渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2022年 8月12日(金)~17日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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8月14日(日)17:00~19:00 三遊亭青森 林家きく麿 立川吉笑 瀧川鯉八

「創作らくご」青森×きく麿×吉笑×鯉八

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プレビュー

 創作らくごと一口にいっても、演者の数だけアプローチは違います。ただ現代を舞台にする、というのが創作らくごではなく、現代的なテーマを選んだり、自分にしかできない語りを追求したり、お客さんを見たこともない世界に連れて行く落語を展開する人もいます。
 お笑いやコントの好きな方もぜひ観てもらいたい! 現時点で、他にかえのきかない演者による創作らくご、この機会に落語の現在地を見届けにきてください。

▽三遊亭青森 さんゆうてい あおもり 落語協会
23歳で入門、現在入門8年目、2019年2月二つ目昇進。Youtubeやtwitch.tvでゲーム配信をしている。最近はtwitchでゲームではなく「三題噺」の練習を配信している。先日2ヶ月ぶりにビールを飲んでみた。

▽林家きく麿 はやしや きくまろ 落語協会
24歳で入門、芸歴25年目。2010年9月真打昇進。観光地などにおいてある顔ハメ看板には、必ず顔を入れる。ぬか床を大事に育てている。血圧が170あったときは起きてすぐ行動することができたが、いま血圧が下がっているので朝なかなか活動できない。

▽立川吉笑 たてかわ きっしょう 落語立川流
26歳で入門、現在芸歴12年目、2012年4月二つ目昇進。「渋谷らくご大賞2021」&「創作大賞 2021」初のW受賞者。とにかく食べるのを我慢して痩せ始めているが、深夜に3ヶ月ぶりのUFOを食べたところ2kg体重が戻ってしまった。

▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち 落語芸術協会
2006年24歳で瀧川鯉昇師匠に入門、2020年5月真打昇進。令和3年度国立演芸場花形演芸大賞金賞受賞、2年連続の受賞となった。玉川太福さんと地方公演に行く際、お三味線を弾く玉川みね子師匠から、手作りおにぎりを2つもらう。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き!)

三遊亭青森(さんゆうてい あおもり)-ユージとトミ子は今夜も夢中
林家きく麿(はやしや きくまろ)-ブラジル産
立川吉笑(たてかわ きっしょう)-舌打たず
瀧川鯉八(たきがわ こいはち)-若草/最後の夏

今日は創作らくごの会!炸裂する個性に、もう期待しかありません。
ジョー・ストラマーの名言を盛り込んだパンクな作品を先月披露した青森さん、令和の爆笑王・きく麿師匠(スナックヒヤシンスが好きです)、三題噺もこなすチャレンジャーの吉笑さん、そしてアキ・カウリスマキ監督映画を観ているような世界観が素敵な鯉ハ師匠、と凄いメンバー。
新しい世界が見れそうです。。

三遊亭青森さん「ユージとトミ子は今夜も夢中」

  • 三遊亭青森さん

愛と平和!愛と平和!と叫ぶ、青森さん。落語とは何か?それは愛と平和!今日は欲望渦巻く渋谷に愛と平和を届けに来た!とのこと。8月は終戦記念日、良いことです。。
そして(なぜか)始まるユージとトミ子のラブストーリー。二人は熱く愛について語り合います(平和も)。なかなか噛み合わない男女の会話。彼の答えに満足出来ない彼女の姿は、黒川伊保子さん著「女の機嫌の直し方」のよう。男脳女脳の違いでしょうか?「私をどれぐらい愛してる?」「東京ドーム●個分ぐらい?」などの会話にクスッとしてしまいました。なぜ大きな物はいつも東京ドーム何個分に例えられるのでしょう。。?
そして、やがてこれは怪談だということに気付きます。さて、彼らの正体はいかに!
一席入魂という感じの熱い青森さん。真夏に鍋焼きうどんを食べてしまったような感覚でした。

林家きく麿師匠「ブラジル産」

  • 林家きく麿師匠

ラブ&ピース!と可愛いらしく登場のきく麿師匠。先程の青森さんを受けて、今日はカップルのお噺。
夏祭りに遊びに来たカップル。お祭りの屋台といえば、お好み焼き、焼きそば、りんご飴、etc。でも、ダイエット中の彼女は、どれも食べられなーい!そこで見つけたのが鳥のササミの屋台、高タンパク低脂肪でダイエットにピッタリ。焼きササミ、チョコササミ(チョコバナナのササミ版?!)、ササミのカキ氷(ポン酢がけ)と何でもあり!
鳥肉はブラジル産とのことで、ラテン系の店主はBrasil(ブルァズィール)と巻舌を連発!それが彼女に移ってしまい、もう巻舌が止まらない!脳内には、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「オー、ブラジール、ブラジレーロー」がループ。。
何だか良く分かりませんが、笑い過ぎて汗だくになってしまいました!ああ、鍋焼きうどんの後、デザートにアツアツのフェジョアーダを食べてしまった感じです。。

立川吉笑さん「舌打たず」

  • 立川吉笑さん

2ヶ月ぶりに見た吉笑さん。ダイエットの成果、やっぱり痩せたー!お顔も肩もほっそり。暑いのでスタミナには気をつけて下さいね。
さて、巻舌の後は舌打ち。
舌打ちが癖の主人公・八五郎は、イライラしてるのが分かりやすすぎー、と皆に笑われています。では、いっそ舌打ちだけで喜怒哀楽すべての感情表現してしまおう、と色々なバリエーションを考え出しますが。。
どんどん複雑化していく舌打ちテクニックには爆笑です!ついには舌打たず、目や口などの表現も加えられ変顔の連発!もうやめて〜、というぐらい可笑し過ぎました!
ネタおろしに向けて新作を考え中という吉笑さん。1日10回シャワーを浴びたり、マッサージに行ったり気分転換しながら創作するそうです。アリストテレスも散歩しながら考えたそうですよ!今度はどんなお噺ができるのでしょう。。吉笑さん、がんばれ〜!

瀧川鯉ハ師匠「若草/最後の夏」

  • 瀧川鯉ハ師匠

この夏、贅沢な金沢旅行をして来た、という鯉ハ師匠。どのような贅沢?それは北陸新幹線で金沢に行って、お寿司だけ食べて日帰りすること!観光など一切なしのツウな過ごし方。ただ、後にそのお寿司屋さんの東京支店を見つけて激怒したとか。。
ということで、今日は短編二本立て。
一本目は、私立鯉ハ女学院という(多分)お嬢様学校が舞台の、ゆる〜い女子高生の会話劇。ちょっと学校の怪談チックな部分もあり、ミステリアス。
二本目は高校野球が舞台。吉田くんの最後のエラーで甲子園出場を逃した野球部。ドンマイ〜と慰めながら、チクチクと吉田くんを暗に責めて追いつめるくだりがオモシロ怖かった〜。
他の演者さん達の熱さに対し、少しヒンヤリした夏を感じられる鯉ハ師匠の一席でした!