリョーシカ」と羽光さんが言っていましたが、おばあさんとのなれそめを話すはずが、いつのまにかヒマラヤのペラペラ王国のペラペラザウルスの話になっています。最初のおじいさんと孫の会話には、1段1段前に戻るしかない。構成が練られていて、稽古もしっかりしているので、パズルゲームで遊ぶような気分で聞くことができました。最後の最後もメタ構造にして吉笑風にオチを付ける。今日の中では、完成度が一番高かった作品でした。
林家彦いち-チビ玉の遭遇
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林家彦いち師匠
「なぜ今、チビ玉か?」という問いを自分に投げかけ、「気になったんだから仕方ない」といいながらネタにしていく彦いち師匠の好奇心とバイタリティ。話が多少わかりづらくなっても、前の4人のネタに出てきたフレーズや、高座上で思い付いたものも片っ端から入れ込んで反応を見る。荒唐無稽な落語に裏に、創作への向き合い方が見えた彦いち師匠ならではの一席でした。
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「渋谷らくご」8/14 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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