渋谷らくごプレビュー&レビュー
2016年 10月14日(金)~18日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
極上のエンターテイメントを見た後、「あっ、もう一度見たい!」と思う、もっともっと深く知りたいと思ってしまう。
そんな経験をしたことはあるでしょうか?
もう一度見たい、は、中毒症状のひとつです。そしてその中毒の原因となるのは、面白いとか美しいとかではなく、狂気です。
この回の四人から漂う狂気は、それぞれまったく別ですが、「あれは…なんだったんだろう」ともう一度確認したくなるほどのインパクトです。
トリは渋谷らくごでも、たくさんの爆笑とたくさんの涙を生み出してくださっている春蝶師匠。平成の世に生きる芸人そのもののおさん師匠、天然と計算の可愛さをもっているわさびさん、そして狂人エンターテイナーの昇々さんのバトンがつながり春蝶師匠へ。
落語の印象が悪い方こそ見ていただきたい公演です。
▽台所おさん だいどころおさん
31歳で入門、芸歴15年目、2016年3月真打ち昇進。ギャンブルに凝りすぎて手元にお金が無くなり、最後の10円で買ったうまい棒を食べるといった経験を持つTHE芸人のような生き方をしている。古今亭志ん生師匠のお墓の前で志ん生と話す。
▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴13年目、2008年二つ目昇進。古典落語だけでなく、創作落語という隠し刀をもつ実力派。イラストが可愛い。
WOWOWをはじめとしてたくさんのテレビの密着取材をうけている。見た目の印象よりも、背が高い。
「月刊少年 ワサビ」という毎月の独演会シリーズで力を磨いている。
▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。
Youtubeでアバンギャルド昇々として動画を配信中。オリジナル楽曲を歌ったり、「落語マン」というキャラクターを追ったドキュメント風の動画など、公開中。アバンギャルド昇々第二弾「そばロック」が発表された。朗読劇にチャレンジしたり、音声ガイドをしたりと、いろいろな仕事に対応できるスーパーマン。否、スーパー落語マン。
▽桂春蝶 かつら しゅんちょう
19歳で入門、芸歴23年目、2009年8月「春蝶」を襲名する。
パン屋さんを見つけたら、必ずパンを買うそうで、パン屋さんでパンを見たり選んだりするときがホッとするとのこと。創作も手掛けるマルチプレイヤー。Twitterのつぶやきがめちゃくちゃ面白い。先月の渋谷らくごは、スターウォーズのTシャツを着ていた。
レビュー
10月15日(土)17時~19時「渋谷らくご」
台所おさん(だいどころ おさん)「狸の鯉」
柳家わさび(やなぎや わさび)「だくだく」
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)「つぼ算」
桂春蝶(かつら しゅんちょう)「たちきり」
「座布団の上で、ステップ・スピン・ジャンプ」
これから始まるフィギュアスケートの季節。落語とフィギュアって、見方がけっこう似ている部分があると思うんです。フィギュアって短い時間の踊りの中にストーリー性があり、観ながら想像でそのストーリーを補完してるかと思いますが、落語も同じです。1人で何役もやり、小道具は扇子と手拭いだけ。情景は観ながら想像します。また、スケーター同様噺家さんはみなさん独自の世界観を持っています。オーソドックスな芸だとしても平凡とは全く意味が違ったり、個性的と言ってもただ奇抜なだけではない。この回はまさに、世界選手権上位の最終グループ。違った個性ががっつりぶつかった回でした。
「狸の鯉」台所おさん師匠
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台所おさん師匠
デニス・テンのように気になる存在だった噺家さんが、台所おさん師匠。勝手なイメージだと、異端寄りの噺家さんなのかと思ってました。だって、亭号が…ね。師匠ご自身もそれをわかっており、名前の説明からマクラがスタート。実は素敵な名前の由来を聞いてもなお異端のイメージが拭えないまま本編に突入しました。助けた狸が恩返しをしにやってくる「狸の鯉」。異端じゃないどころか、情景が浮かびまくる、こうゆう落語を待ってたんだと叫びたくなる落語。情景浮かびまくった結果、狸に萌えます。かわいい。帰り道、罠にかかった狸はいないか探しながら帰ってしまいました。
デニス・テンは演技に異端さや物珍しさは無いのですが、それでも魅入ってしまうのは素晴らしいプログラムとそれを滑りこなす技術力です。おさん師匠もそんなデニス・テンのような惹きつける落語でした。
「だくだく」柳家わさびさん
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柳家わさびさん
「だくだく」は町人と泥棒がやりあう噺。二人とも威勢が良いだけが取り柄のような、馬鹿っぽさが滲み出ているキャラクター。落語に出てくる泥棒は、ちゃんと食っていけてるのか心配になるくらいマヌケな輩がおおいのですが、この泥棒も例に漏れず。そんな噺をやるわさびさん、外見や笑点若手大喜利を見てのイメージだと頭の切れる病弱青年なのですが、落語では馬鹿丸出しのチャキチャキ感全開のキャラに豹変するのがたまらないんです。
演技がスッと入ってくるには、滑らかでスピーディーなスケーティングが大切だったりします。わさびさんも滑らかなスケーティングの如し疾走感で、「壁に描かれた家財道具の絵を盗もうとする」という冷静に考えたら作者の首を絞めたくなるくらいなんじゃこりゃな噺なのに、聴き手に疑問を持つ暇を与えません。
「壺算」春風亭昇々さん
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春風亭昇々さん
「たちきり」桂春蝶師匠
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桂春蝶師匠
ピタッとはまる役ってのがあって、高橋大輔で言うと物悲しい大道芸人。五輪でメダルを獲得したFPの「道」の演技は、原作映画の世界観が表れていました。春蝶師匠は穏やかな品の良い語り口がまさに若旦那。演じているものを見ている感覚が無いくらいに違和感が無いんです。「たちきり」のストーリーはドラマチックすぎるくらいドラマチックで、現実味がないのですが、この違和感の無さからか、妙にリアルでした。
私を含めかなりのお客さんが泣いていたようで、毎月シブラクに来てますがこんなに終演後が静かなのは初めてでした。余韻が長く残っているようでした。 意外とシブラクは人情噺たくさん聴けるので、ハンケチは必需品です。この日はうっかり忘れたので、服の袖が大変なことになりました。涙が出るくらいに笑うことだってあるので、まじで必要です。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」10/15 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ