渋谷らくごプレビュー&レビュー
2015年 7月10日(金)~14日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
渋谷らくご伝説の夜として語り継がれている、5月11日。主任は松之丞さん。満員の会場が揺れに揺れて、大反響だったあの夜。
「ディストピアものの映画を見ているような一席でした」「世紀松之丞さんと同時代に生きていることに感謝!」とまで言わしめた松之丞さんの高座。 実はその松之丞さんに最高のアシストを出したひとりが文左衛門師匠でした。「独自の間、空気感に気付くと引き込まれていました」「静と動の使い分けが上手で気が付いたらどっぷりはまってました」という感想が寄せられたのは、あの満員の会場の空気をぎゅーっと惹き付けて、引き締めたなによりの証拠だと思います。
落語初心者の方に軽い説明を。この会を待っているシブラクファンが多い理由は、このお二方は所属している協会が違っていて、講談と落語という演じられる芸能が違っていること。なかなか競演なさっているイメージがないのはそういう理由からで、異例な印象を受けます。だから楽しみなんです!
お二方の激突で生まれる熱、直に味わってみて下さい!
週始めの月曜日の午後
松之丞さんの講談で、ビシッと喝を入れられてみてください。「今週も一生懸命頑張ってみるか!」と目が覚めるでしょう。
続いて登場する文左衛門師匠の落語を聞いてみてください。「あー、今週も頑張らなくていいんだなぁ」と思えるはずです!
レビュー
文:リリィ Twitter:@lilium_boy 22歳、男子大学生
【神田松之丞-真景累ヶ淵~宗悦殺し~】
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神田松之丞
二人きりの楽屋でやけに優しい文左衛門師匠が怖いというマクラから始まり、本編を終えて姿が見えなくなるまで、ずっと心を掴まれっぱなしでした。特に松之丞「宗悦」は、勝新「座頭市」かってくらいの迫力で、たった20分の間に、何度鳥肌がたったことか…!この噺、幽霊が出てくる怪談話なのに、幽霊が出てくる前からすでに怖いんです。生きている「宗悦」がすでに気味悪いほどに怖い。あんな人を殺しちゃったら、そりゃあ幻覚見るかもな、と思わせてくれるほど迫力のある名演です。まだ、演芸ファン歴半年ほどのニワカ者ですが、個人的には3月に観た談春「紺屋高尾」、6月に観た志の輔「抜け雀」に並ぶ圧倒的な体験でした。それにしても、32才にしてあの落ち着きようはなんなんでしょう。あの若さで六代目圓生師匠のように、一音一音ハッキリと発音し、じっくりとした淀みないテンポで聴かせるしゃべりは…21才で真景累ヶ淵を作った圓朝も凄いけど、松之丞さんだって、すでにとんでもない怪物です…!
【橘家文左衛門-文七元結】
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橘家文左衛門
いつになく穏やかな笑顔で高座に現れる文左衛門師匠、ホッとする、と同時に、怖いです確かに。「男の道楽といえば、飲む打つ買うなんて言いますが…」というマクラを聞きながら、「これってもしかして…いや、まさかなー」なんて思っていたら、そのまさかでした、同じく圓朝作の文七元結!これぞ江戸落語、これぞ人情噺と言われるような噺なので、これまでいろんな方の文七元結を聴いたことがありますが、文左衛門師匠ほど、常識的な登場人物と非常識な登場人物の両方が似合う落語家さんも珍しい。文左衛門師匠の文七元結を聴いて、この噺の肝はまさにそこなんじゃないかとすら思わせられました。
不真面目さゆえに家族を不幸にしてしまった「長兵衛」が、真面目さゆえに今まさに自殺しようとしている「文七」を救う。状況しだいでこうも極端に変わってしまう人間を自然に表現してしまう文左衛門師匠の存在感、すごいです。文左衛門師匠のらくだを、富久を、木乃伊取りを、大工調べを、いつか聴いてみたいなあ。
先月のPOISON GIRL BANDさん、百栄師匠のいい意味で緩~いふたりらくごから、今月は松之丞さん、文左衛門師匠のヒリヒリとしたふたりらくご。振れ幅、激しすぎます!先月に引き続き、至福の一時間でした。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」7/13 公演 感想まとめ