渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2020年 5月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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5月12日(火)18:00~19:00 雷門小助六 蜃気楼龍玉

「ふたりらくご」単館上映落語会 小助六×龍玉

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プレビュー


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映画の世界には、シネコンで上映されているものから単館上映のものまで、いろいろありますよね。渋谷らくごを開催しているユーロスペースも単館上映系のミニシアターです。ハリウッドの超大作ではなく、ヨーロッパやアジア諸国の映画だって見たいじゃないですよね。
落語の世界にもそういう「味」の演者さんがいます。もちろんハリウッドでも充分通用する、と私は勝手に思っている単館上映系の「名手」です。それが、小助六師匠と、龍玉師匠です。
落語は必ずしも笑いだけではない。喜怒哀楽以外にも、嫉妬や恨み、嬉しい涙や後悔、懺悔。人間の感情のすべてが詰まっているのが、落語です。そういった演目もお持ちのお二人です。


▽雷門小助六 かみなりもん こすけろく
17歳で入門、芸歴20年目、2013年5月真打ち昇進。インスタグラムをやっているが、ほとんどの写真が猫。先日ご自宅から落語を配信したが、落語中に猫が乱入して、とても可愛い映像が流れていた。

▽蜃気楼龍玉 しんきろう りゅうぎょく
24歳で入門、芸歴22年目、2010年9月真打ち昇進。身長が181cmと背が高い。ツイッターではプライベートの様子をツイートすることがなく、いまどのように過ごしているか知ることができない。

レビュー

雷門小助六(かみなりもん こすけろく)-抜け雀
蜃気楼龍玉(しんきろう りゅうぎょく)-大坂屋花島


雷門小助六師匠

  • 雷門小助六師匠

落語家の方もYoutubeなどで動画を配信されています
雷門小助六師匠もそのお一人
4月11日にはすでに動画をアップ、猫がちょこちょこ登場してキュートな動画です

お住いの松戸から会場の渋谷までの距離についての話から、旅の噺へ
江戸と現代の距離は変わらずとも、距離感が大きく変わってきていることを痛感します
江戸と小田原の距離感や旅人と宿屋の主人の距離感や親との距離感
現代では、珍しいものはツイッターで拡散されて誰でも見ることができるけれども、江戸時代は現地まで足を運ばなければ見られなかった 名物の価値がいまよりもずっと高かった時代、雀が抜け出る絵という想像力をかきたたせるには、小田原と江戸の距離感が必要だったのではなかったのかなどと考えました
小助六師匠が表現された墨で描かれた黒々とした止まり木や、墨の匂い
「絵描く人って自分で刷らないんですね」という宿屋の主人の可愛さ、画面越しでも伝わってきました
抜け雀を聴き終えると、ちょうど日が暮れて風が涼しくて気持ちが良かったです。

蜃気楼龍玉師匠

  • 蜃気楼龍玉師匠

このステイホーム期間中も、どのような日々を送っているかよくわからない龍玉師匠
早速に始まった「大坂屋花鳥」
このような落語を聴くときには、登場人物の名前からキャラクターを想像する楽しみがあります
「花鳥(かちょう)」、綺麗な人なんだろうなぁ
「手先の三蔵」、どんな手先なのか
「こうもりのちゅうぞう」、こうもりって絶対悪いだ!!みたいな
龍玉師匠は淡々と演じられます
淡々と演じられるからそこ、印象的なシーンが積み重なることで、壮大なドラマができあがってくる
「番町だ、すぐに知れる」の「番町だ」の後の目線や「暮れの風がぴゅー」の木枯らしの冷たさや 「卒爾ながら…」という声から感じる不穏さ
刀を振り下ろしたときの血の匂いや 花鳥が階段をあがるときの、階段の冷たさ
吉原から野うさぎのように駆け抜けていくときの外の暗さ それぞれのシーンが頭の中で浮かびました
大坂屋花鳥が終わったあとは、もう外も真っ暗は真っ暗で、少しぞっとしました


写真:渋谷らくごスタッフ
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