渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2020年 5月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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5月12日(火)20:00~22:00 立川寸志 立川吉笑 春風亭百栄 古今亭菊之丞

「渋谷らくご」菊之丞シリーズ!2020年5月

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プレビュー

「渋谷らくご」、はじめての全高座生配信のトリをかざるのは、先日池袋演芸場から落語を配信した古今亭菊之丞師匠です。
3ヶ月に一度、シブラクに定点出演を続けてくださっている要の存在です。
そして、爆笑落語でおなじみの百栄師匠も出演してくださいます! 立川流の若手筆頭、吉笑さん寸志さんも揃い、舌先だけで観なさんを楽しませてくれます。
これが渋谷らくご、という公演になること間違いなし。他では見られないスリリングな高座の連続を、どうぞ。

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note:5月12日(火)20-22「渋谷らくご」


▽立川寸志 たてかわ すんし
44歳で入門、芸歴8年目、2015年二つ目昇進。編集マンをやめて、落語家になった。チラシの構成から、文章まで編集マンの能力を遺憾なく発揮する。鉄道が好き。先日思い切ってスキンヘッドにした。落語を収録するが納得するまでリテイクしているのでなかなか終わらない。

▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在芸歴9年目、2012年4月二つ目昇進。もともとは酒豪だったが、酒断ちをしていまは炭酸水で過ごす。「WEB空間でなく夢空間へ」や「立川吉笑の作業場の賃料を払える権利」といった企画を次々と発表している。

▽春風亭百栄 しゅんぷうてい ももえ
年を取らない妖精のような存在。さくらももことおなじ静岡県清水市(現・静岡市)出身、2008年9月真打ち昇進。
落語協会の野球チームでは、名ピッチャー。アメリカで寿司職人のバイトをしていた。日常生活の様子はわからないが、猫好き。

▽古今亭菊之丞 ここんてい きくのじょう
18歳で入門、芸歴28年目、2003年9月真打昇進。いま自宅でペパーミント・クレソン・ルッコラの栽培を始めた。最近は、たけのこ焼きやたけのこご飯、肉じゃがなどをつくっている。餃子も大量につくっている。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (シンガポール育ち。落語、漫画、読書、映画が大好き。)
立川寸志(たてかわ すんし)「おすわどん」
立川吉笑(たてかわ きっしょう)「明晰夢」
春風亭百栄(しゅんぷうてい ももえ)「天使と悪魔」
古今亭菊之丞(ここんてい きくのじょう)「幾代餅」

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
私は、自粛を機に観たかった長編映画や海外ドラマシリーズを攻略中。でも1ヶ月以上になると、だんだん飽きてきたなーと思ったところに、嬉しい渋谷らくご配信が!やはり演芸はライブで、新鮮な印象が良いですよね。
プレビューにもある通り、今月は「お酒飲みながらでも聴けるという、めったにないチャンス」。リビングでリラックスして聴ける「おうち寄席」もたまには良いし、配信なら東京都外の方々も視聴できるのも魅力的です。渋らくの楽しさが全国に広がると良いですね。
今日は不思議な落語の妖精・百栄師匠、立川流の若手・期待の吉笑さん&寸志さん。そして渋らく初の配信寄席トリは、3ヶ月に一度の待ってました、古今亭菊之丞師匠です!

立川寸志「おすわどん」

  • 立川寸志さん

コロナ禍の後の世界が心配だ、という寸志さん。未来の落語は配信が主流になるかも?というわけで、無観客・無反応に慣れてシレッと演じられる技を身に付けたい、とのこと。クールな寸志さんなら大丈夫そう!
今日のお噺はちょっと珍しい古典「おすわどん」。
旦那さんとお妾さんが、亡くなったおかみさんの声に悩まされます。いきなり怪談!?今日は暑かったので丁度良いかもしれません。が、まるでミステリー小説を読み進むようなテンポで辿り着く驚愕の結末は、怪談ではありませんでした!
さすが寸志さん、元編集マンの素晴らしいチョイス。ワクワクするようなストーリーが配信にピッタリで、センスの良さが抜群でした。

立川吉笑「明晰夢」

  • 立川吉笑さん

最近は、オンライン将棋対戦を楽しんでいる吉笑さん。でも相手の顔が見えない対局は、空気が読めなくて難しいそう(特に、気を使わなければいけない先輩との対局は)。
お噺は 休みの日に家でゴロゴロしていたら、おかみさんに追い出されてしまったトラさんと八つぁん。やることがないので一緒に寄席に向かいますが、落語の内容が自分の状況と似すぎて、なんか不思議?
話の中にまた話があり、合わせ鏡のように無限に続くループがシュール。荘子の(夢の中で蝶になり、自分が蝶か、蝶が自分か区別がつかなくなったという)「胡蝶の夢」みたいでした。劇場なら周りの大爆笑が聞こえてきそう。
お客さんの笑い声が喜びという、とても純粋な吉笑さん。またすぐに生の高座も観たいですね!

春風亭百栄「天使と悪魔」

  • 春風亭百栄師匠

オンライン寄席が初めてという百栄師匠、今日は様子をさぐりさぐりGo!精神不安定とのことですが、大丈夫でしょうか?
それにしても、師匠はすでに寄席が懐かしくてたまらない、とのこと。寄席の座布団、傘立て、下駄箱、カビくささやまでもが懐かしいそうです。寄席への愛が詰まった、まくらでした。
というわけで、今日は噺家が寄席で観客の反応を見てネタを決める瞬間がテーマ。古典にするか、それとも思い切って新作落語をかけるか?という主人公の葛藤が描かれています。
迷う心に天使(←古典)と悪魔(←新作)が出てきますが、百栄師匠の怪しいモノノケ演技が秀逸でした。さすが落語の妖精!
なお、このお噺に登場する人物、団体や場所は「架空」とのことですが、知ってる名前ばかりでした。。

古今亭菊之丞「幾代餅」

  • 古今亭菊之丞師匠

最近はいつも家に籠ってカイワレを育てているという師匠。この時期は、自宅で園芸やお料理に専念する人も多いようです。
今日は、正に天使の古典落語「幾代餅」。しがない奉公人が、美しい吉原の太夫をお嫁さんにもらうという夢物語。そもそもの出会い?が錦絵を見て恋患いという、今でいう二次元に恋するオタク男子に繋がるところがキモ。
結末は、誠実な男性が高嶺の花の美女と結ばれるという素敵なものです。「傾城に誠なしとは誰が言うた」、人が幸せになるストーリーは大好きです!
そして、菊之丞師匠の花魁は、仕草や目付きなど上品で色っぽくて最高。粋な吉原のお噺と師匠の雰囲気がピッタリでした。
それにしても、無観客でたった一人で演技を続ける噺家さんの表現力って本当に凄い、と思いました!

写真:渋谷らくごフタッフ
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