渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2022年 7月8日(金)~13日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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7月12日(火)19:00~21:00 三遊亭青森 三遊亭遊雀 立川談吉 弁財亭和泉

「渋谷らくご」創作の女王 和泉師匠を聴く会

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プレビュー

 爆笑落語会となる予定です。
 アジテーションする落語テロリスト青森さん、みなさんにもっともっと注目してほしい才能です。
 どんな位置でも、お客さんをリラックスさせてコロっと笑わせてくれる遊雀師匠、間合いだけで相手を倒してしまう合気道落語です。
 飄々とした語り口で、不気味でもありおかしくもある談吉さんのような存在は、落語の世界でも希少種。どうしてもこの人じゃないとダメだというファンが増殖中です。
 トリは創作の女王 和泉師匠! だれもが共感できる「あるある」ポイントを突きつつも、だれもが思いつかない物語展開で、常にその才能にビビらせてくれるイリュージョニストです。

▽三遊亭青森 さんゆうてい あおもり 落語協会
23歳で入門、現在入門8年目、2019年2月二つ目昇進。Youtubeやtwitch.tvでゲーム配信をしている。最近は「タルコフ」を配信している、朝早く起きても「タルコフ」をやりたい。「最強どん兵衛」の8分間がなかなか待てない。

▽三遊亭遊雀 さんゆうてい ゆうじゃく 落語芸術協会
23歳で入門、芸歴34年目、2001年9月真打昇進。酒豪。飛行機と鉄道が大好き。日差しが強い季節にはサングラスをかけて歩く。お肌の保湿を第一に考えキュレルを使用する。先日、氷川きよしさんの舞台をみて、パワフルさに感銘をうけた。

▽立川談吉 たてかわ だんきち 落語立川流
26歳で入門、芸歴14年目、2011年6月二つ目昇進。iPhoneの待受が「いくら」。ラーメンが大好きで、冒険するよりは行きつけのお店に行くタイプ。四年前のiPhoneを使っているので、バッテリーが熱くなる。ドラクエビルダーズをやろうとするとより熱くなる。

▽弁財亭和泉 べんざいてい いずみ 落語協会
2005年8月入門、現在17年目、2021年3月に真打昇進、三遊亭粋歌を改め「弁財亭和泉」となった。28歳で突如会社を辞めて落語家になった元OL。よくいくスーパーは、SEIYUやLIFE。人々の生活の些細な出来事をよく観察して自身の演目に反映している。ピンク色のマスクを選びち。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き!)

三遊亭青森(さんゆうてい あおもり)-マイファーストキッス
三遊亭遊雀(さんゆうてい ゆうじゃく)-初天神
立川談吉(たてかわ だんきち)-青菜
弁財亭和泉(べんざいてい いずみ)-座席なき闘い

先日、初めて神保町のらくごカフェに行きました。長蛇の列にビックリ!と思ったら、人気カレー屋さんが下階にありました(笑)。らくごカフェ内は落ち着いた雰囲気で、素敵な笑いに満ちた空間でしたよ。幸せ。。
渋谷らくごのトークショーで知り、その後コロナ禍になってしまいましたが、ずっと行ってみたかったので嬉しかったです。日常を取り戻すのは、良いことですよね!
さて本日は久しぶりに夜の回、創作系の方々が多い会。
「天才回答少女愛ちゃん」が印象的だった青森さん、2019年創作落語大賞受賞の談吉さん。そんな中で、ゆったり古典をきかせて下さる遊雀師匠。
そして、トリは我らが弁天様・和泉師匠。鋭い観察眼と会社員時代の経験を生かしたお噺に、(特に女性は)皆激しく共感してしまうでしょう。
雨の夏の夜に、ちょっと粋な時間を過ごせそう!

三遊亭青森さん「マイファーストキッス」

  • 三遊亭青森さん

金髪になってから初めて見た青森さん。冒頭から「泣きたいほど悲しい時は〜」と突然叫び、ご自身の学生時代の思い出(主に、カノジョとの苦い思い出)を語り出した青森さん。勢いがあります。
「こんな話ばっかりして、早く落語始めろって思ってるでしょ!このまま行きますよ!だって俺の人生が落語だから!」、「人生の様な落語か、落語の様な人生か!」など、支離滅裂にきこえて何気に名言が多い展開。。
「Punk is attitude, not style」(パンクは姿勢だ、スタイルじゃない)というジョー・ストラマーの名言をもじって、「落語 is attitude, not style!」ともシャウト!「その姿勢(態度や生き方)が大事であり、格好じゃないんだ」ということですね!
サゲは突然、「あとは遊雀師匠にきいて下さーい!」と叫んで去って行かれました。さすが創作テロリスト。。これは落語?でも、印象深さという点では大成功でしょう!

三遊亭遊雀師匠「初天神」

  • 三遊亭遊雀師匠

青森さんを受けて「やりにくいね〜」と苦笑いの遊雀師匠。先程のお噺を「男の妄想としては当たってる!中ニならねえ〜」などと茶化しながらも青森さんを褒める遊雀師匠。優しい。。
今日のお噺は、おなじみ「初天神」。遊雀師匠のやんちゃな子供の演技は大好きです。が、今日は子供らしく勢いのある金坊とはちょっと違う、大人を屈服させるしたたかで不気味な金坊。「今日は病み上がりで」とのことでしたが、その力の抜け方に逆に感動してしまいました。噺家さんは、ご自身の調子や会場の雰囲気で、こんなにも登場人物のキャラを変えて演じられるものなのか!そして、どのバージョンも面白い!
今日の遊雀師匠の一味違うお姿を見て、80〜90代の師匠方が現役で高座を務められるのか、分かる様な気がしました。落語はどの様な状態でも、一生をかけて演じることができる芸なのですね!

立川談吉さん「青菜」

  • 立川談吉さん

渋谷に来る前に池袋で落語会に出演して来た、という談吉さん。その「知る人ぞ知る」落語会に毎回来る3人の女性ファン(三姉妹らしい)や突然始まるジャンケン大会など、会にまつわる謎のエピソードがまくらで語られます(怖いもの見たさで、ちょっと行ってみたくなりました)。そして入った今日のお噺は、まさかの古典!夏によくかけられる「青菜」ですが、私は今年聴くのは初めてで清々しい気分になりました。
創作のイメージが強い談吉さんの古典、いーじゃないですかー。
優雅な人を真似して失敗してしまう男のマヌケ感とやんちゃ感が軽ーく漂うように出ていて、とても楽しかったです。冷たいお酒を呑む仕草、鯉の洗いを美味しそうに食べる仕草も素敵で、見ているだけで喉やお腹が鳴ります。途中、カピパラやシマウマも出現し、やっぱりフツーの古典ではない談吉さんテイストをプラス。
噺家さんって、色々な顔をお持ちなんですね。

弁財亭和泉師匠「座席なき戦い」

  • 弁財亭和泉師匠

今日は別の落語会からメトロで渋谷に来た、という和泉師匠。電車の中で油断して過ごす乗客(特に足元)を見るのが面白いそうですよ。さすがの観察眼。というわけで、今日は電車内が舞台のちょっと珍しい、三遊亭白鳥師匠が創ったお噺(青森さんの師匠ですね)。
山手線内にマグロの頭をかぶったOLが出現!でも、何でこんなことになってしまったの?その顛末が明かされます。驚きの展開はさすが白鳥作品。
奇想天外に見えて、車内で好き放題するオバサンの態度や席取りバトルなど「あるある」がいっぱい盛り込まれ、クスッとしてしまったり、思わず頷いてしまう場面も。。驚きと共感が同時に楽しめます。和泉師匠の堂々とした演技も、迫力満点!さすが創作の女王ですね。