渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 1月13日(金)~17日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
抜群にうまい。抜群におもしろい。
いよいよ3月に真打に昇進するろべえさん、渋谷らくごではじめてトリをとったのは、ちょうど1年前の1月でした。
あれから1年。お客さんを想像の世界へと誘う「落語」で、この人ほど気持ちよくトリップさせてくれる若手はいません。
照れたり卑下したりかわしたり。いろいろする人ですが、今年は正面突破しかありません。乞うご期待!
▽入船亭扇里 いりふねてい せんり
19歳で入門、芸歴21年目、2010年真打ち昇進。
趣味は競馬と野球観戦。絵本作家。三浦大輔の引退試合のチケットを手に入れるために9時間30分並ぶほどの熱狂的な横浜DeNAベイスターズファン。最近は麻雀熱が高まっている。柳朝師匠と出会うと必ず「ごちそうさまです」というらしい。先月の渋谷らくごでも「ごちそうさまです」と言っていた。
▽春風亭柳朝 しゅんぷうてい りゅうちょう
23歳で入門、芸歴23年目、2007年真打ち昇進。毎朝、豆から挽いてホットコーヒーを入れている。銭湯巡りが趣味。朝起きるのが早い。扇里師匠とは前座のころから可愛がっていたようで、先月の渋谷らくごでも思い出話が尽きないでいた。扇里師匠から「ごちそうさまです」と言われていた。
▽ 古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく
23歳で入門、芸歴14年目、2012年9月真打ち昇進。落語協会若手ユニット「TEN」のメンバー。ろべえさんは直接の先輩で前座修行を共にしていた。私服がおしゃれで、細身のジーンズに帽子を華麗に着こなされている。
▽柳家ろべえ やなぎや ろべえ
25歳で入門、芸歴14年目、2006年5月二つ目昇進。
東京農工大学工学部卒業。物理学を学ぶ。文菊師匠の直接の後輩で前座修行を共にしていた。ついに今年の3月に真打ちとなり、真打ち披露興行がスタートする。私服がおしゃれで、奇抜な眼鏡なのにも関わらずおしゃれにみえる。
レビュー
1月14日(土)14時~16時「渋谷らくご」
入船亭 扇里(いりふねてい せんり) 「地球の裏表」
春風亭 柳朝(しゅうぷうてい りゅうちょう) 「真田小僧」
古今亭 文菊(ここんてい ぶんぎく) 「夢金」
柳家 ろべえ(やなぎや ろべえ) 「居残り佐平次」
「源流の見える場所」
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入船亭扇里師匠
何を言っても嫌味がなく、温かいお茶を少しずつ飲んでいるような安心感があります。
寝るときに聴くコンセプトの「おやすみCD」の扇里師匠版があったらいいです。
でもあまりに柔らかい雰囲気なので、逆にちょっと裏がありそうな感じもします。
「地球の裏表」という珍しいお噺。個人的には「扇里の裏表」も聴きたいです。古典ぽくもあり、現代っぽさもあり、不思議な感覚。「どうして?」「どうしても」「どうして?」「どうしても」というやり取りが延々と繰り返され、段々癖になります。サンプリングしてテクノにしたいです。
-
春風亭柳朝師匠
マクラで先代の柳朝師匠と弟子の一朝師匠(当時は朝太郎というお名前)のエピソード。
プライベートの時間も面白いって凄いです。毎日楽しそうで憧れます。
柳朝師匠は笑うとほっぺがぷくっと上がるのがチャーミングで印象的。似顔絵描きたくなります。
「真田小僧」の真田が出てくるフルバージョン。真田三代記の辺りからは歴史っぽい話になるので少し難しく感じることもあったのですが、柳朝師匠の噺はわかりやすく歴史知識の少ない私でもすんなり楽しめました。
マクラで娘さんがいると仰っていたこともあり、賢い子供に翻弄される父親っぽさがしっくりきました。
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古今亭文菊師匠
低めで少しかすれた声。どこか翳りがあって、サスペンスの似合う方だなぁと聴くたびに思うのです。
「百両ォ~~ほしい」もうこの最初の一言で、後の展開を期待して背筋がゾクッとしつつ、嬉しくなります。
夢金なんて。とっても素敵。サスペンスです。一番強く印象に残っているのは、お金のために娘を殺そうと結託し舟を進めているときの「暗闇に白い中洲が見えてくる」という情景。情景は目に焼きついたように離れません。そんなことを居酒屋さんで言いだすと3代目の三木助師匠の芝浜の凄いところは~みたいな話をしがちですが、とにかく私が言いたいのは、ゆっくりと燻らす煙草。に見立てたあの高座扇になりたい、ということです。
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柳家ろべえさん
お正月に浅草で偶然すれ違ったろべえさんは黒紋付にレトロな丸眼鏡。モデルさんのようにシュッとしていました。
廓噺を始めるためのマクラとして、ニヤニヤしながらフーゾクの話をする高座のろべえさんとはまるで違います。
このギャップはずるいです。協会の真打の後にトリで出演することも特に気にせずいつも通り、と仰って「居残り佐平次」 ろべえさんの居残りはのらりくらりとつかみどころがなく楽しそうな雰囲気。
それと、演者さんにとってはあまり嬉しくないことなのかもわかりませんが、早口なのにはっきりせず気怠げに喋る感じや、巻き舌っぽいセリフやリズム、「そ、そ、そ、そう?」とどもったり、「さいならっ」と突然大声になったり、所々に喜多八師匠が重なります。それがなんだかとっても嬉しくて、鼻の奥がツーンとして、笑いながらも切なくて、でも少し救われたようなそんな気分になりました。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」1/14 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ