渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2017年 8月11日(金)~15日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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8月13日(日)14:00~16:00 三遊亭鳳笑 隅田川馬石 立川左談次 柳家小せん

「渋谷らくご」 心地よい落語

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プレビュー

 軽さ。世間一般ではマイナスイメージを背負っているこの言葉は、演芸の世界では美徳のひとつと言われている。聴くものにストレスを与えないスピードと情報量と音。負担を感じることなく異世界へ連れていってくれる「軽い」芸にチャレンジする落語家は多いが、それを体現できるほど引き出しの多い演者はそうはいない。
 気づかないうちに肩が軽くなっているような、伝説のマッサージ師に出会うような感覚を、この落語会で知ってもらいたい!


▽三遊亭鳳笑 さんゆうてい ほうしょう
28歳で入門、芸歴12年目、2010年10月二つ目昇進。アメブロをなさっていますが、一般的なアメブロの印象とは違っているような坂口安吾から忌野清志郎まで幅広い中身の濃い記事が続く。そもそもアメブロのプロフィール写真が恐怖。新幹線に乗る際に、警備員に止められるほど、日常生活でも怖すぎるオーラが出ている。目がギョロギョロしている。

▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴24年目、2007年3月真打昇進。高校球児で、二つ目時代は、落語協会の草野球チームのピッチャーでエース。いまでも毎日川沿いを走っているため、新陳代謝がとてもよい。「この後輩とは、はたして学生時代に自分と友達になれただろうか」という疑問を持ちながら後輩と接している。

▽立川左談次 たてかわ さだんじ
17 歳で入門、芸歴50年、1973年真打ち昇進。読書好き。
談志師匠とおなじ病気にかかり、病院に出たり入ったり。その様子がツイッターにアップされており、痛々しいというよりは、ほほえましい。最近視力検査をすると、左眼右眼とも視力が回復しているとのこと。左眼1.0で右眼が1.2。目が良い。談志の弟子として、「立川」という亭号ではじめて真打になった人物。多くの落語家からリスペクトされている、かもしれない酒豪。来月の渋谷らくごは左談次祭りです。

▽柳家小せん やなぎや こせん
22歳で入門、芸歴21年目、2010年9月真打ち昇進。渋谷らくごにご出演の橘家文蔵師匠と入船亭扇辰師匠と音楽ユニット「三K辰文舎」としても活動中。旅先だと早く目が覚めてしまう。この夏、ポーランドで落語公演ツアーをなさり無事帰国。先日BizDriveという経済ニュースのスペシャルインタビューをうける。

レビュー

文:pem(ペム) Twitter:@shina1220  性別:女 年代:20代 趣味:宝塚・舞台全般観劇、時々ハロプロその他諸々

8月13日(日)14:00~16:00
  三遊亭鳳笑(さんゆうてい ほうしょう)『魚根問』
隅田川馬石(すみだがわ ばせき)『王子の狐』
立川左談次(たてかわ さだんじ)『幇間腹』
柳家小せん(やなぎや こせん)『鷺とり』

三遊亭鳳笑「魚根問」

  • 三遊亭鳳笑さん

    三遊亭鳳笑さん

鳳笑さんははじめましてな状態だったのですが、声もお顔も特徴がすごくて忘れることはまずないでしょう・・・芸事をする方として素晴らしい才能でございます。今週はお盆だったので幽霊のはなしが見た目的に合うのではと演ってみたが「幽霊じゃなくて妖怪だ」と言われてしまったそうで、今回は幽霊のはなしではなく残念でした。お盆期間はそのまま貫いて欲しかった(笑)自分のギョロ目は遺伝なんだというところからお父様のはなしに。以前は教師だったそうですが今はアコーディオンの漫談師になり落語家の倅のあとを継いだそうで(笑)噺は先生つながりで男(先生に愚者と呼ばれる有様)が先生(すごいいい加減)に質問し続け先生 が上手いことを返す形。初めて聞きましたが落語らしい落語といった印象でした。

隅田川馬石「王子の狐」

  • 隅田川馬石師匠

    隅田川馬石師匠

ポッドキャストのまくらで”替わり目”を聴いてからずっと生で聴いてみたいと思ってとうとう夢が叶いました。”替わり目”は聴けば聴くほど旨味成分が出てくるレベルで楽しくて定期的に今現在も聴いております。
まくらでは世界陸上とマラソンの話を思う存分、ひたすらに語っておりました。もう世界陸上をやっている今しか!話せない!という熱い熱い語りで今日はまくらで燃え尽きるんじゃないかと思うレベルで…。どうやってまくらから落語につなげるんだろうと思いきや全く繋げず平然と始まりまり、客席の「(さも何もなかったようにはじまった….笑)」という笑いと空気に包まれたのにそこをちょっと過ぎればいつの間にか江戸の空気に包まれます。“王子の狐”は狐が美女に化けたところを目撃した男が人を化かすと言われる狐を逆に化かしてしまうというお噺。狐は最後の自分の子供とのやり取り以外では台詞はほぼないのに馬石師匠の持ち味(だと個人的に感じている)の キュートでチャーミングがあって化かすつもりが化かされて…噺はとても面白いのにこっちは状況を分かってみている分、不憫です。でも男も憎めない仕上がりにできるのが馬石師匠クオリティ。そして落語、長屋の噺だったり廓噺を聞く機会が多かったので最初から最後までずっと新鮮でした。

立川左談次「幇間腹」

  • 立川左談次師匠

    立川左談次師匠

来月の渋谷らくごは立川左談次落語家生活五十周年記念特別記念興行を控えている左談次師匠。寄席にも出ないので5日連続高座にあがるのはのは来月が最後だろうと仰られていたので(日に日に衰えていく様子がみれるだろうと自虐を交えつつ)皆様、そんな茶目っ気溢れた左談次師匠の落語を生で体感しましょう…!!五十周年ということでまくらは昔を振り返ってのお話をなどなど色々と語ってくださいました。今の噺家は幸せだ、落語以外のことをやったことがないという恵まれた環境でという話が印象的でした。落語も小屋でやることも少なく、更に落語以外の仕事ばかりということで現代っ子な私からすると中々ショキングな仕事ばかりで聞いてるだけでクラクラしました (笑)もはやデパートの階段の踊り場で落語やらされてたが一番まとも状態でした。そんなこんなで、まくらだけで20分経過。これからどうするか少しばかり悩んだ左談次師匠、突然「楽屋伸びるぞーーーーーーーー!!!!!!!」と上手に向かって絶叫し拍手喝采の客席。もうこの公演、自由すぎます(笑)

柳家小せん「鷺とり」

  • 柳家小せん師匠

    柳家小せん師匠

左談次師匠は多分40分くらい持ち時間使ったと思うんですが、ジャスト16時にきっちり終演いたしました(毎月行ってますが大体押してることが多い気がします)トリがトリらしくない回です、持ち時間的には(笑)しかしプレビューの言葉に違わず、まさに心地よい落語でした。声も本当に心地よく話も淀みなく、こういう体験をすると『あぁ…この世界に入ってよかったなぁ(落語歴8ヶ月)』という気持ちになります。初めて小せん師匠の落語を聴きましたがもう既に虜です。まくらでは落語は人生にゆとり(時間やお金、心の余裕が少なからずないと)がないと楽しめませんからということでお話されるんですが、それを聞いてるだけでいい心持ちにさせてくださいます。噺は落語 の中でもとりわけ馬鹿馬鹿しいものをということで”鷺とり”を演ってくださいましたがその通りでした(笑)以前シブラクで聞いた”弥次郎”といい、ご隠居を訪ねにくる人こんな人間ばかりなんでしょう落語って、不思議な世界です、そして想像力フル回転できて本当に楽しい。私にはない想像力をわけてもらえます、幸せです。


来月のシブラクは立川左談次落語家生活五十周年記念特別記念興行。日程は9月8日(金)~12日(火)ですので気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか?来月まで待てないよ!・落語に少し興味湧いてきたよ!という方はPodcastや動画が1席丸ごと配信されてますので渋谷らくごHPのトップページにURL貼ってありますのでぜひご覧ください。

【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」8/13 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ