渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2017年 3月10日(金)~14日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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3月11日(土)17:00~19:00 立川こしら 柳亭小痴楽 柳家わさび 林家彦いち

「渋谷らくご」 サービス精神:彦いちを聴く会

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プレビュー

あの手この手でお客さんを満足させる落語家さんたちのなかでも、サービス精神という意味で突出したこの4人。
来てくれた人をぜったい楽しませるという部類のおしゃべりさんたち。これだよ、これが噺家だよ!っていう4人です。


▽立川こしら たてかわ こしら
21歳で入門、芸歴20年目、2012年12月真打昇進。
日本のみならず世界中で落語会を開いている。ドニー・ブリスベン・メルボルンで公演を行う「立川こしら豪州ツアー2017」からの凱旋帰国を果たす。オーストラリアでの生活の様子がツイッターにアップされている。パンケーキを召し上がられていた。

▽柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
16歳で入門、芸歴12年目、2009年11月二つ目昇進。落語芸術協会の二つ目からなる人気ユニット「成金」メンバー。
ものすごい大きなキャリーバッグがトレードマーク。ただいまWOWOW動画では、小痴楽さんのシブラクインタビュー公開中。

▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴14年目、2008年二つ目昇進。古典落語だけでなく、創作落語という隠し刀をもつ実力派。イラストが可愛い。先月の渋谷らくごの帰り道、シブラクメンバーの扇辰師匠との打ち上げで、泥酔されたとのこと。

▽林家彦いち はやしや ひこいち
1969年7月3日、鹿児島県日置郡出身、1989年12月入門、2002年3月真打昇進。
創作らくごの鬼。キャンプや登山を趣味とするアウトドア派な一面を持つ。10月は台風が来ている中でキャンプを決行するという武闘派。集中する朝は、土鍋でご飯を炊く。創作から生まれた絵本「ながしまのまんげつ」(絵 加藤休ミ 小学館)が発売中!最近お弟子さんを取られた。

レビュー

文:えり Twitter:@eritasu29歳 女性 確定申告祭りの事務職 趣味:フラメンコ

3月11日(土)17時~19時「渋谷らくご」
立川 こしら (たてかわ こしら)     「王子の狐」
柳亭 小痴楽 (りゅうてい こちらく)   「幇間腹」
柳家 わさび やなぎや わさび)     「三井の大黒」
林家 彦いち (はやしや ひこいち)    「掛け声指南」



「ムアンチャイ大勝利」



  • 立川こしら師匠

    立川こしら師匠

トップはこしら師匠。 待ってました! つい数時間前まで出席していた、馬るこ師匠の真打昇進パーティというホットな話題。 スーツで出席したけど羽織も持参したから、と袴に羽織姿で登場。 私は4年ほど定期的にこしら師匠を聴きに行っていますが、高座で羽織姿は初めて見ました。 「すぐ脱ぐのになんで着るのかよくわからない」とのこと。 貴重なお姿が見れました。それにしてもこしら師匠の演じる女性は素直でにこにこしていてかわいすぎます。現実にいたらちょっと嫌われそうなほどかわいい。 セリフの最後にハートマークがハッキリついてるような感じ。 こしら師匠はお顔の輪郭がシャープで切れ長の瞳に茶髪でキツネっぽい印象があるので「王子の狐」は余計に印象深いです。 どうぶつの森のつねきち(怪しい美術品を高額で売るキツネ)に似てるなぁと思います。 こしら師匠はいつも斬新で、楽しく驚かせてくださるのですごくかっこいいと思います。

  • 柳亭小痴楽さん

    柳亭小痴楽さん

普通に喋っているときも「みぎ、しだり、まっつぐ」という江戸っ子発音の小痴楽さん。 違和感はないし、小さい頃からずっとそういう言葉が飛び交う環境だったのかなと想像して、素敵だなぁとニヤけてしまいます。 わさびさんに噺を短くしたいと相談したら的確なアドバイスをくれたけど、こしら師匠はそんなアドバイスできないだろうと高座でいじっていると、袖から「コラー!」の声。 「なんでいるんだよ、普通楽屋戻るだろー」 いちゃいちゃしています。 素晴らしいです。 (こしら師匠は噺を3分にまとめた高速落語CDを発売するほど、短くするのはお得意のはずです) 幇間腹はリアルに想像するとビビってしまうような場面が多く、試しに猫に鍼を打ってみようというところでは客席から悲鳴が漏れていました。 知らない展開にドキドキできるのは、噺を初めて聴くときの特権でしょう。 この回は当日券が70枚も出て超満員。 落語を初めて聴く方も多かったことと思います。 客席の雰囲気も含めてほっこり楽しみました。

  • 柳家わさびさん

    柳家わさびさん

一切まくらを振らず噺に入りましたが、なにも考えずとも自然と物語の中に連れていってくれます。 心地良い時間です。私はわさびさんの演じる子供(丁稚)が妙におかしくて好きなんですが、今回はやはり“ぽんしゅう”の存在感が際立っていました。おおらかでマイペースな喋り方。 声とセリフのちょっとした特徴で、不思議と普通の人じゃないということがわかります。 じつは凄い人でしたーという水戸黄門的なお話は、わかっていてもわくわくします。 わさびさんの落語は爆笑系からいぶし銀系まですごく幅広く、毎回期待通りの安定感です。面白い人ってやっぱりモテるんだなぁ、と魅力がヒシヒシ伝わってくる一席でした。

  • 林家彦いち師匠

    林家彦いち師匠

日本でボクシングのセコンドになるために日々励んでいるムアンチャイという青年が主人公。 カタコトの外国人ってなんかもうそれだけでおもしろいです。 しかも欧米人のカタコトとは違って、タイとかベトナムとかアジア圏の人だというのが明らかにわかるのが凄い。 うまく掛け声ができずに国に帰れと言われてしまい、悩み悲しみ新宿の街をさまよいながら「役に立ちタァーーイ」と懸命に応援することで何かを得ようとするムアンチャイ。 別れを決意し最後のセコンドをする場面では、選手の無骨ながらもまっすぐで暖かいセリフにグッときてしまい、(なんとなく、ムアンチャイで泣くのはイヤだ!) と思いつつも涙を止められませんでした。 ムアンチャイが活躍するほど彦いち師匠も膝立ちになり、ますます熱い展開。 最後は客席と興奮の渦の中「そのまま言ってみろ…!」と、選手に声をかけているセコンドを勇気づけるという不思議な状態に。 溜めて溜めて、叫ぶ!素晴らしい盛り上がりで拍手喝采鳴りやまず。 こんなに熱狂したボクシングの試合のような落語は初めての体験でした

【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」3/11 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ