渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2020年 5月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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5月8日(金)20:00~22:00 三遊亭青森 古今亭駒治 立川談洲 春風亭一之輔

「渋谷らくご」一之輔シリーズ! こんな若手もいるんだぜシリーズ

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プレビュー

落語界にとどまらず、ファンを増やし続ける春風亭一之輔師匠。この若き看板に、若手が襲い掛かる!
創作、改作、解釈力。発想、工夫、表現力。さあ、一之輔をぶっつぶせ!
落語という芸能の懐の深さを知るにはまずこの公演から! 
お酒飲みながらでも聴けるという、めったにないチャンスです。一之輔師匠までにつぶれないように。

▽三遊亭青森 さんゆうてい あおもり
23歳で入門、現在入門6年目、2019年2月二つ目昇進。先日、古舘伊知郎のトーキングブルースのアーカイブを一日中みていた。いま「篆刻」に挑戦している、数本完成させた。家で2年ぶりにビールを飲んだ。

▽古今亭駒治 ここんてい こまじ
24歳で入門。芸歴17年目、東京都渋谷区出身。鉄道をこよなく愛し、鉄道に関するコラムを執筆するほど。先日の渋谷らくごの楽屋では、丸ノ内線について力説していた。2017年創作らくご「しゃべっちゃいなよ」で創作大賞を受賞。背の高さが目立つ。

▽立川談洲 たてかわ だんす
2017年1月入門、現在4年目、2019年12月二つ目昇進。ヒップホップ基本技能指導資格を取得している。最近は規則正しい生活を送っている。Youtubeにて、創作した落語や滅多にやる機会のない落語を配信している、絵が凝っている。

▽春風亭一之輔 しゅんぷうてい いちのすけ
23歳で入門、芸歴20年目、2012年3月真打ち昇進。三児のパパ。「植田まさしへの道」として4人のお弟子さんに対して、四コマ漫画を課している。先日Youtubeにて10日間連続落語生配信をした、アーカイブも残っているので今からでも追いかけられる。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (シンガポール育ち。落語、漫画、読書、映画が大好き。)
三遊亭青森 (さんゆうてい あおもり)「バスルーム心中/お祭り佐七」
古今亭駒治 (ここんてい こまじ)  「十時打ち」
立川談洲  (たてかわ だんす)   「締め込み」
春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)「子別れ」

今日のトリは超人気者・春風亭一之輔師匠。
配信寄席という新しい試みの初日ですが、一之輔師匠なら最初からグッと引き込まれること間違いなしです。
プレビューにもある通り、実力派若手演者さん達が「創作、改作、解釈力、発想、工夫、表現力」を駆使して戦わせるというから、もう期待しかありません!

三遊亭青森さん「バスルーム心中/お祭り佐七」

  • 三遊亭青森さん

青森出場の青森さん。今回は配信で、故郷の方々も青森さんの勇姿を観られるのでしようか?
青森さんといえば、新作落語の「天才回答少女愛ちゃん」。愛ちゃんポーズの強烈な印象が忘れられません。
今日のお話は、シャンプーとボディソープを擬人化した「バスルーム心中」、そして古典の「お祭り佐七」でした。三遊亭白鳥師匠のお弟子さんだけに、今後もオリジナリティ溢れる芸が期待されますね。

古今亭駒治師匠「十時打ち」

  • 古今亭駒治師匠

鉄道落語が楽しい駒治師匠。私も乗り鉄・撮り鉄が好きなので共感できます。桜の季節にはいすみ鉄道乗車など計画していたのに、今春は自粛で行かれなくて残念。ということで、乗り鉄気分だけでも味わいたい!
今日は、なんと2017年創作らくご「しゃべっちゃいなよ」創作大賞を受賞した作品・「十時打ち」。これは鉄道マニアの乗車券争奪戦を描いたドタバタ&サスペンス。
駒治師匠は、この「十時打ち」脚本の自宅練習用.pdfをHPに公開されてます。おうち時間に落語チャレンジしてみては?

立川談洲さん「締め込み」

  • 立川談洲さん

ヒップホップ基本技能指導資格を取得している踊れる落語家・談洲さん。Youtubeで落語配信もされています。先日は無観客配信でネタおろしという苦行に耐えたそう。新作で相手の反応が分からないのは不安ですよね(特にネタおろしでは)。
今日は、泥棒さんの前で夫婦が派手な喧嘩を繰り広げる「締め込み」。
従来と違うのは罵り合う夫婦のラブラブ度。「私の方が惚れてるわ」、「いや!オレの方がもっと惚れてる」、「は?私の方がもっともっと惚れてるもーん!」と繰り返されるのは、激しい喧嘩のようで実はお互いを誉め合う、正にバカップルの会話。泥棒さんも呆れ果ててしまいます。
コロナ自粛で、巷でも夫婦喧嘩が増加中。皆、この夫婦のように仲の良い喧嘩なら良いのですが!?

春風亭一之輔師匠「子別れ」

  • 春風亭一之輔師匠

YouTubeで10日間の落語配信を行った一之輔師匠。もちろん私も、一之輔チャンネルに登録しました!
久しぶりの渋らく出演という師匠は、渋谷では営業中の居酒屋やラブホテルに怒りを覚えたという、自称「自粛警察」(←多分、冗談)。人が減った飲食街に出没するネズミを見て、せめて少しでも楽しい「トムとジェリー」のことを考えながら今日は会場まで来た、とのこと。世の中、変わってしまいましたよね。
今日のお噺は、談洲さんに続きまたまた夫婦喧嘩がテーマの「子別れ」。でもこの夫婦は、可愛い息子の亀ちゃんに救われます。コロナ疲れに、癒される人情噺は沁みますね。一之輔師匠のちょっと生意気な子供の演技は絶妙、涙を堪えた膨れっ面が切なかったです。
終演後、誰もいない客席に深々とお辞儀をする一之輔師匠のスキンヘッドを見ていたら、何だかちょっと切ない気分になりました。いつかまた、生の舞台でお目にかかれる日を楽しみにしています!

写真:渋谷らくごフタッフ
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