渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2016年 7月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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7月12日(火)18:00~19:00 隅田川馬石、入船亭扇辰

「ふたりらくご」純米大吟醸落語会

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プレビュー

渋谷らくごが始まってから、唯一メンバーと時間帯を固定させていただいているのが、馬石師匠と扇辰師匠のお二人です。このお二人のことを私は「純米大吟醸落語」と呼ばせていただいております。
そのわけは、純米大吟醸の日本酒は、雑味がないので、日本酒を飲んだ事がない方でもするっと飲めてしまうということから。雑味がなく極めて上質なおふたりの落語。このお二人は、落語が初めての方であっても、するっと味わう事ができるのです。もちろん純米大吟醸なので、飲めば飲むほどにその芳醇さも感じられてくるはずです。もし過去に落語を聴いて「イマイチだった…」というかたにも、このお二人を味わっていただければ、いままでの落語観がしっかりと更新されるはずです。もしいままで一度も落語を聴いたことがないかたでも、このお二方の上質な落語を聴いてほしい。私は何度も言わせていただいておりますが、落語を聴いた事がないという方がいなくなるまで、この純米大吟醸落語会を続けていきたいと覚悟を持っています。
ぜひ極上の落語に身を委ねる気持ちよさを味わってみてください。

▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴23年目、2007年3月真打昇進。趣味はマラソン。毎日5キロ走っている。昔、落語協会の野球チームのピッチャーをやっていた。

▽入船亭扇辰 いりふねてい せんたつ
25歳で入門、現在入門28年目、2002年3月真打昇進。橘家文左衛門師匠と、柳家小せん師匠で「3K辰文舎(さんけいしんぶしゃ)」というバンド活動をしている。俳句もよむ。読書家。

レビュー

文:本村槙一郎 Twitter:@kokakokakolakok 
役者 趣味:深夜ラジオ、ロックンロール

7月12日(火)18:00-19:00「ふたりらくご」

隅田川馬石(すみだがわ ばせき) 「野ざらし」
入船亭扇辰(いりふねてい せんたつ) 「一眼国」

リフジンを許さない

生きていれば世の中理不尽なことばかりです。
身に覚えのないことで怒られたりするとなんとも虚しくなります。

最近、おばあさんに席を譲ろうとしたところ「私が老人に見えるかい?」と少し怒ったように言ってきました。「はい、見えます」と言いたかったですがとっさに「い、いえ、、レディーファーストです」と返答しました。おばあさんはニヤリとした後、「次の駅で降りるからいい!」と言って気まずい数分間の後次の駅で降りていきました。

他にも、
スキンヘッドのヤンキーに目つきが悪いから殴っていいか?と言われたり(頭がまぶしかった)
バイト先の居酒屋でお客が来ないのを僕のせいにされたり(冗談だと思いますが)
イギリスのEU離脱による株価の暴落を僕のどんくささのせいにされたり(これに関しては一切関係ない)

一つ一つ挙げていくとキリがないです。皆さんもいろいろなリフジン(理不尽の権化)に出くわすと思います。
そんな時にお勧めしたいのが落語を聴くことです。特に寄席に出向くことです。
落語のはなしの中にはたくさんリフジンが出てきます。ついていけないくらいの理不尽です。
すぐに腹を立ててはいけません、はなしを聞くうちにだんだんと慣れてきます。面白いと思えてきます。
すると日常に起こる多くの理不尽なことに対しても、、、、オチついて対処できるというわけです。
整いました!ねずっちです(・ω<)☆
※読むのをやめないでください。つまらないのはねずっちのせいです。
嘘です。すみません。いやでも本当に落語にはそういう効果があると思います。
ということで、行ってまいりました。7月の渋谷らくご!


隅田川馬石師匠

さっそく馬石師匠のレビューをしたいところですが、
理不尽に飛ばしまして扇辰師匠のレビューをしたいと思います。

入船亭扇辰師匠

  • 入船亭扇辰師匠

    入船亭扇辰師匠

今日は、見世物小屋のお話。大げさに宣伝して実際はインチキってことが多い見世物小屋。
シャレのわかる江戸の人達は騙されても面白がって、あれは見たほうがいいとかえって広めて回っていたとか。しかしお金さえ取ればいいという考えだけでは商売も傾いてくる。
そんなインチキ商売人は目が一つの少女がいると聞きつけて探しに行き、結果痛い目にあうというような話しでした。
扇辰師匠のテンポのいい語り口調は聞き手に情景を想像させます。
たくさん出てくる登場人物(老若男女職業いろいろ)それぞれの仕草に声質の演じ分け、本当に一人でやっているのかと目を疑うほどでした。
前半の江戸の風景から一変して後半のシリアスな展開などの空気感は並の演者では難しいのではないかと感じました。
それだけ扇辰師匠の技術には目を見張るものがありました。
また、嘘をついたり理不尽な人は罰を受けるというありがちな教訓も物語の中だけでなく自分の身近に感じ最後オチでゾワゾワっと鳥肌が立ちました。
ここで思い出されるのが先ほど理不尽に飛ばした馬石師匠のレビュー、、、
はい、書きます
馬石師匠の落語は、野ざらし。本編に入る前にマクラを話していました。
浅草の人力車のおかしな話
某師匠が怖いという話し
噺家に街中で会う話   など
マクラは大抵本編に関わりあることを話すもんだと思ってましたが馬石師匠は違いました。

「本編には全く関係ないですからね」

今日は怒られる師匠がいないからいいんだと言っていてその適当さに大笑いしました。
そのあと出てきた扇辰師匠はけしからんと言っていましたけど特に気にする様子はありませんでした。
適当に見えて、しっかりと笑いをとるなんだかお茶目な馬石師匠。クラスに一人はいるお調子者でモテるタイプの男子の雰囲気がありました。スター性でしょうか?ずるいです。ずるいから飛ばしました。すみません。適当なようで計算された笑いに満足の30分でした。

  • 隅田川馬石師匠

    隅田川馬石師匠

息苦しい世の中で辛いことがありますが落語に触れることで知識も増えますし心に余裕ができると思います。そして日々リフジンにもうまく対応していくのです。なんか胡散臭いですね。意識高い系みたいです。でも気になった方は意識高い落語ライフ試してみてください。

【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」7/12 公演 感想まとめ

写真:山下ヒデヨ Twitter:@komikifoto