渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2020年 12月11日(金)~15日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

イラスト

12月14日(月)20:00~22:00 立川寸志 快楽亭ブラック 玉川太福* 古今亭文菊

「渋谷らくご」人間観察の名手たち

ツイート

今月の見どころを表示

プレビュー

 「人間」を観察したり、「人間」を描かせたらこの人たちの右にでる者はいないという四者。
 ふとした日常の気づきからまくらを組み立て、そのまま落語の世界に誘導する寸志さん。
 快楽亭ブラック師匠は人間の酸いも甘いも知り尽くした経験から(主に酸い)、業に落ちていく人を語ると天下一品です。
 日常のふとしたことをそのまま演目に昇華させてしまう浪曲 太福さん、トリは目の動き一つで「人間」を演じ分けてしまう文菊師匠。
 見どころの多い落語会です。ぜひぜひお都合つけてでもおいでください。

▽立川寸志 たてかわ すんし
44歳で入門、芸歴10年目、2015年二つ目昇進。編集マンをやめて、落語家になった。チラシの構成から、文章まで編集マンの能力を遺憾なく発揮する。スマホの画面を拭きがち。麦茶のペットボトルを持って楽屋入りしがち。

▽快楽亭ブラック かいらくてい ぶらっく
16歳で立川談志に入門、芸歴52年目。90年、国立演芸場花形演芸会金賞、2000年、「快楽亭ブラック毒演会」が文化庁の芸術祭賞優秀賞を受賞する。2005年、落語立川流を自主退会。歌舞伎から日本映画まで深い知識がある。

▽玉川太福 たまがわ だいふく
1979年8月2日、新潟県新潟市出身、2007年3月入門。JFN系列にて放送中の「ON THE PLANET」のパーソナリティとして、毎週火曜日25時から出演中。コンタクトレンズなのに、メガネをあげる仕草をしてしまう。

▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく
23歳で入門、芸歴19年目、2012年9月真打昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近ダイエットに挑戦中。大学では漕艇部に所属、熱中していた。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (シンガポール育ち。落語、漫画、読書、映画が大好き。)
立川寸志(たてかわ すんし)-王子の狐
快楽亭ブラック(かいらくてい ぶらっく)-四段目
玉川太福(たまがわ だいふく)/玉川みね子(たまがわ みねこ)-続・祐子のセーター
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)-幾代餅

今日は全員トリ!というレベル。
しかも、プレビューによると「人間観察の名手たち」の会。お噺の中で、どんな人間模様が繰り広げられるのでしょう?ワクワク。。
忘年会もクリスマスパーティーもない、自粛で寂しい今年の年末。落語で心熱くなる体験が出来るなんて、幸せです!

立川寸志さん「王子の狐」

  • 立川寸志さん

今日は狐のお噺、舞台は北区の王子。
寸志さんの優しげな雰囲気と、動物が出て来る「マンガ日本昔話」みたいなお噺がぴったりです。
ズルい人間の男の高いテンションと、おコンちゃん(狐が化けた女の子)のホワっとした天然ぶりが対照的で面白く、メリハリの効いた寸志さんの演技が際立ちます。最後には、人間に騙されるキツネ女子がとっても可哀想になってしまいました。。
狐といえば、「紋三郎稲荷」も「人間は騙すのが上手い」と狐の方が感心するブラックなオチ。本当に怖いのは、実は人間!?
ところで、王子は大晦日に行われる「狐の行列」というお祭が有名。狐のお面を着けて練り歩く奇祭を一度見てみたいと思っていましたが、残念ながら今年は中止のようです。早くお祭もイベントも普通にできるような日常が戻ると良いですよね。

快楽亭ブラック師匠「四段目」

  • 快楽亭ブラック師匠

星条旗の羽織がインパクト大なブラック師匠。まくらでは、いきなり穏やかでない話が!知り合いに訴えられて、明日から裁判というブラック師匠。日比谷公園からチンドン屋さんと練り歩いて、東京地裁の前で口上を述べる予定だそうです。傍聴したい!
さて、今日12/14は討ち入りの日。という訳で「仮手本忠臣蔵」が出てくるお噺「四段目」。
芝居好きな定吉は、お使いついでに道草を食って秘密のお芝居見物。帰りが遅くなったお仕置きに、蔵に閉じ込められてしまいます。空腹と寂しさをまぎらわす為、一人で忠臣蔵の「四段目」ごっこをする定吉。ですが、判官切腹の場では演技に熱が入り過ぎ、様子を見に来た女中さんに、定吉が蔵の中で切腹!!?と慌てられ大騒ぎになってしまいます。
嘘をつく時のズルい表情、蔵の中で心細さに錯乱する様子など、いわゆる「可愛い子供」の演技とは一味違ったブラック師匠の怪演が凄かったです。

玉川太福さん「続・祐子のセーター」

  • 玉川太福さん

昨日、浅草芸能大賞新人賞の授賞式に出席して来たばかり、という太福さん。他の受賞者は、爆笑問題、天海祐希さんと錚々たるメンバー!(ところで、天海祐希さんに気に入られたという太福さんのゾンビ浪曲、私も観たい!)
今日は、玉川祐子師匠98歳が編んだセーターのお噺。
「5歳の娘にプレゼントされたセーターのサイズが、合わなかった」という顛末を節に乗せて30分間語った太福さん、恐るべし。
「続・」ということはパート1があるのですよね。コンプリート版が聴きたいです。
たった10日間で2種類のセーターを編み上げるなんて凄い、祐子師匠。やっぱり元気で長生きな方はエネルギーの塊なんですね。この自粛の冬は編み物がブレイクしそうです。

古今亭文菊師匠「幾代餅」

  • 古今亭文菊師匠

太福さんと同じく、浅草芸能大賞新人賞を受賞されたことがある文菊師匠。ちなみに、師匠の前年の受賞者は芦田愛菜ちゃん。選考基準は良く分からないけれど、確かに才能豊かな方々ばかりです。
今日は、優雅な文菊師匠にぴったりな吉原のお噺。しがない奉公人が人気花魁をお嫁さんにもらうという、素敵な逆シンデレラストーリー。「傾城に誠なしとは誰が言うた」、人が幸せになるストーリーは大好きです!
文菊師匠演じる花魁の、仕草や目付きが上品で美しかったです。が、それ以上に、錦絵を見て恋患いするという二次元男子・清蔵さんのオドオドとしたオタクっぽさが良く出ていて、単に素敵なだけではない文菊師匠の表現力に驚き。文菊師匠の別の顔も、もっともっと見たくなる一席でした!(私は文菊師匠の「包丁」を観てみたい!是非、配信お願いしますー!)

【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」12/14 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ
写真の無断転載・無断利用を禁じます。