渋谷らくごプレビュー&レビュー
2021年 3月12日(金)~16日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
本公演は、初心者から通の方まで多くの方に観ていただきたい公演です。
軽さと緻密さの兼太郎さん、創作の天才 鯉八師匠、古典王道 小八師匠、若き老境 文菊師匠と、バラエティに富んだ出演陣です。それでいて、おそらく順番的には古典→創作→古典→古典という感じになりますが、どんな演目なのかはだれもわかりません。前の人の演目によってもその日演じる噺が変わるという、その「流れ」が楽しい会となります。
なかでも創作の鯉八さんの後、そしてトリの文菊師匠の前、小八師匠がどんな演目になるのか、注目です。
▽三遊亭兼太郎 さんゆうてい けんたろう
23歳で入門、芸歴7年目、2017年二ツ目昇進。先日の憧れの格闘家・清水清隆さんと会うことができた。4歳のときの遊戯会で「三匹の子豚」に出演中、泣き出してしまった。
▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
2006年24歳で瀧川鯉昇師匠に入門、2020年5月真打昇進。鯉八さんの似顔絵のLINEスタンプが発売中。NTTドコモの動画「ハートディスタンス」に管理人役で、ドラマ「夢みたいな恋したい女たち」では中華料理店の店主役、ドラマ「青きヴァンパイアの悩み」では、謎の男役で出演した。
▽柳家小八 やなぎや こはち
25歳で柳家喜多八に入門、芸歴18年目、2017年3月真打昇進。ツイッターをなかなか更新しない、おかみさんである三遊亭粋歌さんのツイートで小八師匠の様子を知ることができる。アイコスの充電をすぐに忘れる。楽屋入りするとすぐにモンスターを飲む。
▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく
23歳で入門、芸歴19年目、2012年9月真打昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近ダイエットに挑戦中。大学では漕艇部に所属、熱中していた。
レビュー
三遊亭兼太郎(さんゆうてい けんたろう)-五目講釈
瀧川鯉八(たきがわ こいはち)-また泣いた赤鬼/俺ほめ
柳家小八(やなぎや こはち)-花見の仇討
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)-鰍沢
先日上野に出かけた時、外に沢山の人が並んでいるので、何かと思って良く見たら寄席への入場待ち。「落語は不要不急ではない!」と感じました。
最近の自粛中には、(特に女性の)自殺が増えているとのこと。とても悲しいです。。落語を聴いて笑っていたら、死ななくてよかった人もいるのでは?と思ってしまいます。。
ちょっと落ち込みそうな緊急事態宣言延長下での週末、しかも凄い雨。。でも、私達には落語がある!
そして、明日はホワイトデー!ご自宅でオンライン視聴の方々は、美味しいお菓子でも食べながら沢山笑いましょうー。(糖分補給&笑いで、気分もUP⤴︎)
三遊亭兼太郎さん
さて、スマホもないのに一日中ダラダラしている人は昔もいたようです。今日のお噺は、「五目講釈」。道楽が過ぎたあげく勘当された若旦那は、ダラダラお気楽な居候。「どこかで働きなさい」と居候先の親方に窘められると、若旦那は講釈師になると言い出し、滅茶苦茶な講釈が炸裂することに。。
ちょっとイラッと来るけど憎めないノーテンキ若旦那が、愛嬌たっぷりでgood。軽い感じの講釈もラップみたい!
落語と講釈の違いについても説明があり、とっても親切な兼太郎さん。落語を初めて聴く人への配慮も見事でした。
瀧川鯉八師匠
まくらでは、最近お引越し検討のため参加してみたオンライン内見について。登場する物件紹介の女性がとても小柄で、わざと小柄な人を雇って部屋を広く見せようとしているのでは?という疑念が湧いたとか。。
さて、そんな疑念についてのお噺。昔話「泣いた赤鬼」の続編で、去った青鬼が赤鬼の元に戻って来てしまいます。涙の結末をむかえたのに、なんで戻って来たんだよー!?と抵抗しますが、また泣かされることに。。ちょっと皮肉なファンタジーでした。
そして、今日は二本立て。
最近六本木で「トランスレーションズ展」を見て来たという鯉八師匠。名前を色々な言語に訳してくれるAIに自分の名前を言ってみたら、AIが「鯉」を「恋」と認識して、LOVE HACHIになっちゃったとか。
というわけで二本めのお噺は「俺ほめ」。まーちゃんという男が「金平糖やるから、俺のこと褒めろ!」と要求して、仲間にちやほや褒められるお噺。ははは。
いつまでも、皆に愛される鯉八師匠でいて下さいね。
柳家小八師匠
さて、今日の舞台は、春爛漫の上野の山。ソメイヨシノはまだですが、梅や河津桜など早咲きの桜が見頃な今にピッタリのお噺。
長屋の四人組が花見の趣向に、花見客の前で派手な仇討ちを繰り広げるドッキリを仕掛けようとします。が、筋書き通りにはいかず、最後には本物の武士が助太刀に駆け付けるという怖い結果に!!
イベントにアクシデントがつきものなのは、今も昔も同じですよね。小八師匠が演じるとドタバタ的な可笑しさだけでなく、ハラハラドキドキの連続で緊張感があります。さて、私達の今年のお花見はどうなるのでしょうか。。
古今亭文菊師匠
身延山を参詣する旅人が雪道で迷い、やっと見つけた一軒家に泊まることに。これは元吉原遊女・おくまの家。旅人はおくまに毒入り玉子酒を呑まされ、最後は猟銃で追いかけ回されます。おー怖い。とんでもない悪女です。
でも、文菊師匠演じるおくまは実にミステリアス。心中の傷跡がある訳アリ美女のダークサイドに迫る演技です。また、師匠の表情や言葉から、雪道の寒さ、一転して人家の火の暖かさ、卵酒が喉を通過する時の熱まで感じてしまいました。聴いているだけで、本当に体温が上がったり下がったりしそう。お噺を通して温度まで感じてしまうなんて、初めての体験でした!
写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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