渋谷らくごプレビュー&レビュー
2019年 10月11日(金)~15日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
隔月開催の創作らくごネタおろし会「しゃべっちゃいなよ」。トリの彦いち師匠はこのほど落語家生活30周年を迎え、まだ創作を続ける、創作らくごの鬼軍曹!
今回、エントリーするのは、初登場の兼太郎さん、前回出演時は12月の大会にも出演したつる子さん、この会でだけネタおろしをするおさん師匠、そして毎年12月の大会に出演しつつも創作大賞を手にしていない鯉八さん。
それぞれ今年はどんな落語を聴かせてくれるのか! 期待に胸をふくらませてご来場くださいませ。
▽三遊亭兼太郎 さんゆうてい けんたろう
23歳で入門、芸歴7年目、2017年二ツ目昇進。丸メガネをかけている、寒くなるとセーターを着るタイプ。いま「カンジャンケジャン」が食べたい。
▽林家つる子
2010年9月に入門、2015年11月二つ目昇進。2016年にはミスiD2016の特別賞を受賞する。群馬地酒大使をつとめている。毎週月曜日ラジオ高崎でパーソナリティをつとめている。この夏はハワイで公演もした。
▽台所おさん だいどころ おさん
31歳で入門、芸歴18年目、2016年3月真打昇進。自分よりも年下の師匠に入門をする。落語家になる前に、東京から大阪まで歩いて旅したことがある。散歩の延長で富士登山をしようとして大人に止められたことがある。髪のお手入れはお風呂場でのバリカン。
▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
24歳で入門、芸歴13年目、2010年二つ目昇進。2020年5月に真打に昇進することが決定。寒くなってくるとモンベルのウィンドブレーカーを着る。指原莉乃さんが出演している「からだすこやか茶w」のCM、鯉八さんがナレーションをしている。
▽林家彦いち はやしや ひこいち
1969年7月3日、鹿児島県日置郡出身、1989年12月入門、2002年3月真打昇進。創作らくごの鬼。キャンプや登山・釣りを趣味とするアウトドア派な一面を持つ。ヒマラヤ山脈にて、高山病と戦いながら落語をやったこともある。
レビュー
10月15日 20:00~22:00
「しゃべっちゃいなよ」
三遊亭兼太郎(さんゆうてい けんたろう)-氷点下
林家つる子(はやしや つるこ)-JOMO
台所おさん(だいどころ おさん)-兄ぃと辰の珍騒動
瀧川鯉八(たきがわ こいはち)-四年目
林家彦いち(はやしや ひこいち)-長屋ばいぷれいやーず
シブラク初登場・創作初挑戦の兼太郎さんに、2度目のつる子さん、何となく気になるおさん師匠に、渋谷らくご大賞の鯉八さん。ユニークな組み合わせの「しゃべっちゃいなよ」でした。彦いち×タツオのオープニングトークでは、格闘技経験のある兼太郎さんの招集話。彦いち師匠は、1人で戦うスポーツを経験した人独特のオーラに可能性を見出したそうです。さらにおさん師匠が昨年10月、この会でネタおろしをした「プリン付き」を、寄席(鈴本演芸場)のトリで口演した話。鈴本に集まる保守本流のお客さんが、どんな反応をしたのか。とても気になりました。
三遊亭兼太郎-氷点下
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三遊亭兼太郎さん
営業部で常にだじゃれを言いまくっているスベリスギさん。後輩の田中クンとミホさんは迷惑気味。そんなスベリスギさんがある時、過去の職歴、入社のいきさつ、奧さんの病気のことなどを告白し出す。思わぬ展開にしんみりしていく田中クンとミホさんですが……。 寒いだじゃれを使って、オフィスにありそうな光景をコメディタッチで描く兼太郎さんの手腕はみごとでした。下手なだじゃれも数打ちゃ当たるの精神で、質より量で攻めてきます。スベリスギさんのキャラは、ダンディ坂野っぽくてちょっと憎めません。ストーリーもシンプルながら後半は意外性な展開もあり、最後まで楽しめました。「これは経費で落ちません!」の経理部員・森若さんならどう対処したのか。想像が膨らんできます。
林家つる子-JOMO
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林家つる子さん
東京から生まれ故郷の群馬に戻って上毛高校に入学したアサクラミナミは「ちはやふる」に憧れてカルタ部へ。想定外のカルタ部でしたがが、“林”つる子先輩と留学生のクリスと共に全国大会へ。決勝に進んだものの、つる子先輩が素振りのし過ぎでケガをして出られない。ピンチに駆け付けたのは、野球部で活躍する幼なじみで初恋の相手のウエスギタツヤくんだった…。というお話です。
学園ドラマの定番に、マンガやテレビドラマ、映画の要素を詰め込みながら、オリジナリティあふれる落語に仕立てたつる子さんの構成力は半端ないです。キーになるカルタの小道具、GReeeeNの音楽、突然始まるハカ(踊り)と、使えるものは何でも使う貪欲さとサービス精神。映画「ちはやふる」でも印象的だったカルタのスローモーションを応用したマイムは個人的にツボでした。
足し算、足し算で作った盛りだくさんの内容。徐々にお客さんを引きつけていく高座は、まるでつる子さんの独演会に来ているかのような一体感を客席にもたらしました。
台所おさん-兄ぃと辰の珍騒動
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台所おさん師匠
冒頭、兄ぃと辰の2人が駅員に追われている緊迫した場面から始まります。そこから話は一気に6時間前にさかのぼり、荻窪のベローチェで2人が良からぬ計画を企てる回想シーンへ。2人の犯行計画は、小田急線新宿駅のホームでいちゃつくカップルに対するささやかな嫌がらせ。おさん師匠にかかると、ヤクザのカチコミ事件か、世間に不満を持つアウトローのテロ事件のような危険な臭いを帯びてきます。 アメリカン・ニューシネマか60年代の東映ヤクザ映画か80年代のVシネマ。こうなったら行き着く先は破滅しかありません。逃亡する2人は新宿駅から代々木、原宿、表参道を抜けて渋谷のBunkamuraまで行き着いた。再び別のカップルに喧嘩を売って殴られる兄ぃ。息も絶え絶えの兄ぃと辰の運命は……。
ストーリーがどうこうより、高座のおさん師匠を見ているのが楽しくて、兄ぃと辰のぎこちないような会話の中に、素のおさん師匠が「ぴょこ」っと出てきたり、扇子でマルボロを吸ったり、越智隆雄という名の議員をひたすら妄想したり。何を考えているかわからない生き物を見ているようで本当に面白かったです。
瀧川鯉八-四年目
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瀧川鯉八さん
今回は男女の物語。テーマは永遠の愛です。美しいお姫様にプロポーズする男が列をなす中、「一目で惚れた」と言いながら「やっぱ止める」と言って帰ろうとした男。気になったお姫様が問いただすと「3年も一緒にいると飽きるから。それで相手を傷付けるのが嫌」という。それを聞いたお姫様の反応は……。
男女の話も多く作ってきた鯉八さん。今回はツンツン男と自信過剰なお姫様の議論を通して、愛とは結婚とは何なのかを考える機会を与えてくれます。お姫様から何を言われてもぶれない男の恋愛観。タイプこそ違いますが「まだ結婚できない男」の53歳独身の桑野信介(阿部寛)のシニカルな恋愛観・結婚観に似ています。お姫様とツンツン男。2人の未来が気になります。
林家彦いち-長屋ばいぷれいやーず
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林家彦いち師匠
主役の赤ずきんちゃんは、アシダマナちゃんですが、マナちゃんの存在感はありません。オオカミ役のハッつぁん、子オオカミ役の金坊、お婆さん役の喜瀬川花魁などが、助監督の制止も聞かずにやりたい放題。どんな映画に仕上がるのか。
古典落語のキャラを借りている分だけイメージはしやすいものの、キャラクターの行動原理は彦いち師匠ならでは。予想をはるかに上回る活躍が繰り広げられて、スカッとしました。猟師役の権助が、紙切りの要領でおばあさんの腹を切ってオオカミを救い出すシーンがシュールです。「長屋ばいぷれいやーず」のシーズン2は作られるのでしょうか。ワクワクしてきます。
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「渋谷らくご」10/15 公演 感想まとめ
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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