渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2016年 10月14日(金)~18日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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10月17日(月)20:00~22:00 桂三木男 玉川奈々福* 春風亭柳朝 春風亭一之輔

「渋谷らくご」一之輔シリーズ!meets 兄弟子・柳朝

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プレビュー

会場を後にする時には、必ずご満足いただけている保証ができます。ですが、どのような気持ちで満足できるか、この時点でわかりません。
月曜日の夜、落語と浪曲で思いっきりテンションを上げて1週間を乗り切る身体づくりをしてみてはいかがでしょうか。
おなじ師匠から、柳朝師匠と一之輔師匠が生まれました。なんでだよと思うことは間違いないです。最高の兄弟弟子です。

▽桂三木男 かつら みきお
19歳で入門、芸歴14年目、2006年11月二つ目昇進。来年秋真打ち昇進決定!
最近、アップルパイづくりに熱心。サバイバルゲームに熱中。「昭和元禄落語心中」をよく読んでいる。

▽玉川奈々福 たまがわ ななふく
1995年曲師(三味線)として入門、芸歴22年目。浪曲師としては2001年より活動。2012年日本浪曲協会理事に就任。
「シブラクの唸るおねえさん」。高田文夫先生の雑誌記事に大きく奈々福さんが取り上げられている。MTK(もっと玉川奈々福を関西に呼ぶ会)という組織が結成されるほど熱烈なファンも多く、浪曲の裾野拡大に大いなる野心を注ぐ。

▽春風亭柳朝 しゅんぷうてい りゅうちょう
23歳で入門、芸歴23年目、2007年真打ち昇進。先月落語家になってから数度目のお引っ越しをされる。毎朝、豆から挽いてホットコーヒーを入れている。銭湯巡りが趣味。最近冷蔵庫を買い替える。私生活が謎のヴェールに包まれる貴重な存在。

▽春風亭一之輔 しゅんぷうてい いちのすけ
23歳で入門、芸歴16年目、2012年3月真打ち昇進。先日映画「君の名は。」を鑑賞される。感想は「俺が女の身体になってたら
あんなもんじゃすまない!!」とのこと。神様もきっと人を選んでるんだと思います。「落語7DAYS」のサイトでタツオと対談。おもしろいよ!

レビュー

文:しのぶ (Twitter:@sakusaku_shio フィギュアスケートにハマるかもしれない20代)

10月17日(月)20時~22時「渋谷らくご」
 桂三木男(かつら みきお)-三方一両損  玉川奈々福(たまがわ ななふく)/沢村美舟(さわむら みふね)-慶安太平記 善達三島宿  春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう)-蛙茶番  春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)-鼠穴

この回のシブラクは個人的に今までみた中でベストな回でした!改めて浪曲はミュージカルみたいだなあと思ったので、ミュージカルの曲に例えていこうと思います。

「(Not) Getting Married Today」


  • 桂三木男さん

    桂三木男さん

三木男さんは、富士急のドドンパか?ってくらいまくらからトップスピード。まくし立てるような口調が気持ちいいです。
三方一両損は一度は聞いてみたかった噺で、江戸っ子の天邪鬼というかツンデレというかちょっとめんどくさい感じがたまらない(笑)三木男さんの髪型も相まってHiGH&LOW見てるような気持ちになりました。
さて、ミュージカルのナンバーでいうと「glee」の「(Not) Getting Married Today」です。要は結婚したくない!というマリッジブルーになった先生の曲ですが、途中めちゃめちゃ早口になるんです。英語が分からなくても憂鬱そうなのが伝わってきます。
落語を聴いてると、わからない言葉があっても前後の流れやなんとなくのニュアンスで分かった気分になります。人間の脳内補完て面白いですね。


「A Little Priest」


  • 玉川奈々福さん・沢村美舟さん

    玉川奈々福さん・沢村美舟さん

シブラクの唸るおねえさんの奈々福さん!浪曲師の方は声量が凄いですね。浪曲が始まるといつも感動します。
落語では少ない旅のお話。巨漢の坊主が大活躍(?)するんですが、酒は飲むし人は殺しちゃうし結構ブラック…ですが痛快!まさに「スウィーニー・トッド」の「A Little Priest」殺した人の処理に困った床屋が、パイ屋の女将と共謀してなんとその肉をパイに入れてしまおうというトンデモなナンバーですが、陽気なメロディといちいち中身で大喜利していく流れが面白いです。「小説家の肉は?」「筋が多い」「消防士は?」「消化に悪い」となかなか上手いこと言います(笑)
話に出てきた坊さんもハチャメチャやってますが、憎めないキャラだったなあ。続きが気になる!


「強いぞガストン」


  • 春風亭柳朝師匠

    春風亭柳朝師匠

名前で勝手におじいちゃんを想像していました、柳朝さん。「落語はVR」という名言が胸に刻まれました。
蛙茶番、落語の下ネタって素直に受け入れられるんですよね。えぐいネタも色んな人に聴きやすいように変化していったのでしょうか。好きな噺の一つです。特に半ちゃんの盲目具合がツボで、みーちゃんが関わる途端に壊れていく様子がたまんないです。
恋は盲目繋がりで、世界的に有名なところがアニメを作ってたりミュージカルになってたり、最近実写が決まった「美女と野獣」から「強いぞガストン」 ガストンは露骨に嫌がられてるのにめげない。少しくらい落ち込んでも乗せられればすぐに調子を取り戻す様子が半ちゃんみたい。現状厳しいと思うけど、恋が実るように頑張れ半ちゃん!


「On My Own」


  • 春風亭一之輔師匠

    春風亭一之輔師匠

楽に生きていきたいと言いつつ、その通りゆるふわな雰囲気醸し出していながらも芯が通ってる一之輔師匠。演目が「鼠穴」で、ワタクシ大歓喜でした。一之輔師匠の田舎者大好きなんです。
ちょくちょく笑いどころがあるのですが、鼠穴は兄と再開してからの流れが辛くてしんどいです。夢に出てきた兄上が酷すぎるので、竹さんはまだ根に持ってると思います(笑)
「On My Own」は「レ・ミゼラブル」のナンバーです。片想いの女の子が歌う歌なのですが、めちゃくちゃ切ないです。周りに話せる人もいなくて、特に「幸せの世界に縁などない」という歌詞が、娘を売ってひとり帰路につく竹さんと重なりました。
よく「夢オチってサイテー!」とか言われますが、鼠穴はほんとに夢オチで良かった!と心から言える噺だと思います。


【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」10/17 公演 感想まとめ

写真:山下ヒデヨ Twitter:@komikifoto