渋谷らくごプレビュー&レビュー
2016年 11月11日(金)~16日(水)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
トークゲスト:佐伯日菜子さん 女優 twitter@hinakosaeki
上方落語の語り口の温かさとと、いかがわしさと、やさしさを背負う羽光さん。
凛々しい形で、すべての観客を魅了する唸り、浪曲を背負う奈々福さん。
創作らくごというジャンルではなく、鯉八というジャンルを背負う鯉八さん。
最後の師匠は、なにを背負っているのでしょうか。
すべてを包み込む、「演芸」の包容力を感じていただければと思います。
▽笑福亭羽光 しょうふくてい うこう
34歳で入門、芸歴10年目、2011年5月二つ目昇進。落語芸術協会の二つ目からなる人気ユニット「成金」メンバー。猫を可愛がる。お父様が英語の先生で厳格な家庭に育つ。幼少のことから英語を勉強されるほどの英才教育をうける。侠気がある。NHKのクローズアップ現代に取り上げられた時、「マグロ一筋」というTシャツを着ていた。
▽玉川奈々福 たまがわ ななふく
1995年曲師(三味線)として入門、芸歴22年目。浪曲師としては2001年より活動。2012年日本浪曲協会理事に就任。
「シブラクの唸るおねえさん」。奈々福さんの浪曲をみて、「浪曲をもっと聴きたい」と思う人が多数。浪曲大会の会計と決算を任されるが数字が苦手とのこと。
▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
24歳で入門、芸歴11年目、2010年二つ目昇進。2015年第一回渋谷らくご大賞受賞。「ポンチ絵派」と呼ばれていた一派が落語界には存在していた。いまはなかなかその一派はいないが、鯉八さんの落語は新しいポンチ絵派なのかもしれない。創作落語一筋で、落語をアップデートし続けている。
▽お楽しみゲスト
レビュー
笑福亭羽光-牛ほめ
玉川奈々福/沢村美舟-祖師谷大蔵のカネゴン餅
瀧川鯉八-暴れ牛奇譚
柳家喬太郎-純情日記渋谷篇
天下分け目の合戦
そろそろ大河ドラマも佳境に入り、いよいよ家康公と幸村の決戦が近づいてます。歴史に疎く最後には家康公が勝つということ以外知らずに観ていたので、ほぼネタバレ無しで楽しんでました。真田丸だけの知識で語りますが、家康公も秀吉も戦の無い世を作るために戦をし、結果江戸幕府が開かれて泰平の世となり、250年にわたる平和が大衆演芸を発展させていく…と考えると、今のほほんと落語が観れる事を幸村はじめ戦国の世に散っていった武将たちに感謝をしなくてはいけないのです。その後も吉宗とか大衆演芸を保護してる人をあげたらキリがないので、みんなありがとうなんですけどね。
11月は登場まで誰が出てくるか分からないお楽しみゲストなる企画の会でした。今月はこの回しか観れなかったので他の日と比較ができないのですが、なんか様子がおかしい。お楽しみゲストがスペシャルすぎるのか、トークゲストの佐伯日菜子さんが美しすぎるのか、鯉八WEEKすぎるのか、何が原因か不明。いつもと違う、そんなソワソワした空気の中、激しい合戦が始まりました。シブラク版真田丸です。
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トークゲスト:佐伯日菜子さんと
笑福亭羽光さん「牛ほめ」
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笑福亭羽光さん
真田丸随一の変態キャラは高嶋政伸さんが演じた北条氏政。汁飯をすする姿には狂気をおぼえました。登場人物の中で1人生き返らせていいなら、氏政…かなぁ。ドラマの中では変態オーラむんむんだし、圧倒的なインパクトでした。だったらこの役は羽光さんしかいないでしょう。
羽光さんのイメージはやっぱり、変態。いや、良い意味です。だって羽光さんを観るのに期待してるのはそこだから。でも、そんな期待をして行くと、肩透かしを食らいます。始まったネタは「牛ほめ」。江戸落語でも聴く機会が多い噺なので、上方と聞き比べがまた楽しい。築城に優れた北条と武田の城を見比べるような興奮をおぼえます。氏政はあんな変態キャラで演じられてましたが、戦国大名としてしっかりその手腕を振るい、実際は民衆にも支持されてたらしい。そうなんです。羽光さんの古典は聴きごたえたっぷりなんです。初めて聴いた羽光さんの噺が尻からZARDが流れる噺だったのが何かの間違いだったかと思うくらい、「今私は落語を聴いている…!」感に襲われます。このギャップ、氏政級です。
玉川奈々福さん「祖師谷大蔵のカネゴン餅
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玉川奈々福さん・沢村美舟さん
同じオナゴとして惚れたのが吉田羊さん演じる小松姫。薙刀をふるう姿や名だたる武将にも叱咤する毅然とした姿には鳥肌がたちました。戦国の世をたくましく生きる魅力的な女性はたくさんいますが、こんな勇ましい人はいないのではないでしょうか。肖像画も鎧着てるし。
薙刀が似合いそうな奈々福さん。その格好良さにはもう有無を言わさず惚れます。「小田原の猫餅(ググって調べたので違ってたらごめんなさい)」の改作で、ストーリーの中にお楽しみゲストへの伏線が散りばめられてるスペシャル仕様。絶対あの師匠だ‼…とワクワクした気持ちを抑えながら奈々福さんのイケメンっぷりに集中。原作では左甚五郎の旅人の男前っぷりにやられます。噺を聴くときって次の展開を少し想像しながら聴きますが、この噺はことごとく想像の斜め上80度あたりをいってました。原作知らなくてこれだけ面白いなら、原作知ってたらどんだけだったんだ…。演芸って何も知らなくても楽しめますが、やっぱり知ってた方がより楽しめます。こんなちょっと悔しい回があるから、どんどん深みにハマるんです。
この日の曲師は美舟さん。合の手のお声がべらぼうに可愛い方だったのですが、奈々福さんが稽古をつけてるとの事。チラリとそんなお話をされた奈々福さん。厳しさと優しさで稽古してる姿を妄想しました。こんな武将いたらついて行きたい。
瀧川鯉八さん「暴れ牛奇譚」
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瀧川鯉八さん
びっくりする戦法で数々の名だたる戦国大名との戦に勝ってきた真田昌幸。劇中でその天寿を全うした時は泣いたなぁ…。もう草刈正雄見れないのか…と。何をしてくるか想像できない戦法を仕掛けてくる昌幸。シブラクではそんな真田との戦をひかえた徳川や上杉の心境が疑似体験できます。シブラクの真田昌幸・鯉八さん。いつもどんな戦を仕掛けてくるのかゾクゾクしてます。合戦が始まった一発目の攻撃は、縄文人が石器時代にタイムスリップした小噺。いや、その戦法は卑怯だよ!わりと戦わずして勝つ昌幸でしたが、もうこの小噺で降伏です。
鯉八さんの落語に出てくる登場人物、風貌を想像すると全員もれなく鯉八さんです。暴れ牛が襲ってくるから、誰かを生贄にしなくてはいけない…そんな、村での議論の噺。全員もれなく鯉八さんの風貌です。こんな村あったら、迷い込んでみたい。この噺の空間に、「美人のレイちゃん」がいるのですが、断言したい。レイちゃん実際きっとそんなでもない。村人は全員もれなく鯉八さんの風貌だから。
鯉八さんの落語って昌幸っぽいよな〜と思った瞬間、脳内で六文銭の旗印を掲げた鯉八さんの軍勢が攻めてきました。足軽全員もれなく鯉八さん。昌幸の死後も家康はその影に怯えた描写がありますが、すっごい分かる気がしました。
柳家喬太郎師匠「純情日記渋谷編」
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柳家喬太郎師匠
戦国史の中で最もチャーミングな武将はなんたって徳川家康でしょう。知れば知るほど人間味に溢れてます。戦上手なのかと思いきやコロっと負けてみたり、敵であった信玄を手本にする柔軟さがあったり、薬の調合なる謎の趣味があったり、甲冑は案外南蛮風でハイカラだったり、知れば知るほど魅力的。ホトトギスは鳴くまで待たず、実際はすごくマニアックな手法を用いて鳴かそうとしてたのではないでしょうか。
家康を演じれるのは喬太郎師匠しかいないでしょう。シブラクってやっぱり客層が他の会と違うようで、マクラで色々さぐってる?と思ったら、ケロリと「今、さぐってます」発言。持ち時間が長くなったことを他の出演者に向かって怒ったり、座布団の上で駄々こねたり、途中で「やっぱ時そばにすりゃ良かった!」と悲痛な叫びをあげたり、落語本編の惹きつけが半端なかったり。その落語の内容もニッチな渋谷盛りだくさん、一つ一つの仕草の可愛さ盛りだくさん。何故喬太郎師匠主演で大河「家康」やらないのか、無性にむかついてくるくらいの家康っぷり。「葵三代」以来家康感を独走していた津川雅彦さんと現在家康の可愛さを存分に演じてる内野聖陽さんに並び、喬太郎師匠は家康感トップ集団を走ってます。もう、いっそのこと幕府開いてくれ。
…最後に言わせて下さい。師匠をアダ名で呼ぶのは畏れ多いですが、ここは敢えて。…キョンキョン観れて幸せだっ!!!!!!
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」11/14 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ